■今年は米利上げ進むも、米ドルの上値は重く…
2016年後半の金融市場はトランポノミクス(※)を背景に活況を呈していました。
(※編集部注:「トランポノミクス」とは、ドナルド・トランプ氏とエコノミクス(経済学)を合わせた造語で、トランプ氏が掲げる経済政策のこと)
【参考記事】
●トランポノミクスが「株高・円安」を促進!? ドル/円は押し目買い継続、次は109円へ!(2016年11月14日、西原宏一&大橋ひろこ)
米税制改革への期待感もあり、株価は上昇。
為替市場では、2017年のFRB(米連邦準備制度理事会)の連続利上げの期待感もあり、米ドル/円は2カ月弱で約17円も暴騰しました。
(出所:Bloomberg)
ユーロ/米ドルも一時、1.0341ドルまで急落。
(出所:Bloomberg)
この昨年(2016年)年末の流れを受け、多くの金融機関の2017年の予測も強気なコメントが目立ちました。
・ 米企業の収益大幅向上期待で、米株続伸。
・ FRBの連続利上げにより、米長期金利上昇。
・ 米長期金利が底堅く推移するため、米ドル続伸。
ユーロ/米ドルは、パリティ(=1.000ドル)を割り込み、米ドル/円は125円へ続伸というのがマーケットのコンセンサスとなっていました。
■FRBは3回利上げも、米国債利回りは上がらず
しかし、2017年も押し迫った現在の金融市場は、予測とは違った側面を見せています。
まず、予測以上に値を上げたのが米国株。
2017年年初は1万9872ドルからスタートしたNYダウは、本稿執筆時点で2万4726ドルと約20%も上昇。
(出所:Bloomberg)
この背景にはマーケットの思惑と相違し、米10年債利回りが上昇しなかったことが挙げられます。
今年(2017年)、FRBはマーケットの予想通り、3回の利上げを実施しています。
(出所:BloombergのデータよりザイFX!編集部が作成)
しかし、米10年債利回りは年初2.443%でスタートしたものの、本稿執筆時点では2.486%とほとんど変わらず。
(出所:Bloomberg)
この米10年債利回りの低迷が、今年(2017年)の米ドル全般の上値を重くしている要因のひとつ。以下は、ドルインデックスの月足チャートです。
(出所:Bloomberg)
年初のレベルを高値にドルインデックスは急落しています。
ドルインデックスの主要な構成要素はユーロですので、ここで今年(2017年)のユーロ/米ドルの動きを確認してみます。
年初の1.0341ドルを安値に、今年(2017年)のユーロ/米ドルは続伸。
1.2092ドルの高値に到達するまでは、大きな調整もなく急騰しています。
フランス大統領選を筆頭に今年(2017年)の欧州を取り巻く環境は、あまり芳しいものではないとの予測が多かったわけですが、そうした思惑とは裏腹に、ECB(欧州中央銀行)のテーパリング(※)予測を背景として今年(2017年)のユーロ/米ドルは急騰しました。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
日銀は、現在も大胆な金融緩和を続けているわけですが、前述の米10年債利回りの低迷は米ドル/円の上値をおさえることとなり、今年(2017年)の米ドル/円は、結局上値が重く、大きな値幅を伴わずに相場を終えようとしています。
(出所:Bloomberg)
今年(2017年)のユーロ/米ドルを筆頭とした、米ドル軟調な動きが2018年も続くのかどうか検証してみます。
まず、米ドル/円が膠着相場を演じる中、注目通貨を…
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