8月ももう終わりに近づいているが、為替相場も含めてマーケット全体が動かなくなってきている。材料が薄いというのも原因のひとつだが、イエレン議長のスピーチを待っている様子見が続いているからが大きい。
そしてニューヨーク序盤はドル円は100円台の前半で迎えることとなった。果たしてドル円は下抜けしてしまうのか。それとも利上げ期待が高まって反転。上昇に向かうのか。
ジャクソンホールでのイエレン議長の発言内容はほぼ予想通りで、従来と同じくハト派的なものだった。それでマーケットとしては、9月利上げは急いでいないと解釈してドル安・株高で進んでいた。
ドル円も最初はピョンと跳ねたが、すぐに100円割れを狙う状態となった。市場ではこれで終わりかというガッカリ感が漂った。イエレン議長がしゃべっても、100円台を抜けられないのだ。私もたいへん面白くない展開だと思った。
しかしその2時間後くらいにフィッシャー副議長のほうが「これで9月利上げの整合性が取れた」とコメントし、マーケットはこちらのほうに過度に反応した。相場の流れは反転し、ドル高・株安に。ドル円は101円台に乗せてきて、そのまま押し目を作らずに101円台の後半まで進んだ。
ジャクソンホールでの会合の中で、私が意外だと思ったのは日銀のほうである。黒田総裁が9月会合のときに総括をすると言っているが、これはこれまでの目標や手法が間違っていたとして別の取り組みを考える反省型になるのか、それとも官僚の無謬性を強調して、あくまでも方針は間違っていないとする追加緩和を続けていく方になるのか。
これはまったく見方のわかれるところだった。それが物価目標も変えないといい、またマイナス金利は有効だと強調したのだ。これでは今年に入ってからの失望の連続である金利会合のやり方を、そのまま踏襲すると言っているようなものだ。
9月会合まで1か月を残していたが、期待だけで随分とリスクテークも起こるのだろうと思われていたが、どうやら方向は決まったようである。
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