ちょろちょろと来週の日銀会合で何をしそうなのかは観測記事が出ているところなのだが、総じて何もやらないということに落ち着きそうだ。「総括的な検証」などといっていたので、もっと前向きなアクションに転じるものかと思われたが、物価目標も変えず、マイナス金利も変えない。後はマイナス金利の深堀りとか、長期国債の買い入れ増額を図る程度のものである。
総括において猛省を期待していたというのは、例えばマイナス金利なんか弊害ばかりあって、実態がないとか。マイナス金利というのはありえないのはもうバレバレなので、ネーミングを変えるでもすればまだましである。これを継続して深掘りすることで、収益構造の弱い金融機関に及ぼすダメージは大きくなり、銀行株主導での株安は決定的になった。マーケットのほうでは妙な期待っだけが残っているので、まだ株価にフェアバリューは織り込まれていない。
国債の買い入れも見直さないといけない時期だ。長期債を買い上げるということは、長期金利の低下を促すということである。長期債の利回りはインフレを表すものなのに、それを低下させてどうするのだろう。デフレを脱却するために物価目標プラス2.0%に設定しているのに。ますますデフレマインドを助長していることに気がつかないわけでもないはずだ。企業の資金調達コストを助けるのが第一義の目的ではあるまい。
しかし総括した結果がこれまでの手法の延長だというのは、まったくの失望を誘うことになるだろう。日本の市場は十分に大きく流動性も高い。だから日本株やドル円だといっても、もう日本人だけの思惑で値段は決められないのだ。ゆえに我々、日本人が思っている以上に、海外勢の動向を意識しないといけないところ。
昨日の海外市場では原油相場の軟化もあったが、そうした金融政策に対する期待が薄まってきたことでもリスクオフの傾向が強まった。東京時間ですでに102円台まで落ちてきていたドル円だったが、それは海外市場にシフトしてきてからも軟調さは変わらず。今日になってドル円は102円割れを喫してしている。
今年に入っての日銀の金利会合があるたびにドル円はフレッシュな安値を更新している。これは明らかにマーケットの反応がタイトニングになっていることを示している。日銀は緩和をしているつもりでも、市場との対話がまったくできていないために不必要な期待だけが高まって、その期待に沿わない行動しか起こしていないところに、その原因がある。
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