さて先週の金曜日はアメリカの雇用統計だった。3月利上げがあるのかないのかの試金石となる最後の機会である。それだけに注目度は高いものがあった。数日前に公表された民間調査の雇用データは良かったので、今回の雇用統計も良いはずだとの観測が先だっている。
それだけにドル円もユーロ円も、上昇気味で欧州時間を過ごしていた。また日本株もこれまでに4連投もしてきており、さらにグローベックスでは米国株もすっと高値張り付きをしているのである。それだけ雇用統計に向けた期待が大きいということの現れである。
ドル円はずっと113円台の前半から114円台の中盤までの間を行ったり来たりしている。不思議とレンジ相場を形成している。テクニカル的にも115円を下回ってきて以来は、そこを上限にして動くのは仕方がないが、当面はボックス圏での動きを覚悟しないといけないところだが、やはりそれをブレークできるかどうかも、雇用統計によるところが大きい。
FEDの金融政策が見えてくると、もうちょっと動きやすくもなるのだろうが…。指標発表の直前のレベルは、ドル円は113円台の後半。ユーロドルは1.09台の後半であった。ドル円もユーロドルもここ最近のレンジのちょうど中央値である。さてどちらにブレるか。
雇用統計の結果は、良いものであった。就業者数が24万人台の増加となって、それが3月利上げを決定的なものにした。そして為替相場は素直に反映して、ドルが急上昇。ドル円は114円台に乗せてきて、ユーロドルも50ポイントほど下がった。
グローベックスの米国株なども上昇しているのだが、大きく上昇というほどのこともない。失業率は予想と同じだったが、平均時給がマイナスとなっていた。それが3月利上げの可能性を打ち消しているのだろう。
そしてドル円は上限にも達せず、反落に向かった。簡単に113円台に押し返され、そして113円台の後半までかなと思っていたのに、存外にも113円台の前半まで押し込まれてしまった。確かにレンジの下限ではあるが、ここまでディップを形成するとは思わなかった。
ドル円の114円台では売りこんでもいなかったので、今回はやはり何かをしなければと思い、やっとの思いで113.34でロングにした。しかし下サイドを見た後だけに、長くは保有できない。113.50アッパーになると、もはや利食い売り態勢に入っている。利食い売りをしてしまった以降は、ドル円は実に堅調な展開となった。そして再び114円台に乗せてきたりしている。
さて今週はいよいよ金利会合に向けての地固めが始まる。最初はECBの会合だ。3月に追加緩和すると、すでに表明している。だから12月末のときのような失望を誘わない形での追加緩和が期待されている。しかしマイナス金利の効果に疑問符が打たれている中で、積極的なメッセージをマーケットに伝えるのは相当に困難ではないだろうか。
また週末に中国の全人代で、向こう5ヵ年の成長目標をプラス6.5%に設定することに決まった。これは過去20年で最も低いレベルだ。これがどのようにマーケットに消化されるのか。これも今週のリスクのありようを探るうえで重要である。
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