安倍首相が衆院解散を打たなかったこと、そして消費増税を先送りしたことで、資本市場には大きな失望感が漂った。そもそも内需が主導しての消費拡大を図るならば、社会保障も拡充すべく増税すべきだというのが、海外メディアでの主張となっている。
このままGDPを上げたいというのであれば、GDPの大半を占める個人消費には回らず、相変わらず企業利益になってしまうだけだ。今やるべきことは生活者の将来不安を取り除くことが先決なのである。そうしないと消費にはお金が回らない。
それを反映して安倍首相の会見の後は、リスク回避の動きが広がっている。ドル円も110円台ですら、もう遠くにかすんで見える。これから相場に入る人も、どこでドル円を売ろうかと手ぐすね引いている感じだ。私も戻し売りしかしたくはない。
昨日の欧州序盤では、ドル円は109円ちょうどをはさんだところ。アジア時間に何度か108円台に攻め込んだものの、なかなか突っ込まない。むしろショートカバーのほうが激しいくらいだ。日本人をメインとして一部の投資家は、この辺のところを買いたがっている。ドル円が下げ始めるには、もうちょっと時間が必要のようだ。
ニューヨーク序盤になって経済指標ではマーケットは動かなかったが、ドラギ総裁の会見の中身がポツポツと出てきたところで、ドル円が下がり始めた。下がり始めたのだから、自分も売りこんでいく。108.87で売ってみた。何を言ったのかを、後から調べる。
そもそも9月にでも追加緩和するのではないかとの見方を出しているところでは、今回の会見でそれに向かってなにか積極的なことを言うのではないかとの観測もあった。しかし現在の緩和を来年の張るまで続けるといっただけで、追加緩和については言及がなしだった。むしろ今年のインフレ見通しを引き上げているくらいだ。
これで金融方面からの支援が薄くなったという話になったのだろう。リスクオフでドル円も下げを強いられた。しかし私が寝る前までにはポジションを閉じておきたいと考えていたのだが、ドル円は108.50を割れず。翌日は雇用統計なのでポジションを持ちこすわけにはいかない。108.64で買い戻して終了した。
今夜は雇用統計である。予想では16万から17万人の増加が見込まれている。かなり低めの増加だ。これよりも悪かったら文句なくリスクオフとなるだろう。6月利上げは微妙となり、ドルは売られる。株価も大きく下げざるをえない。反対に結果が良かったらどうだろうか。
それもまた6月利上げは確定的となり、企業負担の増大から株価に撮ってはマイナス材料。やはりリスクオフとなってドル円は下落を余儀なくされるのではないかとも思う。つまりどちらに転んでもドル円は下がりそうである。またここ2、3日の値動きからも、テクニカル面でドル円の一段安を示唆している。
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