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信託保全の安全神話をぶち壊してくれた
日本FX史上に燦然と輝くFX会社とは?

2017年04月12日(水)12:05公開 (2017年04月12日(水)12:05更新)
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「振り込んだお金が消滅!? FX業界でも、てるみくらぶ事件は起こり得るのか?」からつづく)

信託保全の安全神話をぶち壊したイニシア・スター証券

「信託保全は安全とは限らない」という、日本FX史上に燦然と輝く事例を残してくれた会社がある。イニシア・スター証券だ。

 同社は2012年に関東財務局から業務停止命令、さらには登録取消しという厳しい処分を受け、ついには破綻に至った。

イニシア・スター証券株式会社に対する行政処分について
イニシア・スター証券株式会社に対する行政処分について

(出所:金融庁)

 イニシア・スター証券はいったい何をやったのか?

 関東財務局が2012年12月5日に発表した「イニシア・スター証券株式会社に対する行政処分について」という文書の一部を引用すると、以下のとおりだ。

① 顧客区分管理必要額の信託不足
 今回検査において、顧客区分管理必要額の算定根拠となる顧客からの預り金(以下「顧客預り金」という。)を確認したところ、116百万円の信託不足が発生している。

② 区分管理すべき顧客資産を運転資金等に流用している状況
 上記①において、当社A取締役は、当社会長(当社の100%子会社(以下「B社」という。)の社長)から、顧客預り金を取り崩してB社や当社会長から指示のあった者への貸付金(又は立替金)とするよう指示を受け、平成24年8月31日以降、部下に指示の上、数度に亘り顧客区分管理信託額から取り崩し、125百万円を貸付金(立替金)や当社の運転資金等に流用している。

 つまり、イニシア・スター証券は表向き、信託保全していると言っていても、実際には信託保全しておらず、顧客資金を運転資金などに流用していたということだ。

 信託保全というしくみは、それがありさえすれば、絶対安全というわけではなく、実際に信託保全が実行されていなければダメなのだということをイニシア・スター証券は身をもって、FXトレーダーのみなさんに示してくれたのである。

イニシア・スター証券の公式サイト(2011年のもの)
イニシア・スター証券の公式サイト

(出所:「Internet Archive」に保存されていたもの。ただし、空白になっていた箇所を削除して構成)

自己資本規制比率や業績などを総合的に見るしかない

前回の記事で筆者は“破綻でお金が戻ってこないリスク”については、2つの観点から考察する必要があると書いた。

【参考記事】
振り込んだお金が消滅!? FX業界でも、てるみくらぶ事件は起こり得るのか?

 今一度、それを記してみよう。

(1) しくみとして安全かどうか

(2) 総合的に見て安全かどうか

 このうちの(1)の方について、安全を担保するしくみがあれば、万事安心と考えてしまいがちだが、それでは不十分ということがイニシア・スター証券の事例ではわかった。すると結局、(2)の方、総合的に見てどうかということを十分考えなければならないことになる。

120%以上維持が義務づけられている自己資本規制比率

 FX会社、証券会社などの健全性を見る指標としては「自己資本規制比率」がある。

自己資本規制比率は120%以上を維持することが義務づけられており、140%を下回ったら金融庁への届け出が必要になるとか、100%を下回ったら金融庁は業務停止を命ずることができるといった定めがある。

自己資本規制比率と金融商品取引法などの規定

 この自己資本規制比率の数値は1つの参考にはなりそうだ。

自己資本規制比率が高いFX会社(2016年12月現在)
自己資本規制比率が高いFX会社(2016年12月現在)

【参考コンテンツ】
FX会社おすすめ比較:会社の信頼性で比べる「自己資本規制比率の高い順」

 上表は「自己資本規制比率が高いFX会社」を参考までに挙げてみたものだ。ただ、この数値は一定程度高ければよく、高ければ高いほどよいという性質のものではないように思える。

