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西原宏一・大橋ひろこの「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」

2018年年初の注目通貨ペアはユーロ/円!
米国株安と米金利上昇の綱引きもカギに?

2017年12月25日(月)17:45公開 (2017年12月25日(月)17:45更新)
西原宏一&大橋ひろこ

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■米税制改革法案成立後の不思議な動き

先週(12月18日~)、米税制改革法案が成立。米ドル/円が上昇しましたが、同時にユーロ/米ドルも上昇、NYダウは下落と、まちまちな動きになりました。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(出所:Bloomberg)

ユーロ/米ドル 4時間足
ユーロ/米ドル 4時間足

(出所:Bloomberg)

NYダウ 4時間足
NYダウ 4時間足

(出所:Bloomberg)

米金利が上昇。同時に独金利も上昇していたため、米ドル高・ユーロ高となり、米金利上昇の影響で米国株安も進んだようです。

FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ直後には為替市場でセル・ザ・ファクトが起きましたが、米税制改革法案では米金利が変化日になりましたね。


米国株市場では、まだ大きな動きとなっていませんが、米金利が続伸するようなら上値が重くなっていくのでしょう。

【参考記事】
2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(12月21日、西原宏一)

米税制改革法案が成立して、トランプ政権の次の焦点となりそうなのがインフラ投資。


減税は財政にマイナスですし、そこにインフラ投資の負担が加わるため、国債を増発するのでは? との思惑が出たことから米金利が上昇したようですね。

米長期金利(10年物国債利回り) 4時間足
米長期金利(10年物国債利回り) 4時間足

(出所:Bloomberg)

米税制改革による景気拡大期待が高まっての金利上昇ならいいのですが、先週(12月18日~)は国債増発で財政悪化が不安視されての金利上昇。いい・悪いで言えば「悪い金利上昇」ですね。


米金利が急騰するようだと利益確定売りが出て米国株の下落を加速させる可能性がありそうです。ジリジリ上がっていくなら米国株が崩れる不安もないのですが、来年(2018年)に向けて米金利に注目ですね。

■米国株安と米金利上昇の綱引き

そうなると足もとの米ドル/円は、「米国株安による下落圧力VS米金利上昇による上昇圧力」の綱引きになりますよね。どちらの力が上回るのでしょうか?

ボラティリティによるのでしょう。高いボラティリティをともなわずに米国株が下げるなら、米ドル/円は米金利の上昇に引っ張られるし、米国株が急落すれば日経平均とともに米ドル/円が売られる、というのが基本的な理解となります。

2017年はボラティリティの低い相場が続いたために、米金利と米ドル/円の相関が強まったということですね。

米ドル/円&米長期金利(米10年物国債利回り) 日足
米ドル/円&米長期金利(米10年物国債利回り) 日足

(出所:Bloomberg)

今週(12月25日~)はカレンダーにも注意が必要ですよね。今日(12月25日)はクリスマスなので東京市場だけ。15時頃に取引を終了するFX会社が多いようです。

【参考記事】
2017年末~2018年始めのFX取引時間は? 国内系と外資系で大きな違いがあることも!?

株式市場だと12月27日(水)取引分から受け渡しが2018年となり、実質的に2018年相場が始まります。動きが出るとしたら水曜日以降でしょうか。

■「ユーロ/円の買い」がコンセンサス

来年(2018年)の注目通貨ペアについては、どう考えていらっしゃいますか?

2015年の豪ドル安、2016年の英ポンド安と大きなトレンドが出ましたが、いずれも前年末からコンセンサスとなり、年初から動きました。


2018年のコンセンサスと言えるのは、ユーロ/円のロング。その動きが年初から始まるのではないか、と期待しています。


ただし、2017年はユーロ/米ドルのパリティ割れがコンセンサスでしたが、1月に安値をつけてから上がる一方のユーロ高相場でした。今週(12月25日~)は年末年始ですから、慎重にトレードしていきたいと思います。

【参考記事】
2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(12月21日、西原宏一)

先週(12月18日~)、不思議だったのが豪ドル。IMM(国際通貨先物市場)では、先々週(12月11日~)には約4万枚の買い越しだったのに、先週(12月18日~)、19日(火)時点のポジションは1.2万枚の売り越しに転じました。

IMM(国際通貨先物市場)の豪ドルポジション
IMM(国際通貨先物市場)の豪ドルポジション

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

では、豪ドルが下がっているのかといえば上がっています。


モルガン・スタンレーが豪ドル/米ドル0.65ドルの予想を出しているので、この予想に乗って売った短期筋が多かったけれども、それを凌駕するほどの買いがあった、という理解でいいのでしょうか?

オプションから見ても、豪ドルは不思議な動きをしていました。


豪ドル/米ドルは、0.77ドルに35億豪ドルと大きめなオプションがあったため、0.77ドルに絡んだ動きをするのかと思いきや、抜けたままです。


年末のため、ポジション整理の動きが出た可能性もありますね。

豪ドル/米ドル 日足
豪ドル/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 日足

トランプ米大統領のインフラ投資期待からコモディティ(商品)市場が強含んでいます。特に非鉄金属が強く、銅は11連騰。コモディティ高が豪ドル高を演出したのかもしれませんね。

銅価格 日足
銅価格 日足

(出所:Bloomberg)

2018年全般でいえば、豪ドルはベア目線。米ドルの政策金利は2018年中に豪ドルを上回る公算で、金利差から考えると、豪ドル/米ドルは上がりにくそうです。

米・豪政策金利の推移

(出所:BloombergのデータよりザイFX!編集部が作成)

■ユーロ/円の買いと米ドル/円の売り

今週(12月25日~)の戦略は、どう考えますか?

コンセンサスどおりに年末年始、ユーロ/円が上がる場面があるかもしれません。


まずはそれに期待したいですが、米国株やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上がりきれないようだと、逆に行く可能性もある。


そのときは、米ドル/円も売りがいいのかなと思います。いずれにせよ、市場が薄くなる時期でもあり、慎重にトレードしていきたいですね。

(構成/ミドルマン・高城泰)

※西原宏一さんと大橋ひろこさんの対談は、来週1月1日を休載とさせていただき、2018年は1月8日から配信いたします。

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