■ムニューシン米財務長官の発言で米ドル全面安
こうした動きの中、1月24日(水)にはムニューシン米財務長官の下記のコメントにより、米ドルは全面安に。
「ドル安は貿易と機会に関連するため、もちろん、われわれにとって良いことだ」、「しかし長期的には、ドルの強さは米経済の強さと、第一の準備通貨であり今後もあり続けるという事実を反映するものだと思う」と付け加えた。
出所:Bloomberg
ムニューシン米財務長官が米ドル安容認と受け取れる発言をしたため、1月24日(水)の為替相場は米ドル全面安の展開に (C)Bloomberg/Getty Images
このコメントにより、米ドル/円は節目の110.00円をあっさり割り込み、一時109.00円割れまで急落。米ドルは円のみならず、対ユーロ、対英ポンド、対豪ドルでも急落し、全面安となりました。
(出所:Bloomberg)
米ドル/円が、節目の110.00円を割り込んだことから、テクニカル分析で米ドル/円の動きを確認します。以下は、米ドル/円の週足チャートです。
(出所:Bloooberg)
まず、2015年6月5日高値の125.86円からのレジスタンスが、ずっと米ドル/円の上値を抑えています。
次に、2016年9月の100.09円から2017年9月の北朝鮮の地政学リスクで下げた107.32円を結ぶサポートが、現在は110.10円に位置しており、こちらが、米ドル/円を下支えしていました。
加えて、2017年9月8日に地政学リスクでつけた107.32円と、その後の戻しで付けた11月6日の114.73円でフィボナッチ・リトレースメントした61.8%が110.15円に位置していました。
つまり、110.00円レベルは長期のサポートであり、フィボナッチ分析からも重要なレベルであったわけです。
逆に言えば、110.00円を割り込むと、米ドル/円の下落余地は大きく拡大することになります。
1月24日(水)に米ドル/円は、その重要なサポートが決壊し、下値余地が拡大。
次の下値メドですが、まず、昨年(2017年)9月8日安値の107.32円。
その次は、このコラムの今年(2018年)のターゲットにしている105円が視野に入ってきます。
【参考記事】
●2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
(出所:Bloooberg)
長期に渡って米ドル/円をサポートしてきた日経平均と米10年債利回りの急騰にも連動しなくなり、下値余地が拡大している米ドル/円相場。
今後の米通商政策による円高・米ドル安圧力もあり、年初からじり安の米ドル/円の行方に注目です。
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