■米上院は今夜にも暫定予算案の採決へ
先週末(1月20日)、米議会で暫定予算案が否決され政府機関が閉鎖されました。2013年以来の閉鎖ですが、為替市場への影響は出ていないようですね。
民主党が予算案の承認と抱き合わせで、「DACA」(幼少時に親とともに米国へ不法入国して育った若者に滞在許可を与え、強制送還の対象から一時的に除外する制度)の継続を求めたため、予算案が否決されました。
世論次第ですが、最終的には民主党が折れる形で予算案が承認されるのではないかと思います。
政府機関の閉鎖が長引くようだと、経済への影響が懸念されますね。
前回2013年時は閉鎖が16日間続き、GDPを0.2%から0.6%押し下げたと米政府は試算しています。
話している時点(1月22日午前中)では、アメリカがまだ日曜日。国立公園が閉まるといった程度の影響ですが、月曜日になると年金支給などへの影響も出てくるでしょうね。
過去の例を見ても株や為替など金融市場への影響は少ないようですが、今日(1月22日)になり「米上院、つなぎ予算案を東部時間22日正午に採決へ」との情報も出ています。気をつけておきたいですね。
■23日の日銀会合、黒田総裁は出口をどう語るか
先週(1月15日~)は米国債利回りが上昇し、今の長期金利(10年物国債利回り)は2.65%近辺です。
FOMC(米連邦公開市場委員会)が利上げを決めた2016年12月15日(木)が2.64%。金利は同水準ですが、米ドル/円は2016年12月が118円、現在は110円台と大きく違う。為替市場が米金利に反応しなくなっています。
【参考記事】
●ドル/円は110.00円の攻防が流れを決める! ドル安の流れと機関投資家の買い需要交錯(1月18日、西原宏一)
(出所:Bloomberg)
米利上げは最初に利上げした2015年からカウントすると、もう3年目。テーマとしては賞味期限切れなのでしょうね。
世界の金融政策でフレッシュなのは昨年(2017年)からテーパリング(※)に動き出したECB(欧州中央銀行)。そして今年(2018年)、出口への動きがあるかもしれない日銀ということになるのでしょうか。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
そうでしょうね。昨年(2017年)、ヘッジファンドが儲けたのはテーパリングによるユーロ上昇でした。今年(2018年)は、同じことを日銀に期待するヘッジファンドが多いようです。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
その日銀では明日、1月23日(火)に政策発表と黒田総裁の記者会見が予定されています。政策変更はないですから、注目は15時30分からの記者会見ですね。
超長期国債の買いオペをなぜ減額したのか、ステルステーパリングとの指摘に対してどう答えるのか。それに4月で満了となる黒田総裁の後任人事といったあたりの質問に注目。
市場は出口への思惑を高めているので、ちょっとした発言でも円高に振れるかもしれません。
1月23日(火)の日銀会合後の黒田総裁の会見に注目。超長期国債の買いオペをなぜ減額したのか、ステルステーパリングとの指摘に対してどう答えるのか? (C)Bloomberg/Getty Images
次期総裁は黒田再任が最有力ですが、もしも別の名前が出てきたり、続投に否定的な発言が出てくれば、アルゴリズムトレードは円買いで反応するのでしょう。
■25日のECB理事会を前にユーロ高牽制発言が続々
1月25日(木)のECB理事会はいかがですか。
先週(1月15日~)は、ECB高官からユーロ高への牽制発言が相次ぎました。発言したのはコンスタンシオ副総裁、ノボトニー・オーストリア中銀総裁、ビルロワドガロー・フランス中銀総裁など、そうそうたる面々です。
ユーロ/米ドルは、昨年(2017年)9月8日(金)の高値1.2092ドルを上抜けているため上値余地が拡大しているとの見方は変わりませんが、再び1.21ドルを下抜けるようだと警戒ですね。
(出所:Bloomberg)
今週(1月22日~)、25日(木)のECB理事会ではドラギ総裁のユーロ高に対する見方を確認したいですし、フォワードガイダンスの変更については、どう発言するのでしょうか。
そのほか、トランプ米大統領が出席を決めたことで、23日(火)から始まるダボス会議への関心も高まっていますね。
■対円、対ユーロで米ドル売りを継続
原油市場では強い動きが続いていますね。北海ブレント原油は3年ぶりの70ドル台をつけました。
(出所:Bloomberg)
OPEC(石油輸出国機構)と非OPECの主要産油国が行なっている協調減産の効果が大きいのですが、ここまで原油価格が持ち直してくると、今年(2018年)は協調減産の「出口戦略」が焦点となってくるとの指摘も。
ロシアからは協調減産からの離脱を示唆する発言も出始めています。投機筋の買いポジションも過去最高に積み上がっていますし、原油が崩れると株式市場への影響が出るかもしれないですね。
今週(1月22日~)も米ドル売りの継続でよさそうですね。米国債利回りが上がっても上がらない、株価が上がっても上がらない。何をしても米ドル/円は上がれません。
(出所:Bloomberg)
生保など本邦勢の買いがなければ、もっと落ちていたはずでしょう。戻したところを丁寧に売っていきたいですし、ユーロ/米ドルについても1.2100ドルを割れないかぎり、押し目買いでいいと思います。
(構成/ミドルマン・高城泰)
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