■米ドル/円の安値を追うべきでないとチャートが示唆
米ドル/円を例として挙げてみると、安値111.58円をつけた2月7日(火)午前中の時点では、反転の材料が見当たらなく、また、日米会談でまた円安が牽制されるのでは…といった心配が多かった中、なかなか米ドル/円の安値を拾えなかったかもしれない。
しかし、米ドル/円の内部構造から考えると、少なくとも安値を追うべきではないことがはっきり示唆されていたから、当日(2月7日)午前中に配信したレポートをもって説明したい。以下は本文:
オポチュニティ ドル/円・限界を探る
(出所:Bloomberg)
ドル/円はドルインデックスの動向と逆行し、ユーロ/円などクロス円の下げにつられた形で112関門を割り込んでいる。ここから下げ幅を拡大していくかどうかは焦点となるが、4時間足における構造を見る限り、ドル安の限界が近づいていることが分かる。
上のチャートに表示したように、W-X-Yとったダブルジグザグ変動パターンがなお維持され、またY(緑)の最終子波が拡大されたものの、同子波におけるジグザグ構造の再規定によって、ジグザグ自体の最終子波C(黄)が下落ウェッジのフォーメーションを形成していることが分かる。重要なのは、同フォーメーション自体の内部構造に鑑み、112関門割れとはいえ、すでに最終段階に入り、ここから大幅な下落余地を拓くよりも、反騰してくる公算が大きい。
となると、112関門の回復はもちろん、継続した形で3日高値113.44の打診が期待されよう。同打診があれば、最終子波の底打ちを示し、今度の好機につながるでしょう。シグナル待ちを。
となると、足元すでに113.44円を突破しており、米ドル/円の基調が好転されていることがわかる。
もちろん、これは前述の米ドル高に寄与する材料が出たから…と言っても別に間違いではないが、強調したいのは、「米ドルがすでに反転してきたからこそ、こういった材料が効いたわけで、事前にマーケットのサインを察しておけば、間違いを回避でき、また、チャンスをつかむことが可能」ということだ。
足元の米ドル/円は、日足では2017年年初来のメインレジスタンスラインを突破しようとしているのがわかる。
(出所:Bloomberg)
すでに113.44円を上回った以上、同ラインのブレイクは、ホンモノであろう。米ドルの反騰が、一段と続く見通しだ。
■日米首脳会談においては、リスクオフの警戒は不要
最後に、日米首脳会談において、気まぐれなトランプ氏がまた何を話すのかわからないから、リスクオフを警戒しておく必要がある、という意見も多数あるが、杞憂とは言い切れないものの、基本的に現時点ではリスクオフの地合いではないと思う。
何しろ、昨日(2月9日)、NYダウは再度、史上最高値を更新しており、VIX指数は安値を更新したから、むしろ、リスクオンの再来を警戒すべきでは…と思うほどだ。
(出所:Bloomberg)
だから、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)はそろって反騰しており、しばらく反騰が続くのでは…と推測される。
しかし、VIX指数の最安値更新を、市場の慢心や過度な楽観を示唆するサインと受け取る場合、どこかで大きな反転もあり得る。
この視点からみると、足元、為替市場の値動きがだいぶ「遅れている」ように見えるのも気がかりだ。
このあたりの分析は、また次回詳説したい。市況はいかに。
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