■米ドル/円、ユーロ/米ドル、ゴールドが9月8日にすべて反転
先週、10月6日(金)の米雇用統計ではNFP(非農業部門雇用者数)がマイナスに。
驚きましたが、ハリケーンの影響による一時的な落ち込みですし、平均時給や失業率は強い数字が出ています。
マーケットは冷静にロングで構えていたようで、発表直後から米ドル買いが進みました。
![米雇用統計・非農業部門雇用者数(NFP)](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/d/4/-/img_d4927136f372530a0502730fd3dcc422112477.jpg)
(出所:Bloomberg)
それに水を差したのが北朝鮮でしたね。
北朝鮮では10月10日(火)に労働党創建記念日を控えています。
過去にはこの日の前後に核実験やミサイル発射などの挑発行動を行なっており、今年(2017年)も何かやるのではと警戒されていたところへ北朝鮮関連のヘッドラインが出て米ドル/円は下落。112円台で週末を迎えました。
![米ドル/円 4時間足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/-/img_d57af670ff9902818e43fd130b1f528799037.jpg)
(出所:Bloomberg)
先月(9月)を思い起こすと、北朝鮮の建国記念日である9月9日が近づくにつれ警戒感が高まりました。
米ドル/円が今年(2017年)の安値107.32円をつけたのは前日の9月8日でしたし、ユーロ/米ドルが年初来高値1.2092ドルをつけたのも8日。
金(ゴールド)もこの日に今年(2017年)の高値1357ドルをつけています。
![米ドル/円 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/0/5/-/img_05f56f1ddfaa82354a33c2a2faad63fb110250.jpg)
(出所:Bloomberg)
![ユーロ/米ドル 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/6/2/-/img_62aa08c673eb3045f4f53fdd1e0fc7ed92651.jpg)
(出所:Bloomberg)
![NY金先物 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/4/0/-/img_40c574974d4031c12f62614bf3695206101361.jpg)
(出所:Bloomberg)
米ドル/円、ユーロ/米ドル、金(ゴールド)の3つがそろって反転したのが9月8日(金)なんですよね。
今年(2017年)ずっと続いていた米ドル安・金(ゴールド)高が反転し、9月9日以降は米ドル高・金(ゴールド)安へ。
ところが、ISM製造業指数など先週(10月2日~)発表された米経済指標はどれも強かったのに米ドル/円は113円台が重かった……。
■10日を無風で通過すれば米ドル買い再開か
今年(2017年)の米ドル/円は1月の118円台から9月の107円台まで11円の下落です。
しかし107円台から先週(10月2日~)の113円台まで6円、つまり年間値幅の半分以上を1カ月で取り戻しています。
これだけの急上昇だと、通常なら2、3円の押し目があってもおかしくない。チャート的にも112円台後半には118円から引いたレジスタンスラインがあり意識されやすい位置にいます。
【参考記事】
●米ドル/円は「陰の極」達成から約6円急騰! バイオマス発電に絡んだ米ドル買いって…!?(10月5日、西原宏一)
![米ドル/円 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/2/6/-/img_26376ae512d74c7fe41a91ab29ef1fe2125927.jpg)
(出所:Bloomberg)
他通貨を見ていると英ポンド/円を筆頭にクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が重い。
米ドル/円が思ったほど上がらない原因のひとつがクロス円の重さにあるかもしれないですね。
![世界の通貨VS円 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/1/1/-/img_11124c725b875c9ebf66547b3ddaa311118089.jpg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
また、今年(2017年)の特徴はリスクイベントを前にポジションを落として、通過後に買い戻す動きが顕著なことがあります。
10月10日(火)に何もなければ、本邦機関投資家の買いが再び強まる可能性がありそうですね。
今日、10月9日(月)は体育の日で3連休、10日(火)は北朝鮮の労働党創建記念日で、先週(10月2日~)末はリスクポジションの手仕舞いもあったということですね。今週(10月9日~)、再び買いが旺盛となるでしょうか?
先週、10月5日(木)の「ヘッジファンドの思惑」でも書いたとおり、バイオマス発電に絡む米ドル買いが出ているようです。
【参考記事】
●米ドル/円は「陰の極」達成から約6円急騰! バイオマス発電に絡んだ米ドル買いって…!?(10月5日、西原宏一)
ただ、テクニカルを見るとMACDはデッドクロス寸前。今週(10月9日~)は押し目をつくりにいく可能性がありそうです。
そうはいっても本邦勢の買い意欲は強い。押したとしても米ドル/円は111円台ではないでしょうか。下がれば米ドル買いのチャンスだと思います。
![米ドル/円 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/9/e/-/img_9e18d009084e1371b1db225bd097d830127396.jpg)
(出所:Bloomberg)
■中国当局は人民元安を甘受する方向へ
実は9月8日(金)にもうひとつ転換した市場があって、それが米ドル/人民元。
この日、中国人民銀行は2015年 9月から続けてきた為替先物規制の見直しを発表しました。
これは2015年のチャイナショックをきっかけに人民元安抑制のために導入された規制です。この規制の緩和は人民元安を甘受するということかもしれません。そうであったら、これも米ドル高材料のひとつになりますね。
人民元安は米ドル高のサポートとなりますね。
![米ドル/中国人民元 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/4/3/-/img_43da1391b187c510c68750f6e5f8d808111312.jpg)
(出所:Bloomberg)
また、9月末の講演でカナダの中央銀行総裁も今後の利上げに慎重な姿勢を示していましたし、先週のRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])会合も利上げを急ぐ感じではなかった。
加ドルや豪ドルの調整が大きくなれば、米ドルの巻き返しも大きくなるのでは?
ユーロ圏でもカタルーニャ独立問題やドイツの連立協議などが取り沙汰されています。
ドイツでは極右政党のAfD(ドイツのための選択肢)が野党第一党となる可能性もあり、いい材料ではありません。ユーロ/米ドルも下目線でいいのかなと思います。
![ユーロ/米ドル 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/6/2/-/img_6298912742a467f33ba712d88d81ee3e87381.jpg)
(出所:Bloomberg)
■米ドル/円の111円台は押し目買いのチャンス
私もユーロは下方向かなと思っていたのですが、思ったほど落ちないですね。
1.16ドル台ミドルを明確に割れてくると深めの下落があるかなと思うのですが、これまでは跳ね返されていますね。
米ドル/円と同様、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)でのユーロ買いが原因となっているようです。
![ユーロVS世界の通貨 日足](https://zaifx.ismcdn.jp/mwimgs/7/8/-/img_78ab76a3b848d29ed51d93e796803071121085.jpg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロVS世界の通貨 日足)
今週(10月9日~)は10日(火)前後に北朝鮮が何らかの挑発行動を起こすのかどうかに警戒しながら12月の利上げに向けて米インフレ指標、それにFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録に注目ですね。
そうですね。米ドル/円は111円台までの押し目を想定して押し目買い、ユーロ/米ドルも戻り売り、基本的には米ドル買いでいいかと思います。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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