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西原宏一・叶内文子の「FX&株 今週の作戦会議」

米ドル売りを中期で米ドル/円から米ドル/スイスフランに
移行。解放の日以降、主要通貨の対米ドル上昇率は円がも
っとも低く、最強なのはほぼゼロ金利のスイスフラン!

2025年06月09日(月)16:05公開 (2025年06月09日(月)16:05更新)
西原宏一&叶内文子

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トランプ大統領とイーロン・マスクの対立が激化し、テスラ株は一時15%も急落! 

西原宏一(以下、トレーダー西原)叶内文子(以下、MC叶内) みなさん、こんにちは。

トレーダー西原 先週(6月2日~)驚かされたのが、イーロン・マスクとトランプ大統領の対立です。

 減税法案に反対するテスラCEOのイーロン・マスクとトランプ大統領の対立が激化。テスラ株は一時15%も急落しています。

テスラ 日足
テスラ 日足チャート

(出所:TradingView

 それではまず、株の振り返りからいきましょうか?

MC叶内 はい、今週(6月9日~)もよろしくお願いします。

 米国株は値幅が小さいながらも上昇基調をたどりました。S&P500は前週末比1.50%高の6000.36ポイント。2月下旬以来の6000ポイント台乗せで、最高値更新が視野に入ってきたとの声も聞かれました。ナスダック総合指数は2.18%高、NYダウは1.17%高と2週連続で上昇しています。

 いわゆる「恐怖指数」であるVIX指数は2月20日(木)以来の低水準まで低下しました。

 貿易交渉では、週前半に鉄鋼・アルミ関税の倍増が発表され警戒感が高まりましたが、対中国ではトランプ大統領が6月9日(月)にロンドンで閣僚級協議を行うと発表、株式市場は米中交渉の進展を期待しているようです。

 ISMサービス業など弱い経済指標に景気減速懸念が高まる場面もありましたが、週末の雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を上回り、失業率は横ばいと、過度な懸念が後退するかっこうとなりました。

 エヌビディアなど大手ハイテク株も上昇しています。ただし、テスラは15%近い大幅下落。減税法案に反対するテスラCEOのイーロン・マスク氏とトランプ大統領の対立が激化しました。

 日経平均は前週末比223円(0.6%)安の3万7741円と、2週ぶりに下落。TOPIXは1.2%安で方向感の定まらない動きでした。半導体関連が上昇した一方、中国のレアアース輸出規制の影響を受けたスズキなど自動車株が売られています。

 為替市場はいかがでしたか。

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ユーロ/米ドルはラガルドECB総裁の発言で1.1495ドルまで上昇も、ほぼ予想どおりで反落。米ドル/円は142円割れできず反発

トレーダー西原先週の作戦会議コラムで取り上げたとおり、先週は米ドル/円より、欧州通貨中心のマーケットでした。それは先週、ECB(欧州中央銀行)理事会が開催されたからです。

【※関連記事はこちら!】
米ドル/円はトランプ関税差し止め命令で146円台まで急騰も、急失速して上値の重さを再確認! 今週は欧州通貨に注目。債務問題で優勢なスイスフランに対し米ドル売り継続(6月2日、西原宏一&叶内文子)

 今年(2025年)はファンダメンタルズよりも、政治がマーケットの鍵を握っている相場展開が多いのですが、さすがに6月5日(木)のECBの金融政策決定会合は注目されていました。

 ECBは8回目となる利下げを実施。声明では「インフレ率は現在、中期目標である2%付近にある」と指摘されました。

 ラガルドECB総裁は「利下げ局面の終わりに差し掛かっている」との見解を示しており、これを受け、ユーロドルは一時1.1495ドルまで急騰する局面もありました。

 ただ、こうしたことはマーケットのコンセンサスでもあったため、ユーロ/米ドルは利益確定売りが上値をおさえ、先週は1.1400レベルで週を終えています。

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足チャート

(出所:TradingView

 一方、米ドル/円は142円台を割り込むのに一定の時間がかかるとみていましたが、結局先週も何度かトライするも節目の142.00円をどうしても割り込めず、反発しています。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足チャート

(出所:TradingView

 基本的な米ドル安トレンドは変わりませんが、他通貨と比較して米ドル/円は下げ渋っているため、米ドル/円以外の通貨にも注目したほうがいいかもしれません。これについては展望で取り上げます。

 それでは、今週のスケジュールと株の展望をお願いします。

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今週の株式市場は6月15日にG7首脳会議、翌週にFOMC・日銀会合があり、動きにくいかも

MC叶内 6月9日(月)に米中通商協議があり、レアアース問題などで進展があるのか注目されます。

 米国指標では6月11日(水)に発表される5月CPI(消費者物価指数)が重要です。市場予想では総合で+0.1(前月+0.2)、コアは+0.3(前月+0.2)。関税の影響は新車価格に出ている可能性があります。輸入比率の高い家具、家電は4月に上昇していました。5月はどうでしょう。

 6月12日(木)にPPI(卸売物価指数)も出ます。市場予想は総合+0.2(前月-0.5)、コア+0.3(前月-0.4)。6月13日(金)にミシガン大学消費者信頼感指数速報(6月)が発表になります。市場予想は52.0、前月は52.2でした。

 コンファレンスボード調査の5月信頼感は12.3ポイントの大幅な改善でした。ミシガンの5月確報値は小幅な上方修正にとどまっています。そのぶん6月調査は大幅上昇となるのか。一方、5月確報で大きく低下した家計のインフレ期待が更に下がるのか見たいところです。