 また、自己資本規制比率は公表が義務づけられているのが3カ月に1回ということなどもあり、これだけを見ればOKというわけにもいかないのではないだろうか。

 結局、FX会社の健全性を判断するには、面倒くさい話だが、自己資本規制比率のほか、財務状況、業績、グループ会社の規模、経営陣の経歴や言動・姿勢、株主の状況、その会社の沿革といったものを総合的に見ていかなくてはならないだろう。

 そして、当該会社や持株会社が上場企業であれば、業績などの開示資料が豊富で、健全性について判断しやすいといったことはあるだろう。

 また、上場企業でなくても、各FX会社は「業務及び財産の状況に関する説明書」というタイトルの資料などを公式サイトで公表していることが多く、この資料などで財務状況や業績については知ることができる場合が多い。

【参考記事】
FX会社の株式上場ってどうなってるの? 旅行会社H.I.SとあのFX会社に意外な関係

業務及び財産の状況に関する説明書(ワイジェイFX株式会社)
業務及び財産の状況に関する説明書(ワイジェイFX株式会社

 「業務及び財産の状況に関する説明書」もしくはそれに類似した資料を公式サイトで公表していないと思われるFX会社もあるが、そのこと自体がそのFX会社の信頼性を判断する1つの指標となるかもしれない。

これを見れば絶対大丈夫という指標は残念ながらない

ザイFX!「FX会社おすすめ比較」には「会社の信頼性で比べる」というページを設けてある。ここでは自己資本規制比率をはじめとして、健全性を判断する材料となりそうな事柄を比較することができる。

FX会社おすすめ比較:会社の信頼性で比べる
FX会社おすすめ比較:会社の信頼性で比べる

【参考コンテンツ】
FX会社おすすめ比較:会社の信頼性で比べる

 また、「FX会社おすすめ比較」に掲載している各FX会社の「FX会社詳細情報」のページには「ザイFX! レーティング」を掲載しているが、その中には「信頼性」という項目がある。

FX会社詳細情報の例(GMOクリック証券「FXネオ」
FX会社詳細情報の例(GMOクリック証券「FXネオ」

 これはいわゆる健全性とはやや異なる概念。健全性だけでなく、システムの安定性や顧客情報の管理態勢、情報開示の状況といった、もう少し広い内容を含んだニュアンスのものになるが、1つの参考にはしてもらえるかもしれない。

ザイFX!「FX会社おすすめ比較」にはたくさんのFX会社を掲載しているが、ここにはすべてのFX会社を掲載しているわけではない。判断に悩みながらも、信頼してよいか心許ないと考えて掲載していないFX会社もある(※)そのような会社は掲載しない方が読者のためになると考えるからだ。

(※掲載の有無はそのFX会社の健全性だけで決まっているわけではない。他の事情で掲載しないこともあり得る)

 FX会社の健全性をどう判断するか。これを見ておけば絶対大丈夫という指標があるわけではない。結局、いろいろと総合的に見て判断するしかないのだ。

「FX業界でも、てるみくらぶ事件は起こりえるのか?」という前回の記事タイトルで掲げた問いに対し、もしも、イエス・ノーの二択で答えなければならないとするならば、イエスと答えざるを得ない。イニシア・スター証券の事例はそのことを教えてくれた。FXには信託保全という制度があるからといって、それで絶対安全とは言い切れないのだ。

【参考記事】
振り込んだお金が消滅!? FX業界でも、てるみくらぶ事件は起こり得るのか?

 ただ、やたらと心配しすぎる必要もないだろう。ザイFX!「FX会社おすすめ比較」に掲載しているようなFX会社が急に破綻するようなことはおそらくない

 ただ、残念ながら、ザイFX!がそれを100%までは保証することもできない。専門家の意見を参考にはしても、最終的なトレードの判断は読者のみなさんが行っていただくしかないのと同様に、FX会社の健全性も読者のみなさん自身が総合的に判断していただくしかないのである。

(ザイFX!編集長・井口稔)

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