■世界の主要株式市場もいったん落ち着くだろう
この意味では、中国株暴落の一服と同じく、世界の主要株式市場もいったん落ち着くだろう。
日経平均に至っては、今週(9月28日~)、いったん1万7000円の大台を割ったこと自体が明らかに売られすぎだったので、反発してくるのも当然の成り行きだ。
(出所:米国FXCM)
ベアトレンドとはいえ、一直線に進むとは限らないから、性急な安値追いも避けたいところだ。
リスクオフの一服が、本来ならば円売り・ユーロ売りをもたらしてもおかしくないが、株式市場のパフォーマンスに比例した連動をしなかった分、為替市場の値動きは限定的である。したがって、当面、トレンドレスの状況が続き、値動きがあっても変動レンジの拡大にしかならないかもしれない。
■米ドル/円のレンジを推定すると…
こういった市況の中、レンジ取引が一番有力視されるが、レンジを定めないと仕掛けにくい。米ドル/円の場合、目下のレンジやこれからあり得るレンジの拡大は、やはり、8月24日(月)の値動きを見なければならないだろう。
8月24日(月)の値幅があまりにも大きかったから、本日(10月2日)までの日々の値動きは、すべて8月24日(月)のローソク足の値幅の内側に納まった形(いわゆる、はらみ)となり、また変動幅も縮小していく傾向を示している。
(出所:米国FXCM)
よって、当面、トライアングル型変動パターンにあてはまり、同パターンの打破をもって変動レンジの拡大を図るとみる。
ただし、下放れの場合は一気に8月安値115.90円割れにつながっていくのも容易ではなく、上放れの場合も、8月24日(月)高値121.93円のブレイクがあっても、8月高値125.28円を起点とした下落波動を否定するよう値動きにはなりにくいとみる。
リスクオフの一服で目先、下放れよりも上放れの可能性が大きくなっているものの、それが下落波に対するスピード修正といった位置づけは不変だ。
日銀追加緩和観測がくすぶる中、米ドル/円の上放れを予想する声が多い。たびたび強調してきたように、日銀追加緩和があっても、質にしても量にしても限られるから、果たしてそれがQQE(量的・質的緩和)と言えるかどうか、疑問である。仮にそうであれば、インパクトは限定的で、米ドル/円の頭の重さを修正できない公算が大きい。
■目先は追加緩和観測自体が米ドル/円の下支えに
もっとも、安倍首相が打ち出した「新三本の矢」政策には、金融緩和政策や2%インフレターゲットが入っていなかった。これは事実上、経済政策の失敗を認めたのかどうかは別問題だとしても、政策運営の転換を図っていることは確かだ。
換言すれば、日銀も政府も従来の目標を達成するには相当時間がかかることを認めており、QQE3(量的・質的緩和策第3弾)を打ち出す可能性は必ずしも高くないと言える。
追加量的緩和どころか、国債市場の状況に照らして考えると、そろそろ日銀の出口政策も語らないといけない時期が来てもおかしくないだろう。
このあたりの話はまた次回に譲るが、目先は追加緩和に対する期待がなお強いことを記しておきたい。思惑が完全に否定されるまで、追加緩和観測自体が米ドル/円の下支えになっていることを否定できないから、しばらくは小康状況の継続を有力視。市況はいかに。
(14:30執筆)
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