先週の金曜日の日銀のオペでは、国債買い入れが応札なしの結果で終わった。しかしそれでも何かしらのアクションを見せたということを好感したのか、ドル円は強ぶくんだ。私のドル円ショートはその前日の高値である109.75を超えてきたことでポジションカット。損切りはしたものの、夜のイベントを通過してマーケットがどうなるかを見てみたい。
金曜日はアメリカの雇用統計であった。FOMCも終わった直後なので、金融政策に影響が出るものではないから市場の関心は薄い。しかし最近になって顕著になってきた金利上昇の動向を図るために、賃金の上昇具合を知りたいという意欲は強まった。そして結果としての平均時給も+0.3%と、市場の予想を上回った。これでドル金利は短期も長期も上昇。
10年ものの利回りは2.85%台まで上がってきた。長期債の代表は国が発行する国債だが、国債の利回りは世界的にも連動する。米国債の価格下落はドイツ債をはじめとしてすべてに波及した。これが今までコストに含まないように楽観視してきた企業意識を変化させるのではないかとの憶測を呼んだ。
つまりはもっと金利を上げないといけないのに、金融当局の怠慢のせいで低金利で抑えられていたのにタダ乗りはできないことが発覚したようなものだ。マーケットの原理は金融緩和という「見える手」から資金の流れの需給という「見えざる手」に移っていったのだ。これは経済原論からいっても当然の帰結だ。
それにようやく気が付いたかのようなマーケットは重い腰を上げた形となった。ドル金利の上昇幅はそれほどでもないのに、リスク資産の下落は激しいものとなった。米国株は9年ぶりの下げ幅を演じたが、まだまだ下げ足りない。ビットコインも7000ドル台まで下落。日経先物も22000円台に突っ込んで翌週を待つこととなった。
ドル円は110円台に復帰したが、いかにも弱々しい。米国株が大幅安になっている以上、リスク回避の動きは避けられない。とてもドル高トレンドに移行するような局面ではないのだ。ドル金利上昇でドルが上がったところは、依然としてドル売りで臨んでもよいのだろう。ユーロやポンドの是一体的なレベルも、決してドル高とはいえない水準なのである。
週明けの今日は、早朝のグローベックスでは米国株が先週の安値を大きく下回って大幅安となってスタートした。ドル円も最初のうちは110円台でうろうろしていたものの、やはりリスクオフに押され気味になっている。私も金曜日のリベンジの意味合いもあって、110.05で売り直した。後はニューヨーク市場でどのように消化するかが問題だ。
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