金曜日のアジア時間ではドル円は112円台の後半で推移した。前日の113円台から滑り落ちて、なかなか113円台を取り戻さない。前日のムニューチン財務相の税制改革に関するコメントが、再度見直されたようだ。
国境税の法整備のあり方が議会の提案と異なることや、大型減税の財源をどうするかなどである。特に財源を手当てするとなると、時間がかかる。1年でも早過ぎるほどなのに、果たして速攻でできるのか。それに対する不安で、欧州時間ではリスク回避が進んだ。
そもそも113円台に戻しきれない状況に業を煮やして、ドル円は売り意欲が強まってきていた。そこへ持ってきての前日の安値ブレーク。112.50ビローはどんどん売りが売りを呼んでいる感じで、そのままズルズルと下がっていった。
グローベックスではニューヨークオープン前の時点で、米国株はかなり押しがきつかった。ユーロ円もかなり下げ渋っていた119円台を割り込んできて、ちょっとリスク調整への不安が出てきた。私も112円台中盤から何度もドル円をショートにしては買い戻すを繰り返していたのだった。
ニューヨーク勢が参入してもリスク回避の動きはおさまらず、米国株も金融株の下げ主導でスタート。トランプ政権の補佐官が議会の提案する税制改革は飲めないと発言したことが伝わって、ドル円は112円割れをトライしにいった。ドル円はすぐに戻しにかかったが、ニューヨーク時間の午後にはドル円も瞬間的ではあったが111円台まで沈んだ。
ドル円の111円台というのは今年の最安値圏である。しかし米政府が補佐官の発言を否定したことで、米国株は終盤で切り返した。ダウ平均は11日連続の最高値の更新となったが、いかにも高値警戒感でいっぱいの相場展開となった。ドル円も底から離脱してニューヨーククローズを迎えた。
今週の注目イベントは、明日のトランプ大統領の議会演説となる。そこでおおまかな政策の内容と実施時期が明らかになるものと考えられる。しかし世評ではかなり期待が後退してきているのが実情だ。
減税など財政措置の必要なものは年の後半にずれ込むことが見込まれ、しかも優先順位が低くなるかもしれないという恐れも出てきている。マーケット的には現在もなお続いている株高の反動がいつのタイミングで表に出てくるのかが最大の関心事となる。今晩のニューヨーク時間から要注意である。ドル円も111.50を割り込んできたら、その勢いでどこまで落ちるか、枠をはめないで見守る必要がある。
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