■米ドル全体が底打ちした可能性大!
桜を待つ間、為替市場も変調の兆しが出てきた。結論から申し上げると、米ドル全体が底打ちした可能性は大きいと思う。
ドルインデックスでみると、週明け(2017年3月27日)からいきなり「ギャップ」を空けて急落し、2月安値をいったん割り込んだが、急落せず、翌日(3月28日)から反転、足元まで継続してリバウンドしてきた。

(出所:Bloomberg)
これは、大きなサインを灯したとみる。このサインとは「フォールス・ブレイクアウト」、すなわち2月安値に対するブレイクがダマシだったことを示唆するものであり、米ドルの底打ちを強く暗示している。
相場は詭道なり、ゆえに、ダマシほど有効なシグナルはないと言われる。
2月安値のいったん更新が結局ダマシだったとすれば、ショート筋が踏み上げられ、さらに、ここぞとばかりに新規ロング筋が参入したことが推測される。そして、これらが足元までのリバウンドをもたらしているとみるのが、相場の真実に近いかと思う。
■ダマシは市況を一変させる? 米ドル/円が好例
重要な高値、安値に対するブレイクが結果的に「フォールス」、すなわちダマシに終わったのであれば、往々にして市況を一変させる力を持つ。最近の好例を挙げるなら、米ドル/円は一番説得力があるだろう。
米ドル/円は3月10日(金)の高値トライが、2月15日(水)高値や1月末高値をいったん更新できたものの、続伸せず一転して大きく下落したので、「フォールス・ブレイクアウト」のサインを点灯していた。

(出所:Bloomberg)
同サインが点灯したからこそ、2月安値を割り込んだわけだから、2017年年初来の米ドル安がさらに延長されたわけだ。
この前例を見ると、ドルインデックスのサインがホンモノであれば、ここから3月高値を再トライ、また更新していくことが推測される。こうなれば、2017年年初来続いてきた米ドル全体の調整は、すでに今週(3月27日~)の安値をもって完成され、これから米ドル高基調を強めていくことが想定される。
週足では、たびたび指摘してきたように、2015年における重要な高値(3月と11月)前後はメインレジスタンスゾーンであったから、2016年11月にてやっと上放れを果たしただけに、一転してサポートゾーンになりやすい。

(出所:Bloomberg)
なにしろ、ブレイクするのにかなり時間がかかったから、役割の交替(元レジスタンスがサポートになる)は確認されやすいものだ。週明けの「フォールス・ブレイクアウト」のサインが、究極の証左材料と見なせるだろう。
■ユーロ/米ドルには当然反対方向のサインが
当然のように、ユーロ/米ドルの場合、反対の方向を示すサインが点灯している。3月27日(月)の高値トライで、一時2月高値や2016年12月高値をブレイクしたものの、一転して大きく反落、同サインの可能性を示唆している。

(出所:Bloomberg)
ホンモノなら、これから2月安値を割り込み、ベアトレンドへの復帰が想定される。
■細かいポイントに注意してフォーローすれば早期判定可能
実際、今現在は米ドルの反騰構図が鮮明化してきたか、底打ちしたといった観測が出やすいが、週明け(3月27日)の時点ではなかなか難しかったと思う。が、それでも細かいポイントを注意してフォローしていけば、早期判定ができたと思う。
3月27日(月)の朝、筆者がつぶやいたように、3月10日(金)からほぼ一貫して下落してきたドルインデックスは、「ギャップ」をつけて安値トライしていた。このような形はトレンドの加速よりも「行きすぎ」、または「出尽くし」を暗示するサインとなるケースが多い。

このことがわかれば、3月27日(月)の時点で、なかなか米ドルは買えないが、せめて安値追いの売りは避けられたのではないだろうか。
週明け(3月27日)は、ユーロ/米ドルや米ドル/円もドルインデックスと同じく、ギャップ(窓)をつけていた。よく観察すれば、ユーロの高値追いは避けられたはずだ。理屈は基本、ドルインデックスと同じだが、ユーロの場合はメインレジスタンスゾーンにあったからだ。3月28日(火)の筆者のツイートでは、このことを指摘していた。

■米ドル/円は「たくり線」で急落回避がポイントだった
さらに、米ドル/円の方もわかりやすかったと思う。FX会社によって違ってくるが、3月27日(月)が陽線で引けたか、それとも陰線で引けたかは重要ではなく、重要なのは同日にギャップをつけてから、「たくり線」をもって急落を回避していた点だ。
3月28日(火)のつぶやきでは、俳句風のメッセージをもって米ドル/円底打ちの可能性を示唆していた。

俳句自体(俳句といえるかどうかはわからないが…)はどうでもよいが、いったん底打ちのポイントを書いていた。
要するに「窓」を開けた(ギャップをつけた)後の「たくり」線の出現は、往々にして一服するタイミングを示唆するサインと見なされるから、3月28日(火)の値動きがその可能性を証左してくれるなら、陽線引きになるはずだと思っていた。
実際、そのとおり、米ドル/円は反騰したから、次のつぶやきでは、底打ちを確認、一段と反騰を示唆したわけだ。

3月30日(木)のユーロ/米ドルでも「俳句遊び」をやったが、「鷽(ウソ)替えて」(※)と「嘘変えて」をかけて、「フォールス」のサインが米ドルにとって吉であることを示唆した。
(※編集部注:「鷽」(ウソ)は鳥の名前。「鷽替え」とは太宰府天満宮をはじめ、菅原道真を祀る神社で行われる神事。神社から授かった木彫りの鷽を年に一度交換することで、前年の災厄が「ウソ」になり、新しい年は吉兆になるとされている)

このように、丹念にマーケットのサインをフォローしていけば、サインを早期発見して、その意味合いを解明し、それをトレードに応用して、優位性を得ることができるだろう。
■今後気になるのは英ポンド/円
これからの市況に関して、仮に我々の米ドル全体に対する判断が正しければ、主要通貨ペアのみではなく、これからのクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)における明暗も察することができるのではないだろうか。
詳細はまた次回にて検討したいが、結論から言えば、英ポンド/円の動向が一番気になり、また一番可能性が大きいとみる。市況はいかに。
(執筆14:00)
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