■円売りポジション積み上げキープの背景にクロス円上昇継続
もっとも、米ドル/円は昨年(2017年)11月に上値トライに失敗したから、円売り自体の積み上げは、本来すでに大きく削減されていてもおかしくなかった。それでも高い水準を保っているのは、やはり、クロス円における円売りトレンドの継続ではないかと思う。
先週(1月29日~)まで高値を更新していたユーロ/円や英ポンド/円に照らして考えてみると、このようなクロス円の動向は円売りポジションの積み上げをキープさせた背景として見逃せない。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
しかし、前回のコラムでも指摘したように、そもそもゼロ金利やマイナス金利のユーロと円は、今後の出口政策の有無が大きな影響を及ぼすとはいえ、一方が大きく売られ、一方が大きく買われること自体が「異常」だと言える。
【参考記事】
●ドル/円相場はなぜユーロ/円次第なのか? 日銀がECBの出口政策に追随しないワケ(2018年2月2日、陳満咲杜)
出口政策云々といっても、ECB(欧州中央銀行)が完全にQE(量的緩和)策を終了していない上、これまでのユーロ高を見ると、出口政策の実施効果が過大に織り込まれていた疑いも濃厚だ。相場の変化があれば、米ドル/円よりユーロ/円のほうがより鮮明な兆しを点灯してくれるのではないだろうか。
■ユーロ/円、英ポンド/円のターゲットをいったんキャンセル
このような懸念は、テクニカル上でもサインが点灯し、示唆されていた。2月6日(火)のレポートをもって説明したい。本文は以下のとおり。
(出所:FXブロードネット)
(出所:FXブロードネット)
ユーロ/円もポンド/円も円安一服、また頭打ちの可能性を示唆し始めた。警戒のサインとして先週安値、今週の終値をもって割り込めるかどうかを挙げられるが、一旦割り込みがあった以上、油断できない。
もっとも、先週ユーロ/円にしても、ポンド/円にしても2016年安値を起点とした上昇波の高値を更新、また前の週足(1本か2本)と強気「リバーサル」、あるいは「アウトサイド」のサインを点灯してから高値更新を果たしていたので、サインとしては重要であった。
ゆえに、先週安値の割り込み、同サインを否定しかねないから、一転して頭打ちのサインとして警戒される。何しろ、先週上昇幅の帳消し自体が先週罫線の意味合いを否定したのみではなく、先週のサイン自体が「ダマシ」である可能性を暗示しているからだ。この場合、天井における「アウトサイド」が「ダマシ」であれば、トレンドの終焉や反転を強く示唆するサインとして警戒されるべきだ。
前記のように、週足では終値をもって判断しなければならないので、目先性急な判断を避けたい。また、短期スパンにおけるオーバーシュート、また米株の動向次第一旦リバウンドしてくる公算も大きいでしょう。ただし、警戒すべきサインが点灯している以上、従来のロングのみのスタンスを改め、中立の立場で冷静に次のサインを待ってから判断したほうが無難であろう。シグナル次第、ショートスタンスへの転換もあり得るので、覚悟を持ちたい。
以上のように、本日(2月9日)の終値をもって再考しなければならないが、筆者はスタンスを中立にしたので、ユーロ/円と英ポンド/円の従来のターゲット(140円や160円)をいったんキャンセルし、市況次第でまた次のターゲットを提示したい。
最後に強調しておきたいのは、ターゲットはいったんキャンセルしたが、市況次第なので、復活の可能性がまったく否定されるわけでもない。今は様子見の段階で、明白なシグナルを見極めてからストラテジーを再考すべき、ということだ。市況はいかに。
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