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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

織り込み度低く米ドル/円に上昇余地アリ!?
微妙な米雇用統計でも9月利上げは濃厚?

2016年09月05日(月)18:12公開 (2016年09月05日(月)18:12更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■微妙な米雇用統計も利上げ濃厚か

注目された先週、9月2日(金)の米雇用統計ですが、NFP(非農業部門雇用者数)15.1万人増と微妙な結果。

米非農業部門雇用者数(NFP)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 米国主要経済指標の推移

9月21日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げするのかどうか――雇用統計直後に金が上昇したことから見ても、市場や識者の反応は割れています。

NY金先物 1時間足
NY金先物 1時間足

(出所:CQG)

CMEフェドウォッチのFF金利先物(※)市場でも9月利上げの織り込み度は21%しかありません

 

この状態でもし利上げしたらサプライズ。米国株市場が崩れる可能性もあるのでしょうか?!

(※ 編集部注:FF金利はフェデラルファンド金利のことで、米国の政策金利。「FF金利先物」はそれを対象とした先物)

米国の利上げが確実になるほどの雇用統計ではありませんでしたが、強い数字を求め過ぎるといつまでも利上げできない。


NFPは3カ月平均なら23万人増と充分強い数字ですし、ジャクソンホールでフィッシャーがあれだけ強気だったこともあり、個人的には利上げするのではと思っています。

【参考記事】
“上海合意”は破棄とマーケットは認識。米利上げ観測&日銀追加緩和観測高まる!(9月1日、西原宏一)

今週(9月5日~)は、6日(火)にサンフランシスコ連銀総裁、9日(金)にはボストン連銀総裁の講演が予定されています。


来週(9月12日~)からはFRB(米連邦準備制度理事会)当局者が金融政策についての発言ができなくなるブラックアウト期間。9月利上げを考えているのなら、それまでに市場の利上げ織り込み度をどれだけ高めていけるのか、ですかね。


それから7日(水)発表の米地区連銀経済報告(ベージュブック)にも注目かな。各地区から景気回復の動きが確認出来れば利上げ織り込みが進むと思いますが…。

あまり利上げが明確になると米国株が急落するリスクがある。急落させずバランスを保ちながら利上げできるよう、FRBはうまく市場とコミュニケーションしているなという印象もあります。


市場が米利上げを充分に織り込んでいないということは、米ドル/円にはまだ上昇余地がある、ということにもなります。

米ドル/円 日足 
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

■UBSは日銀の大規模な追加緩和を予想

9月20日(火)~21日(水)には日銀会合もありますが、こちらも追加緩和期待が高まっています。


きっかけはUBS銀行が出したレポート。「大規模な緩和プログラム」を発表する可能性があると、非常に強気です。

正反対の予想、日銀は「総括」で「金融政策の見直し」を迫られ白旗をあげるのではと見る向きもありますが、黒田総裁も岩田副総裁もそれは否定しています。


日経平均も7月、8月の高値を抜いて1万7000円台へ。とても強いチャートになってきましたね。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:株マップ.com

■積み上がった英ポンド売り、円ロングの解消に期待

円高が日本株の足を引っ張るのではと懸念されていましたが、ジャクソンホール以降、潮目が変わってきましたね。


もうひとつ注目したいのが英ポンド/円。今年(2016年)は英ポンド/円の急落で始まり、現在もIMM(国際通貨先物市場)では英ポンドショートが過去最高水準に積み上がったまま…。

英ポンド/円 週足
英ポンド/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 週足

一方でレバレッジファンドによる円買いポジションも2008年7月以来の高水準。

素直に考えれば、積み上がった英ポンド売り、円買いの解消が始まると英ポンド/円は急騰しますよね。

今年(2016年)は英ポンド/円主導の相場ともなっており、英ポンド/円が上昇するのなら米ドル/円の100円割れはいったん回避された可能性が高い。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

むしろ上昇余地が高まっていると言えそうです。ただ、今週(9月5日~)に関しては9日まで104.50円から105円にまとまった金額のオプションが控えているため、ここを抜けていくのは苦しいかも。

ジャクソンホール以降、安倍さんに神風が吹いているような展開ですよね。

米ドル/円が2ケタで落ち着いてしまうとアベノミクスは急失速してしまう。

 

それはアメリカにとっても得策ではないので援護射撃的に動いているのではとの見方もあります。真偽はわかりませんが、それを裏付けるような動きになってきていますね。


■原油急落によるリスクオフは遠ざかる

今月(9月)は日本と米国の金融政策発表がある21日(水)が最大のハイライトなのはもちろんですが、原油にとって大きなイベントとなるのが26日(月)から28日(水)にアルジェリアで開催されるOPECの非公式会合。


ここで原油の増産凍結が決定されるのかどうか。ロシアのプーチン大統領や先日来日したサウジアラビアの石油相が相次いで増産凍結への期待を表明しており、原油急落によるリスクオフの可能性は当面なさそうです。

WTI原油先物 日足
WTI原油先物 日足

(出所:CQG)

メルマガ「FXトレード戦略指令!」ではすでに書いているとおり、先週(8月29日~)から米ドル/円、英ポンド/円、それに日経平均を買っています。

少なくとも9月21日(水)までは押し目買いスタンスの継続でよさそうですね。

 (構成/ミドルマン・高城泰)

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