■ドルインデックスは重要ポイント上抜け!102.95をめざすか
米ドル高基調が鮮明になっている。ドルインデックスでみると、前回のコラムで指摘していた重要ポイントがすでにブレイクされたことがわかる。
【参考記事】
●レジスタンスとサポートの役割転換に注目! あそこを突破すれば、米ドル買いの好機!(2017年2月24日、陳満咲杜)

(出所:Bloomberg)
ブレイク自体は一昨日(3月1日)の出来事だが、昨日(3月2日)の安値に注目すれば、元のメインレジスタンス水準(≒107.73~75)は一転してサポートゾーンとして意識されているのもわかる。
このような状況が保たれていけば、基本的に米ドル高基調が継続するだろう。ドルインデックスの上値ターゲットとして、1月11日(水)高値の102.95前後が射程圏内に収まるだろう。
■米ドル/円も上昇波に復帰とみる理由とは?
米ドル/円に関しては、「2017年年初来展開された調整波が、2月7日(火)安値111.58円にてすでに終焉し、そこから上昇波に復帰してきた」という見方が、今週(2月27日~)の値動きによって証左された。テクニカル上のポイントとして、少なくとも以下の2点が挙げられる。
まずは、2月28日(火)の安値打診や、当日の大幅反騰だ。このシグナルについて、筆者は3月1日(水)のレポートをもって詳しく説明していたから、本文をご参照いただきたい。

(出所:Bloomberg)
ドル/円は上昇波へ復帰する公算を高めている。昨日の安値打診、またその後の大幅切り返しが重要なヒントを示唆してくれる。
もっとも、我々のカウントでは、2月7日安値111.58の更新さえ回避できれば、同安値起点とした上昇波が継続され、また5波構造を有する推進波の構造を示す。ゆえに、2月15日高値114.96を起点とした反落、同5波構造における第2調整波としてみなされ、また昨日安値の「深押し」をもって一段と同位置づけを鮮明化された。(第2調整波は深く押してくる傾向が強いとされる)
この視点から見ると、昨日の安値打診、一旦2月24日安値を下回っていたから、同安値打診、「フェイク」(ダマシ)と見做される。何しろ、終値をもって大きく反騰し、24日終値より高く大引けしていたから、「強気リバーサル」のサインを点灯、また24日、27日上罫線が示した「インサイド」の下放れを否定してしまうから、上昇方向へ「セットアップ」されるサインでもあったとみる。
従って、これから2月21日高値113.78を上回れば、同高値が転換点として重視され、上昇波が一段と加速されよう。同高値の突破、「フェイクセットアップ」の結果であり、また証左でもあろう。
次はやはり、レポートの中で「転換点」と記した2月21日(火)高値113.78円に対するブレイクであった。

(出所:Bloomberg)
2月21日(火)高値はなぜ重要なポイントになっているかというと、それはほかならぬ、同日の高値をもっていったん「ダマシ」のサインが形成されていたからだ。
2月17日(金)、20日(月)に形成された「インサイド」のサインに対し、21日(火)にいったん上放れを示唆していたから、本来続伸するサインが点灯していたが、その後、反落し、17日(金)安値を割り込んでしまった。そのため、15日(水)高値114.96を起点とした下落波の延長が決定づけられた。
ゆえに、2月21日(火)高値のブレイクは、114.96円を起点とした下落波の終焉を確認するポイントとしてもっとも重要性が高く、また、下落波から上昇波への転換ポイントとして挙げられる。
実際、昨日(3月2日)の安値は、2月21日(火)高値113.78円を意識していたように見え、元のレジスタンスポイントが新たなサポートポイントとして「役割転換」となれば、新たなトレンドが継続されるという見方は、基本的に先週(2月24日)の話と同様である。
【参考記事】
●レジスタンスとサポートの役割転換に注目! あそこを突破すれば、米ドル買いの好機!(2017年2月24日、陳満咲杜)
■リスクオンに無反応の円がリスクオフに無反応とは限らない
米3月利上げ観測が高まっている中、足元の米ドル全体の上昇は、当然の結果と思われる。
また、トランプ氏の議会演説を無事通過したところに、NYダウの2万1000ドルの大台乗せもあって、リスクオンの局面がしばらく続くと推測されるから、米ドル/円も高値トライしやすいだろう。115円の節目回復があれば、米ドル/円の一段高値トライを覚悟しておきたい。

(出所:Bloomberg)
反面、一抹の不安もある。
なにしろ、NYダウをはじめ、米国株の連騰はショート筋の踏み上げが背景になっていた模様だ。特にトランプ大統領初の議会演説前に、米国株の空売りが急増し、その後、急速に決済(買戻し)されたと言われている。米国株の大台乗せは、どうやらショート筋の投げによって作られた側面が大きい。
そもそも、2017年年初来の米国株の連騰は、リスクオン・オフの意味合いにおいて、円の値動きとだいぶ乖離してきたが、リスクオンに反応しない円がリスクオフにも反応しないとは限らない。
仮に米国株が崩れてくれば、リスクオフの円買いが間違いなく展開されるから、やはり油断できない。
■NYダウはどこまで上がる? バブル崩壊は?
では、肝心の米国株をどうみるべきか、米国株はどこまで上昇するのか、果たして歴史的な天井から暴落がくるのか。
究極的には、これらの質問をすべて事前に答えられる人はいないと思うし、筆者にわかるならば、もうとっくにこの原稿を書いていないと思われるが、あえて答えるなら、目先、米国株は調整があっても、崩れる(ベア(下落)トレンドへ転換)のは回避されるのではないだろうか。いつかは崩れると思うが、目先でないことは確かだ。

(出所:Bloomberg)
なぜなら、米3月利上げ観測が90%の確率まで上昇し、また、1回50ポイントの利上げもありといった憶測が出始めている現在のような状況において、経験則的には、米国株のベアトレンド転換はなかなか前例がないからだ。
要するに、利上げ途中、また、利上げを加速している間は景気は上昇し、また加速期間であるため、米国株が買われすぎの状態にあってもなかなか崩れない。利上げが最終段階、また一服しそうな時、初めて崩れる可能性が出てくるが、今はその段階ではない。
確かに連騰する米国株は「バブル」であるかもしれないが、歴史的な高値圏にあるから、連続して史上最高値を更新したからと言って、米国株が暴落してくるとは限らない。このあたり、市場より出しゃばりすぎないほうがよさそうだ。
■米ドル/円は115円に乗らなければ、なお保ち合いか
まとめてみると、米ドル/円を含め、米ドル全体はすでに上昇波に復帰した公算が大きく、また、米利上げ途中といった時期において、本格的なリスクオフの局面がすぐ来るとも想定されにくいから、米ドル高基調が当面継続されるだろう。
ただし、前回のコラムでも指摘したように、「トランプ・ラリー」の再来も期待しにくいから、米ドル高が継続しても、急伸ではなく、ゆるやかなトレンドになりやすいのでは。
【参考記事】
●レジスタンスとサポートの役割転換に注目! あそこを突破すれば、米ドル買いの好機!(2017年2月24日、陳満咲杜)
この意味では、米ドル/円に限って言えば、115円の節目乗せに成功しないうちは、なお保ち合いありと覚悟すべきではないだろうか。

(出所:Bloomberg)
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