昨日はアジア時間でドル円がズルっと落ちた。かなり仕掛けてきな売りでもあったが、夕方の安倍首相の会見に向けてのことのようだ。明らかに失望を期待してのことだ。確かに消費増税の先送りはマーケットに完全に織り込まれており、いまさら発表されても何のサプライズもないはずだ。
それでも5月はドル円が上がりまくり、それにツラレてマーケットのリスク許容度も増大した。サミットではG7各国に「景気後退のリスク」を認知させ、言質まで取った格好だ。それが増税先延ばしのための工作であるのは明らか。ドル円は111円台まで上がってきること自体が根拠のない動きである。
消費税を減税するとでも思っているのだろうか。そういうわけで私は110円アッパーからは、なかなかドル円ではブルになりきれなかったが、昨日の昼過ぎのドル円の下げで方向感が出てきたと思い、私も追随を決意。
欧州序盤ではドル円が110円台まで戻すのがやっと。さすがにその日のトップから2円近くも落ちてきているところなので、簡単なことでは上値追いすることはできない。後は売り場探しである。朝から喜んで買っていた向きにとっては、もう投げるしかないだろう。
安倍首相が会見を終わることが、材料の出尽くし感につながる。私も109.50ビローを何回も売りこんだ。すぐに利食いで買い戻すけれども、またすぐに売りこむ。安倍首相の会見が始まったら、その作戦でショート攻めをする。
安倍首相の発言は想定の範囲内だった。むしろG7首脳も指摘している通り、ちょっと悲観的すぎるのではないかとの見方が強まった。いつも消費税を上げるときはタイミングが議論になるが、「あのとき上げておけばよかったのに」というその時期というのが、株価の高い今ではなかったのかと後で思い知らされそうだ。
それでもともかくそれは5年も10年も後のことである。目先の相場ではドル円がそれほども落ちなかった。109円割れを目指すものの、結局は割り込まず。安値は109.05までだった。
日本の状況がリスクオフを誘うものであったため、ニューヨーク時間でも米国株は大幅安でスタート。日本発のブルームードが世界に波及するのかと思われたが、アメリカの経済指標、中でも景況感に関するデータが良いものが並んだので、米国株は見事に切り返した。それに伴ってドル円も109円台の中盤まで値を戻した。
そして今日も東京時間でドル円は売りこまれている。ドル円は午前中に早々に109円割れに成功。昨日損切り覚悟で売れなかった分の追加売りが出てきた模様だ。しかし日本株の下げが限定的なため、ドル円も昨日ほど、値崩れをしていない。
今晩はアメリカのADP雇用データが発表される。これは週末のために重要な指標だが、発表されてしまえば、雇用統計待ちになってしまい、マーケットは動かなくなりそうだ。それまではドル円の戻り売りで励むしかなさそうだ。
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