昨日はアジア時間でドル円は113円台をキープしていたのだが、欧州序盤から軟化。あっさりと112円台に入った。ドル円だけがドル安をしていたわけではなく、ユーロドルもポンドドルもドル安方向の動きだ。
前日で出たアメリカの税制改革の中身に対する見直し分もあったのかもしれない。ニューヨーク序盤に至るまでに、ドル円は112円台ミドルまで押しを形成した。
ドル円の重さはその後も変わらず、ニューヨーク時間の午後には112.26まで安値をつけて、昼間の高値からはほぼ1円幅の調整をやったことになる。そして気がつけばドル円は再び今年の半値である112.75を下回っており、そこをトップに上値の重い展開が続いている。
昨日の円債相場は比較的に大きな動きを示し、やっと下落が目立ってきたという感じとなった。円債の価格が下がるのにはいろいろな要因があるが、そのうちのひとつに信用スプレッドがある。国としての信頼だ。その信用が揺らいできたのは、総選挙のせいである。
当初の予定とは違って小池新党が国政に進出し、かなり奮戦している。民主党も解党的出直しを図ろうとするくらいに野党共闘に力を注いでいる。そのため自民党と希望の党の政策の違いがクローズアップされてきた。
だが財政面からは安倍政権では2年後の消費増税の先送りも示唆している。希望の党は消費増税そのものに反対している。どちらも財政規律を守らないほうの政策である。財源を手当てしないといけないほうは先送りするということだ。それが政府の発行する債券の信用度を失わせているのだ。
信用スプレッドの拡大による円債相場の下落は、他の資本市場にも波及する傾向がある。円債下落だけにとどまらず、ゆくゆくは株価の下落にもつながる恐れがあるのである。要するに中長期的にはリスクオフとなってしまう可能性をはらんでいる。
まずは3週間ある選挙までの期間は、そうしたリスク回避の動きも出てくる局面も現われてくるだろう。政策期待でリスクテークとなってマーケットが伸び切ってしまうステージもあろうかと思うが、そこは思い切ってドル円を逆張って売ってみる急所なのかもしれない。
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