昨日は朝からずっと為替相場は小動きだった。材料難だということもあるが、ドル円は111円台の後半で張り付いたまま。夕方に112円台に乗せてくる局面もあったが、すぐに利食い売りに押されて戻ってきた。ニューヨーク時間になっても、為替レートはいつ見ても同じようなものばかり。
ようやく動いたのは夜中のFOMC議事録からである。私は寝てしまっていたのだが、議事録の中では年内のバランスシート縮小を主張するメンバーが多かったということだった。一瞬、ドル高に傾きそうになったが、すぐにドル安に転じた。
ペースはゆっくりといういつもの文言が繰り返されたからでもあり、また第1四半期のGDPが低めであったのが一過性かどうかを確かめる必要性があるとしたのにも、金融緩和的な側面を読み込んだのであろう。ドル円は111円台の中盤まで押されて、そのまま安値引け。
米国株も終日にわたって小動きだった。トランプ大統領が外国を訪問している間は、政治的なリスクも収まっているからだろう。米国株も歴史的な最高値に張り付いて、値幅はとても小さい。
特にS&P指数は心理的な節目である2400ポイントで大いに引っかかっている。ダウ平均も21000台に何度か突っかけるが、やはりオプションなどからのヘッジ売りで機械的に抑え込まれてしまっているようだ。
それが今日になってグローベックスでS&Pが2405ポイントを触った瞬間に、つまり歴史的高値をブレークしてきたと同時に、買い戻しのストップロスが誘発された。S&P先物はそのまま何の抵抗もなく2411ポイントまで急上昇。
ドル円も追随して20ポイントほど跳ねた。問題はこの損切りベースで持ち上がった株価が、夜になってニューヨーク時間に入っても実態のある取引として維持できるかである。欧州時間にもなると元のレベルにまで調整売りが進むかもしれない可能性もあるということだ。
そうなるとドル円やユーロ円の下げ要因になりうる。またドル固有の材料から見ると、昨日のFOMC議事録では「利上げのペースはゆっくりと」を確認したことになり、ドル金利は短期も長期も下がっている。ドル相場の下押し圧力が高まると、ユーロドルが今年の高値を超えてきたり、ドル円も意外な下げを演じることになるかもしれない。
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