■日経平均、米ドル/円が急上昇! 米国株の動向に注目
今週(7月11日~)は日経平均、米ドル/円ともに大きく上昇して始まりましたね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
(出所:株マップ.com)
FRB(米連邦準備制度理事会)のバーナンキ前議長が来日、黒田日銀総裁と会談したことで「ヘリコプターマネー」(中央銀行や政府が大量の貨幣を供給する政策)実施の予測まで出ています。
バーナンキは7月12日(火)に安倍首相とも会談の予定だそうです。
来日しているバーナンキFRB前議長。黒田日銀総裁と会談したことで「ヘリコプターマネー」実施の予測まで出ているそうだ(C)Bloomberg/Getty Images
次回の日銀会合は7月28日(木)~29日(金)。追加金融緩和への期待がほぼゼロだったのが、バーナンキ来日で急変した印象ですね。
ただ、金融政策を担う中央銀行と財政政策を担う政府が一体となって行なうヘリコプターマネーについて、「法的枠組みと矛盾する」と黒田さんは記者会見で毎回のようにきっぱり否定しています。
日経平均は2月12日(金)と6月24日(金)の安値が面合わせしてダブルボトムを形成、切り返してくるように見えます。
(出所:株マップ.com)
今週(7月11日~)は意外と日経平均も米ドル/円も強いのかも…。
もうひとつ注目されたのは参院選の大勝を受けて行なわれた安倍首相の記者会見。これが大規模経済対策への期待を高めたこともあります。
いつもだと参院選後は株安・円高になるのがアノマリーだったのですが、今回は事前に補正予算などの数字を示唆していたこともあり、当てはまらないのかもしれません。
米ドル/円は100.61円、日経平均は1万4595円がともにアベノミクスによる上昇の半値戻し。ここを保てるようなら、反発が続きそうです。
【参考記事】
●英国人はEU離脱決定を後悔(=Bregret)。英中銀が公式サイトで英ポンド安を容認!?(7月11日、西原宏一)
■利下げの確率が高まる英ポンド
そう考えるとリスクオンなんですが、一方ではリスクオフで買われるゴールドも上がっています。
注目しているのがNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)での投機筋の買い。
いつもなら、これが1000トンを超えると利食いが入って下がりやすいのですが、足もとでは1100トンを超えて前代未聞の水準まで積み上がってきました。
ジョージ・ソロスがゴールドを買っているというニュースも影響しているのでしょうね。
ここまでロングが積み上がると調整しそうですが、日欧がマイナス金利でアメリカの利上げも遠い。
先進国が軒並みゼロ金利ですから、ゴールドが調整で落ちたところは拾ってもよさそう。
(出所:CQG)
今週、7月13日(水)~14日(木)には、英国でMPC(イングランド銀行金融政策委員会)がありますが、0.25%の利下げ予想が63%。イギリスも利下げの可能性が高そうです。
11月までに0.50%下げるというのがコンセンサスですから、英ポンドは引き続き戻り売りでいいのでしょう。
英国政策金利は7月14日(木)20時の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 週足)
■リスクオンとリスクオフが混在する展開に
先週、7月8日(金)には米雇用統計が発表されました。予想を大きく上回る強い数字で驚かされましたね。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移)
それでもアメリカの利上げは遠い。12月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ確率はわずか20%しかありません。
ただ、米国経済の堅調さを確認して米国株が上昇。S&P500は史上最高値をザラ場で更新(※)しましたし、NYダウも2015年5月につけた、1万8351ドルの史上最高値に接近しています。
(※編集部注:この対談は7月11日(月)の夕方に行なっています。同日のNY市場でS&P500は終値ベースで史上最高値を更新しました)
(出所:CQG)
(出所:CQG)
7月月初からの動きを見ると、円が最強通貨で次に強いのがNZドル。米国株が強いため、オセアニア通貨も買われています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
RBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])のスペンサー副総裁が住宅バブルを警戒する発言をして利下げ観測が後退したこともNZドル高の背景にあるようです。
(リアルタイムチャートはこちら →FXチャート&レート:NZドル/米ドル 4時間足)
リスクオフで買われやすい円とリスクオンで買われやすいNZドルが両方とも強い――リスクオン/オフが混在しているんですね。
Brexit(英国のEU離脱)の効果は今のところ、英ポンド安・株高として表れています。
「Brexitをきっかけにしてマーケットが大崩れする」という見方もありましたが、米国株もオセアニア通貨も強いとなると、少なくとも今の状況では遠のいたようですね。
悲観のしすぎは禁物ですね。鉄鉱石も足もとでは反発していますから、相関性の強い豪ドルも下がりにくいのでしょうし…。
(出所:CQG)
■史上最高値更新はあるのか、米国企業の決算に注目!
米国株の上昇が続くのかどうか注目ですね。今週(7月11日~)は、11日(月)のアルコア以降、JPモルガン・チェースやシティグループ、ウェルズ・ファーゴ、ブラックロックなどの決算発表が続きます。
米国株が史上最高値を更新していくようなら、米ドル/円の急落は考えにくい。中期的には95円方向なのでしょうが、短期的には買っていってもよさそうです。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足)
個人的には豪ドルやNZドルの押し目も買ってみたいですね。
米国株が史上最高値を超えてくるようなら、それもいいかもしれませんね。
ただ、やはり中心は利下げを控えた英ポンドの売り。対円ではなく対米ドルでの売りを中心に見ていきたいと思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 日足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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