昨日は日銀の黒田総裁の発言の中で、物価目標の∔2.0%の達成の見込みは先延ばしとなった。これで6回目の先送りになったので、「あ~またか」と言ったのが正直な感想だろう。すでに記者団からも「追加緩和はあるのか」といった質問も出てこない。
量的緩和やマイナス金利に信頼性を失って久しいものがあるのは確かだ。112円ちょうどをはさんで行ったり来たりを繰り返していたドル円だったが、やや円売りに軍配が上がったかに見えた。私としては、今晩はもうドルの下げ局面はないのかなと思った。
海外市場でも金融政策が話題になった。ECBの金利会合である。ドラギ総裁も出口戦略に関して話し出しているし、ドイツのメルケル首相も、はやく金融緩和の状態から抜け出せと催促している状況だ。金融政策に変更がなかったと出た直後は材料出尽くし感もあって、ユーロドルは値を下げて1.14台にまで沈んできた。
しかしドラギ総裁の会見がはじまると、ちょっと様相が変わってきた。しゃべっている内容には従来のものと変わり映えはしなかったのだが、後半部分で秋からでもテイパリングの議論を始めないといけないと語り、足元の景気は良いのだと判断を明確にした。これによってユーロ金利の先高観が増大し、ユーロが急伸することとなった。ユーロドルの1.16台乗せは2年ぶりのこと。
アメリカでも別の騒動が勃発。トランプ大統領のロシア疑惑を特別検察官が捜査しているのだが、この捜査対象をトランプ氏のビジネスにまで拡げるというのだ。これはドル売り要因でもあるので、ユーロドルに続いてドル円もドル安に向かった。
111円台はもうないだろうと見ていた私にとっては、再度の111円台入りには驚いた。ドル円の安値は前日の安値を少しだけ下回ってきたが、まあ同じようなレベルといえよう。テクニカル的にもサポートされて、111円台の後半まで値を戻してニューヨーク時間を終了。
今晩は材料が少ない。ドル円は111.50から112.50までの間でのレンジワークとなろう。
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