(「『仲値トレード』って本当に儲かるの?(1) 実は巷で言われているような法則はない!?」からつづく)
他にももっと確率の高いやり方がありそう
では、もう少し、視点を変えてみたら…? たとえば、米ドル/円を9時よりももっと早い時間帯から買うとか、逆に、仲値を通過したあとは下がりやすい傾向があるって話も聞くので、10時以降に売りから入ってトレードしてみるとか…。
せっかくなので、できるだけ多くのパターンを検証してみれば、もっと確率の高いパターンが見つかるかもしれません。
まずは、米ドル/円をさっきより1時間早い8時に買って、10時に売り決済したとすると、どんな結果が得られるのでしょうか?
ぱっと見た感じでは、上昇する割合より下落する割合の方が、なんとなく高いような印象を受けます。統計的には月曜日と金曜日、金曜日で5の倍数の日に有意差が確認できました。傾向として、米ドル/円はこの時間帯なら月曜日は売り、金曜日なら買いが良いということですね。
有意差があるほどではありませんでしたが、前回の記事で検証した9時から10時の時間帯では、全体の割合としては上昇する方がどちらかといえば多いという結果でした。でも、8時から10時になると下落する方がどちらかといえば多いのは、8時から9時の間に、米ドル/円は下落しやすいということでしょうか?
調べてみると、全日数を対象にしたデータで有意差がありました。パターンごとでは有意差まではなかったものの、8時から9時の間は金曜日も含め、どのパターンも下落した日の割合が多くなっていました。
ただし、金曜日に限っては、8時から10時まで米ドル/円の買いを保有し続けていると、58.2%の確率で上昇して、トータルで収支がプラスになる可能性が高くなるんですね。
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金曜+5の倍数日の朝イチ仕込みが最強!?
では、もっと早い7時に買って、10時に売り決済したときはどうなるのでしょうか?
すると、ガラリと結果は変わって、全体的に上昇する確率が高くなっています。金曜日に絞ってこの時間帯に米ドル/円を買っていれば、勝率は61.6%と6割超え! さらに、金曜日でかつ5の倍数の日だけに絞ると、上昇する確率は74.1%!!! 3日のうち、少なくとも2日は必ず上昇し、さらに、値幅を見ても、上昇した日の平均値幅の方が、下落した日の平均値幅を4銭も上回っています!
統計的検定をやってみると、いくつかのパターンで有意差があり、特に金曜日、金曜日で5の倍数の日には、高度な有意差があることがわかりました。これなら、よほどのことがなければトータルで勝てると言っていいかもしれません。
もう1つ、7時から8時の時間帯を見てみると…。
平均的な値動き自体はそれほど大きくありませんが、検証したすべてのパターンにおいて、上昇する割合のほうが高くなっています。さらに、金曜日と5の倍数の日の組み合わせなら、上昇する確率は67.2%までぐっと上がり、3回のうち2回は上昇していたということですね。
統計的検定では、全日数、5の倍数の日、月曜日、金曜日、金曜日で5の倍数の日のパターンに有意差があり、その中でも、金曜日で5の倍数の日では、このようなことが起こる確率は1%にも満たず、偶然と考えにくい非常に高度の有意差が認められました。
ということで、ここまでに検証してきたパターンの中では、
●金曜日で、なおかつ5の倍数の日の7時に買って10時に決済(74.1%)
が、確率的にもっとも米ドル/円が上昇しやすく、中長期でトレードを続ければトータルで負けない可能性が高そう、という結論になりました。
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みんなが先回りするように動いているから?
ここまで紹介してきた表を、以下に一覧でまとめてみました。
真っ先に検証した、一般的な感覚で「ザ・仲値トレード」にあたると思われる9時から10時の間を狙ったトレードでは、全体として、なんとも言えない玉虫色の結果しか得られませんでした。
しかし、パターンを変えていろいろと調べてみると、確率的にも統計的にも、機械的なトレードを長期的に繰り返すだけで、トータルで利益を積み上げられそうな時間帯や曜日が存在するという結果になりましたね。
特に、早い時間帯からの方が上昇しやすい傾向にありますが、これは仲値トレード的なものが広く知れ渡っていて、みんなが先回りするように動いているから、という理由もあったりするのでしょうか?
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仲値通過後の米ドル/円は売りで正解?
最後に、下落しやすい傾向にあるといわれる、仲値を通過した10時以降の米ドル/円の動きも調べてみました。
まずは、10時から11時にかけてのデータです。
火曜日だけは上昇した日の割合が多かったものの、全体的には下落する確率の方が多い結果となっています。ただ、統計的検定をやってみると、どのパターンにおいても、有意差のあるものはありませんでした。
では、10時から12時にかけての2時間だと、どうなるのでしょうか。
こちらも、火曜日だけは上昇した確率がやや多かったけど、全体的には下落した日の方が多かったという結果になりました。そして、この10時から12時の時間帯のパターンでは、統計的検定を行うと、全日数、5の倍数の日、水曜日、金曜日に有意差が確認できました。5の倍数の日を除き、時間中の平均値幅は上昇時より下落時の方が大きくなっています。
仲値トレードというと、仲値にかけて上昇しやすい米ドル/円の動きを利用したトレードというのが一般的ですが、仲値の前後2時間くらいを切り取ってみると、仲値を通過したあとの10時から12時にかけては、米ドル/円の下落を狙って売りで入るトレードが統計的にも有効で、長期的に売買を繰り返せば利益を積み重ねられる可能性が高いということがわかりました。
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ほかにもいろんなパターンを検証してみた
今回、記事では紹介しきれなかった、そのほかのパターンに関しても、ドドンと一挙にまとめてみました。
今回は「仲値トレードは本当に有効なの?」という疑問を出発点にして、2012年1月から2017年9月19日(月)までの6年弱の米ドル/円の値動きをもとに、日本時間の午前中に絞って、何かしらの法則があるのかを検証してみました。
結果、中長期にわたってトレードを繰り返せば、統計的にも偶然とは考えにくく、一切の相場観を排除して米ドル/円を機械的に売買するだけで勝率が7割を超える、かなりオイシイ時間帯や曜日の組み合わせが存在することがわかりました。
決まった時間に買って決まった時間に売るという、地味で地道なトレードですが、試してみる価値はありそうです。
それには一部のFX会社が提供している時間を指定できる注文方法を活用できるかもしれません。たとえば、ヒロセ通商「LION FX」、JFX「MATRIX TRADER」、岡三証券「岡三アクティブFX」には、PC版取引ツールに新規、決済の両方に対応している時間指定注文機能があります(3社ともに取引時間中でも、5時30分~7時30分のあいだの時間指定はできないので注意が必要)。
また、マネーパートナーズ「パートナーズFX」の取引ツール「HyperSpeed NEXT」には「時限成行注文」という名称で、指定した日時に決済注文を自動で執行してくれる機能がついています。
こうした、一部のFX会社が提供している機能も活用すれば、狙った時間帯のトレードを、楽に繰り返し行うことができそうです。さっそく試してみようかな。
(ザイFX!編集部・堀之内智)
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