昨日はアジア時間でリスクオフの動きが強まった。やはり市場の最大の関心事である原油価格が30ドルの大台を割り込んできたのが大きかった。それが必要以上に資本市場を揺さぶっている構図は、まったく昨年末から変わっていない。
欧州序盤ではリスク回避の流れがさらに強まっていった。後から見て、結果だけからいうと、ここでユーロ円やドル円も安値を付けたし、欧州株や米国株も安値を付けることとなった。
その後に相場の流れが反転したのは、原油価格が切り返してきたからである。イラクの石油相が、サウジとロシアが原油の減産に前向きだと語ったからである。それがどのくらい信ぴょう性のあるものか、また実現可能なものかは不明だが、少なくとも短期筋のショートポジションをメクリ上げるには十分であった。
原油価格は3ドル弱も急騰し、それがマーケット全体をリスクテークに導くこととなった。ドル円も切り返してきて、118円台に再び乗せてくる。そしてニューヨーク時間になってもリスクオンの姿勢のまま続いた。
だが出てくる経済指標には、あまり反応しない。原油価格が下がらなければ、ドル円もユーロ円も下がらないで高いゾーンを維持しているのみである。リスクに振り回されている状態が続いているので、最近のユーロドルはまったく面白くない展開が続いている。また一日の変動値幅も小さいままである。
そのユーロドルが動き出すかもしれない要因の一つが、今晩のFOMCである。もちろん今回、金融政策を変更することは誰も想定していない。問題になるのは、声明文の内容である。前回の利上げ決定の後、明らかに原油安は進んでおり、それにともなって株価も安い。
それをどの程度まで意識しているのかということである。気にしている度合いが強いように読める文言が入っているようだと、金融緩和が意識され、ドルは下がることになる。ここだけは注意である。
しかしFRBの副議長は、2016年に2回の利上げだと考えるのは少なすぎると発言しており、暗に年に4回は必要だといっている。副議長だから職責は重い。今のイエレン議長も長い間、副議長をやっていた。この辺りが文言を解釈するうえでの、混乱要因になるだろう。
ともかくも利上げは積極的に議論されるはずもないので、注意すべきはドルの急落だけである。しかるにドル円でもユーロドルでも、直前にドルショートに振ってみるのが面白いのかもしれない。
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