■中国需要停滞で鉄鉱石価格が続落、豪ドルも下落
今週(5月23日~)はNYダウや日経平均がジリ高で推移する中、マーケットのセンチメントはリスクオン。
(出所:CQG)
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リスクオンの市場では、リスク感応度が高い豪ドルがマーケットをリードする形で上昇します。ところが、今回は豪ドルは上がるどころか反落しています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足)
その背景は、前回のコラムでご紹介した要因が大きいのですが、もうひとつの要因は鉄鉱石価格の急反落。
【参考記事】
●米国の6月利上げ観測台頭でドル全面高! でもなぜ、米ドル/円の戻りは鈍いのか?(5月19日、西原宏一)
鉄鉱石価格、活況から不況へ転じる-50ドルも視野に
鉄鉱石価格はわずか数週間の間に活況から不況へと転じた。供給が拡大していることに加え、中国の鉄鋼会社がより慎重なアプローチを取り4月の投機主導の上昇が反転して投機家は今月に入って損失を出しており、指標価格は辛うじて1トン当たり50ドルを上回っている状況だ。
邁科期貨のアナリスト、レン・ジャオジャオ氏は24日、西安から電話インタビューに応じ「海上輸送による供給が増加する一方、中国の鉄鋼会社による購入が減少すると予想されるため、鉄鉱石価格が1トン当たり50ドルを割り込むことに疑いの余地はほとんどない」と指摘。先週1億トンを超えた中国の港湾の鉄鉱石在庫はさらに増える可能性があるとの見方を示した。
レン氏は「4月の価格上昇は、マージンが例外的に高い水準となっていたため鉄鋼各社が増産に向けて鉄鉱石を購入したことなどが要因だった」と説明。しかし、マージンは「急速に縮小しており、各社はまず原材料在庫を削減することによって新たな状況に適応しつつある。港湾在庫が増えると予想しているので当用買いの戦略を取るだろう」と
述べた。
メタル・ブレティンによると、鉄分62%の鉄鉱石の価格は23日、前週末比6.7%安の1ドライトン=51.22ドルと、3月3日以来の安値を付けた。
出所:Bloomberg
3月に豪ドル/米ドルが急騰したのは主に鉄鉱石の急騰が要因。その鉄鉱石が再び50ドル割れ目前まで急落していますので、豪ドルの下値余地は拡大したまま。
(出所;CQG)
■RBA総裁が低インフレに懸念で、8月利下げ確率高める
さらに、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])のスティーブンス総裁は、「インフレ率は本当に低過ぎる」と低インフレに懸念を示し、RBAの8月利下げ確率を高めています。
豪ドル/米ドルは引き続き0.7000ドル割れ、豪ドル円は75円に向けて下落中。
(出所;CQG)
(出所;CQG)
中国政府による株価対策により、上海株を中心に中国株は安定してきましたが、鉄鉱石の需要低迷から、マーケットはいつリスクオフに変貌しても、不思議ではない展開。
(出所:CQG)
引き続き上値の重い豪ドルと米ドル/円の動向に注目です。
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