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西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

米ドル/円、株や米長期金利の上昇に追随
できず…。111円割れなら107円台も視野!

2018年01月11日(木)15:26公開 (2018年01月11日(木)15:26更新)
西原宏一

FXトレーダー・羊飼いに聞く、初心者におすすめのFX口座の選び方とは?

 明けましておめでとうございます。

 本年もよろしくお願いします。

■年初から日経平均急騰し、リスクオンでスタートしたが…

 2018年は年初から日経平均が急騰。

日経平均 日足
日経平均 日足

(出所:Bloomberg)

 金融マーケットは、リスクオンのセンチメントで始まりました。

【参考記事】
日本株を持たざるリスクを投資家が意識? 株価反落局面ではユーロ/円を拾いたい!(1月8日、西原宏一&大橋ひろこ)

 しかし、今週(1月8日~)に入ってその雰囲気を一変させるような報道が立て続けに出され、日経平均と米ドル/円は反落へ。

■日銀のテーパリング観測をきっかけに、米金利が急騰

 まず、株価の急騰を冷やしたのが、日銀のテーパリング(※)観測。

(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)

日銀は午前の金融調節で超長期ゾーンの国債買い入れオペを減額

残存10年超25年以下のゾーンでは約1年ぶり

オペ減額を受けて超長期債利回りが上昇、新発20年債利回り

は0.585%と昨年12月6日以来の高水準

出所:Bloomberg

 この報道を受けての東京市場のマーケット参加者は、あまり反応せず。

 日銀は、もともとステルステーパリングをやっているため、マーケットにはそれほど大きな影響はないだろうというのが東京市場の参加者のコンセンサスでした。

■ビル・グロス氏が債券の弱気相場を宣言

 しかし、1月10日(水)のNY市場に入り、日銀のテーパリング観測が米国債利回りを押し上げたことでマーケットセンチメントは一変します。

 NY市場では、米10年国債利回りが2.50%を超えて急騰。

米長期金利(米10年物国債利回り)
米長期金利(米10年物国債利回り)

(出所:Bloomberg)

 日銀のテーパリング観測がきっかけになっていますが、ビル・グロス氏のコメントが債券市場に大きな影響を与えたと言われています。

(※編集部注:「ビル・グロス氏」は、「債券王」の異名を持つ世界的に有名なファンドマネージャー)

債券トレーダーはシートベルト装着、グロース氏が債券の弱気相場宣言

9日の債券市場では10年物米国債利回りが上昇し、9カ月余りで最高に達した。ジャナス・ヘンダーソン・グループの運用者ビル・グロース氏は債券の弱気相場入りを宣言した。

10年物米国債利回りは一時6ベーシスポイント(bp)上昇の2.54%と、昨年3月以来の高水準を付け、利回り曲線はスティープ化した。

米、英、日本、ドイツが大量の国債発行を控えているところへ、日本銀行が思いがけず超長期ゾーンの買い入れオペを減額したことが追い打ちをかけた格好だ。

出所:Bloomberg

 加えて、中国の米国債投資の報道が決め手となり、米10年国債利回りは2.59%と、昨年(2017年)3月以来の高水準に高騰

中国:米国債投資に当局者が消極姿勢、買い削減や停止を勧告-関係者

中国の外貨準備を見直す当局者らが米国債の購入を減らすか停止することを勧告したと、事情に詳しい関係者が述べた。

中国は3兆1000億ドル(約345兆円)と世界最大の外貨準備について定期的に運用方針を見直す。この担当者の勧告が採用されたかどうかは明らかでない。

同問題について公に発言する権限がないとして匿名を条件に語った関係者によると、中国当局者らは米国債が他の資産との比較で魅力が低くなったとみているほか、米国との貿易摩擦が米国債購入を減額したり停止したりする理由になるかもしれないと考えている。国家外為管理局(SAFE)にファクスでコメントを求めたが応答はない。

関係者は貿易摩擦がなぜ米国債購入減につながるかを説明しなかった。関係者によると、見直しで議論される投資戦略は日々の売買に関するものではない。当局者は中国が米国債の発行見通しなどの要素と両国間の貿易摩擦を含む政治的展開を注視して、米国債保有を減らすかどうかを決めることを勧告したという。

出所:Bloomberg

(※1月11日(木)12時45分ごろ、中国国家外為管理局が公式ウェブサイトに、上記の米国債購入に関するメディアの報道は「間違った情報源」を引用したか、「偽ニュースの可能性がある」と声明を発表したと報じられました。ただし、こちらについては完全否定はしていませんし、メディア関係者からも「主流ではないがそういった声が少なからずあったのかもしれない」との見方も聞かれています)

 前述のビル・グロス氏は、最近の形跡から中国が米国債を処分しつつあることが明らかだともコメントしています。

■米国債利回り高騰に追随しない米ドル/円

 この展開の中でマーケット参加者が驚いたのが、待望の米10年国債利回りの高騰に米ドル/円相場が追随しなかったこと。

 むしろ株の下落に連れ、米ドル/円は本稿執筆時点で111円台前半まで反落しています。

米ドル/円 2時間足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

このコラムでも何度かご紹介させていただきましたが、米国債利回りの急騰は、必ずしも米ドル/円の上昇には結びつきません。米国債利回りの急騰は株の調整を引き起こすからです。

【参考記事】
2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)
米ドル/円は111円割れなら108円へ下落も! 不気味な米ドルの売り手の正体とは!?(2017年11月24日、西原宏一)

 そして、ここでマーケットの注目を集めたのが、「株の上昇にも米10年国債利回りの上昇にも」追随しなかった米ドル/円

 株と米国債利回りの上昇には連動しなかった米ドル/円ですが、どちらも反落局面においては、米ドル/円は連動して下落する傾向があります。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

 本稿執筆時点での米ドル/円は、111円台ミドルで推移。

 昨年(2017年)末同様、本邦機関投資家のオープン外債(為替をヘッジせず、オープンで投資する外債)への米ドル買い需要が米ドル/円をサポートしているようですが、「株と米国債利回り上昇」のどちらにも連動して上昇できなかった米ドル/円の上値は重い展開。

前回のコラムで紹介させていただいたように、2018年の米ドル/円は、年後半から通商問題を発端に105円割れへと円高が進行するのでは?と想定していました。

【参考記事】
2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)

 しかし、「株と米国債利回りの上昇」という追い風にも関わらず、上昇気流に乗れなかった米ドル/円は下値余地が拡大

 仮に、111.00円を割り込めば107円台へと円高が進行する可能性も高まります

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

 2018年初頭、動意を見せてきた米ドル/円の動向に注目です。


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