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西原宏一_メルマガ取材記事
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

ドル/円相場はなぜユーロ/円次第なのか?
日銀がECBの出口政策に追随しないワケ

2018年02月02日(金)16:54公開 (2018年02月02日(金)16:54更新)
陳満咲杜

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■ウォール街からはユーロ/米ドル上昇継続の予想が

米ドル安が続いている。ドルインデックスで確認してみると、足元は先週(1月22日~)の安値近辺で推移し、反騰の気配を見せていない。

ドルインデックス 日足
ドルインデックス 日足

(出所:Bloomberg)

 トレンドが進行すればするほどトレンドに沿った予想の方が増え、また、重視されるから、いつものように、ウォール街でも米ドル安継続の予想が大手から出そろっている。ゴールドマン・サックスとUBSは共にユーロ/米ドルの2018年の年間ターゲットを1.3ドルへ上方修正し、米ドル安が加速すると読んでいる模様だ。

■円高については見解が割れている理由とは?

 一方、米ドル/円に関する見方は分かれる。「米ドル安だから円高」、「米ドル安だけれど、円安も伴う」とそれぞれだが、「米ドル安だから円高」派でも円高のモメンタムについて、ユーロ高ほど確信は持っていないようだ。

 何しろ、日銀の「出口政策」が憶測されているが、いつ実行されるかはまったくわからない。黒田総裁も「出口政策尚早」と繰り返して、市場を牽制している。仮に黒田さんの続投がなく、新総裁が「出口政策」を模索しても2018年年内にできるかどうかは疑問だ。よって、日銀の出遅れが確実視される中、円高の余地がどれだけあるか、今のところ推測しにくいのだ。

 もっとも、日銀政策に関する憶測の多くは、「ECB(欧州中央銀行)の資産購入の終了が近づいているから、日銀も追随するだろう」といったロジックに依存している側面が大きい。しかし、ドイツ中銀の伝統を汲むECBはインフレ退治を使命としており、それをもってデフレ脱却を第一目標とする日銀のスタンスを推測するのは、無理なところがある。

■ムニューシン騒動は押し目の好機だった!?

 さらに、円高かどうかは米ドル/円のみでなく、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の状況も総合的に見ないとわからない。

 実際、昨日(2月1日)はユーロ/円も英ポンド/円も高値更新したので、筆者が主張する「米ドル安だが、円高と言い切れない」状況は続いていることが示されている。

 こういったロジックを重視すれば、主要クロス円における調整があれば、押し目買いの好機と見なし、また、実行すべきだったであろう。

 先週(1月24日)、米財務長官による「米ドル安容認」の発言がもたらした一時の円高は、まさにそのとおり、押し目の好機を提供してくれた。テクニカル上のポイントも見極めやすかったので、トレードに利用しなければもったいなかったと思う。詳細は1月31日(水)のレポートをもって見てみよう。本文は以下のとおりである。

ユーロ/円 日足(1月31日作成、クリックで拡大)
ユーロ/円 日足(1月31日作成、クリックで拡大)

(出所:FXブロードネット)

英ポンド/円 日足(1月31日作成、クリックで拡大)
英ポンド/円 日足(1月31日作成、クリックで拡大)

(出所:FXブロードネット)

昨日ユーロ/円もポンド/円も「スパイクロー」、即ち「たぐり」線をもって反落の一服を示唆していた。重要なのはGMMAにおける50や60日EMA線を一旦打診してから高く大引け、典型的な「鰯喰い」のサインを点灯したこと、同サインの確認でブルトレンドの継続、また押し目がすでに完成された可能性を示唆している。

もっとも、昨年11月から両通貨ペアは度々「鰯喰い」のサインを形成してからブルトレドを維持してきた。上のチャートに表示されたように、「鰯喰い」のサインに伴うプライスアクションのサインも然りだったので、今回も蓋然性が高いとみる。

要するに繰り返してきたパターンなので、順張りで再度高値更新が期待されるでしょう。また、再度押し目があれば、昨日のサインを完全に否定できない限り、引き続き押し目の好機と見なせるでしょう。ユーロ/円の135前後、ポンド/円の153後半はサポートゾーンとなれば、上昇モメンタムの一段加速が想定される。

「鰯喰い」はGMMAチャートにおけるシグナルの1つで、筆者が命名したものだが、要するに、トレンド途中でスピード調整があったものの、トレンドを修正できず、また元のトレンドへの復帰を示唆するサインである。

 上のチャートが示したように、昨年(2017年)11月末からたびたび同サインが形成され、また、ブル(上昇)基調の継続を示してきた。そして、押し目も結局繰り返されてきたパターンなので、「1月30日(火)までの調整は押し目買いの好機」と見なしたのも、自然な成り行きであった。

 そして、こういった「自然な成り行き」が成立する…

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