■Zaifが不具合の発生と異常値の表示を認めた!
ところが、Zaifがようやく動いたのです。
メンメンさんにアカウントロックの解除を知らせるメールを送った数時間後の2月20日(火)19時10分、公式サイト上に「16日に発生した異常値の表示に関するお詫びとご報告」というタイトルのお知らせが掲載されたのです。

そこに書かれていた内容を要約すると、
●2018年2月16日(金)の17時40分ごろから58分ごろにかけて、「簡単売買」においてゼロ円でも売買できてしまう状態が発生し、7名のユーザーがゼロ円で仮想通貨を購入してしまった。
●ゼロ円で仮想通貨を購入したユーザーの一部が取引所で売り注文を出したため、ビットコイン/円の板情報に異常な値が表示された。
●「簡単売買」の価格計算システムに不具合が生じたことが原因。
●不具合に対しては、発生中から即時対応を開始して修正を実施。以降、正常に稼働している。16日の現物出来高ランキングも修正済み。
●システムの異常によるものなので、ゼロ円で購入された売買は訂正扱いとし、残高データも修正を行った。
ということ。
結局、Zaif側の不具合で、一連の問題が発生してしまったということでした。メンメンさんがZaifのシステムに、何か良からぬことをしたわけではなく、他にもゼロ円で仮想通貨を購入したユーザーがいたというのです。
そして、メンメンさんが主張していた、21億BTCの保有と資産2246兆3805億円の売買契約は、不具合によって生じたものなので無効、ということになったのです。
そもそも、Zaifの利用規約の中には、
「当社は、システムの異常による本サービスにおける本サービスで取り扱う仮想通貨に係る約定を取り消すことができます。その際、当社は、当該取消その他本サービスに関連して本会員が被った損害につき、賠償する責任を一切負わないものとします」
と、異常値で取引された売買は認めず、賠償もしないと明記されています。
まあ、そうなりますよね…。
Zaifにはそれなりのユーザーがいるのに、記者が調べた限りではネット上に「Zaifでビットコインとモナコインがゼロ円で買える!」みたいな書き込みは見当たらなかったし、ゼロ円表示が大騒ぎになるわけでもなく、ゼロ円で購入したユーザー数が7人だったというのが、ちょっと少ないように感じたりと、腑に落ちない面はいくつかあるのですが…。
でも、これで話題自体が次第に沈静化して、しばらくしたら「ちょっとした珍事件だったね~」みたいな感じになるんだろうな、と思ったのです。
しかし、もしかしたらこの問題、もう少しだけ尾を引く可能性があるかもしれません…。
■まだ揉めている!? サービス改善のキッカケになれば…
実はZaifのお知らせの中には、「ゼロ円で仮想通貨を購入した7名のユーザーのうち、6名に関しては対応が済んでいるが、1名については継続対応中」といった現状報告が、併せて表記されているのです。
もしかして、メンメンさんが売買契約の成立を主張して、Zaifとめちゃめちゃ揉めているんじゃ…、そんな憶測が記者の頭をよぎったのですが、Zaifがお知らせをリリースしたあとにメンメンさんが公開した動画のタイトルはズバリ、
「Zaifザイフから0円で買った対象者7人に連絡あったんですか?連絡私は貰ってないんですが‥」

メンメンさんには前述したアカウントロック解除のお知らせが送られたきり、この件に関しては何も連絡がないようなのです…。
継続対応中のユーザーっていうのは自分のこと? だとしたら、対応もなにも、連絡がないんですけど…。他にゼロ円で買ったユーザーには連絡があったの? と、かなり戸惑っている様子。
この前に投稿された動画では、今回の件に関するZaifの対応の悪さを批判していました。そして、大手のメディアから取材依頼がきていて、依頼を受けようかどうしようか、かなり悩んでいると言っていました。ザイFX!も、メンメンさんへ取材を依頼していますが、まだ返答はない状態です。
もし、メンメンさんがザイFX!、もしくは他の取材に応じてくれて、それをキッカケに今回の件がもっと広く世間に知れ渡るようになったとしたら、21億BTCを手に入れることはどう考えても無理そうですが、Zaifのユーザーに対する誠実とは言い難い対応などが注目されて、Zaifが何かしらの対応に迫られる、といった結末もありえるのでしょうか…?
Zaifは仮想通貨交換業者として金融庁に登録された、テックビューロ株式会社が運営する仮想通貨取引所です。システム面でもそれなりに厳しい審査を受けてきたはず。
【金融庁登録に関する参考記事】
●資本金わずか1000万円。金融庁登録がある仮想通貨交換業者は100%安全なのか?
金融庁のウェブサイトを見ても、今のところは今回の件に関するお知らせなどの公表はありません。コインチェック事件のように、多数のユーザーが金銭的な被害を受けたわけでもありませんし、金融庁が特にアレコレ言う必要もないということなのでしょうか?
Zaifの言う「継続対応中」のユーザーがメンメンさんのことであれば、このあとは「メンメンさん VS Zaif」ということになり、他のユーザーの関心も徐々に薄くなっていくかもしれません。
ですが、記者は今回の一件が、システム面や仮想通貨取引の安全性、サポート体勢の改善など、Zaifが良いサービスを提供することにつながる、キッカケになってくれることを願ってやみません。そして、メンメンさんが投稿する動画にも、しばらく注目しておきたいと思います。
(※当記事は、2018年2月21日(水)までに得られた情報をもとに作成したものです)
(ザイFX!編集部・堀之内智)
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