 国内の指標では、6月9日(月)朝に1~3月期GDP改定値が発表されています。年率換算で0.2%減と市場予想0.5%減より小幅なマイナスにとどまりました。個人消費などが上振れし、5月発表の速報値(0.7%減)から上方修正されました。景気判断を変えるような内容にはなっていないと思います。

 そのほか、6月9日(月)に景気ウォッチャー調査、中国CPI・PPI、6月10日(火)に工作機械受注、台TSMC月次、6月11日(水)に国内企業物価指数、国会党首討論、米10年債入札、6月12日(木)に法人企業景気予測調査、米新規失業保険申請件数、米30年債入札、6月13日(金)にメジャーSQ、鉱工業生産(4月)、東京都議選告示(6月22日投開票)、ユーロ圏鉱工業生産指数、独CPIの発表などが予定されています。

 米アップルの年次世界開発者会議「WWDC25」が6月9日(月)開幕(~6月13日)。AI関連のサービスに注目が集まっています。6月12日(木)にテスラのロボタクシーがテキサスで運行を開始すると報じられています。Apple、テスラともに株価への影響が気になります。

 6月15日(日)にG7首脳会議(先進7か国サミット、6月17日まで)が開幕します。翌週(6月16日~)にFOMC(米連邦公開市場委員会)を控え、ブラックアウト期間入りします。

 今週の株式市場ですが、6月15日(日)にG7首脳会議、翌週にFOMC・日銀会合(日銀金融政策決定会合)がありますので、動きにくいかもしれません。

 引き続き米中閣僚協議の行方、半導体規制の動向などに左右されそうです。市場ではある程度楽観しています。

 今週はインフレ指標が注目されますが、CPIコアは伸びの加速が予想されています。先週末の雇用統計で賃金の伸びが予想を上回っていたことも合わせ、FRBは利下げに慎重姿勢を続けそうですが、再び利下げを迫ったトランプ大統領がさらなる口撃にでるかも気にされそうです。

 また、国債入札も油断がなりません。海外勢の動向に注目です。
国内も、関税交渉にふらされそうですが、今のところ日本が希望している自動車関税ゼロは難しそうで、株価には重しかもしれません。

 東京都議選や参院選が近づくなか、党首討論などがあり、政治の季節に入るかもしれません。

 日本固有の材料として、6月末にかけては株主総会が集中します。株価を崩したくない時期と言われ、過去も日経平均は相対的に堅調です。株主還元や再編などの材料もありそうです。

 為替市場はいかがですか。

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米ドルに対して最強なのはほぼゼロ金利のスイスフラン。中期の米ドル売りを米ドル/円から米ドル/スイスフランに移行

トレーダー西原 今年も今月(6月)で半分終わってしまうこともあり、今回は今週の展望というより、少し中期の展望をご紹介しようと思います。

 現在、グローバルでは米国からの資金流出が起きているようです。

 昨年(2024年)までは、生成AI中心に米国でのAI関連の急速な発展により、米国はあくまでも「特別な存在」であり、多くの投資家は、米国への投資を進めていました。

 しかし、今年の2月頃「トランプトレードの終焉」をきっかけに、米国から投資資金が急速に他のプロダクトに移行しているようです。

 FT(フィナンシャルタイムズ)の著名コラムニスト、ジリアン・テットも「カナダの年金基金からアジアの有力機関に至るまで、様々な投資グループが米国資産から密かに分散投資を進めていると私に告げるのも不思議ではない」とコメントしています。

 こうした米国資産からの分散投資が、広範な米ドル安を誘引していると考えています。

 一方、4月2日(水)「解放の日(※)」以来の主要通貨の対米ドル騰落率と見てみると、米ドルはすべての主要通貨に対して下落しています。

(※編集部注:「解放の日」とは、トランプ大統領が各国・地域に課す相互関税を公表した4月2日(水)のこと。トランプ大統領はこの日を「解放の日」と表現した)

「解放の日」以降の主要通貨の対米ドル騰落率

主要通貨のなかで、米ドルに対してもっとも値を上げているのが、最強通貨スイスフランです。

 本稿執筆時点でのスイスの政策金利は0.25%。6月19日(木)の金融政策決定会合では0.25%の利下げも織り込まれています。さらに、SNB(スイス国立銀行[スイスの中央銀行])はマイナス金利へシフトすると囁かれているにもかかわらず、ほぼゼロ金利のスイスフランは最強

 一方、対円でも米ドル安ですが、主要通貨の中では最も米ドルに対する上昇率が低い。これは日本からの米国への投資熱が下がっていないからだと考えます。

 新NISAを利用した個人のS&P500への投資。そして、まったく減らないデジタル赤字などから考えれば、日本から米国への資金移動は減っていないようです。

 これは他の主要国の動向とは違った方向性です。

 そのため、個人的には米ドルショートは米ドル/スイスフランに移行しています。

米ドル/スイスフラン 日足
米ドル/スイスフラン 日足チャート

(出所:TradingView

対円でも米ドル弱気のスタンスは変わっていませんが、米ドル/円での米ドルショートが中期戦になるとスワップコストが痛いので、米ドル/スイスフランかユーロ/米ドルでの米ドルショートを中心にしていこうと考えています。

 米ドル/円はヘッドラインに惑わされて安値を叩かないよう、留意しながら戻り待ちです。

トレーダー西原MC叶内 それでは、今週も株と為替のトレーディングを楽しんでいきましょう。


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