(「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(7) ビットコインアドレスはなぜ匿名性が高い?」からつづく)
■ビットコインはどうやって手に入れる?
ということで、ここまでのお話で、ビットコインは既知の魅力と未知なる可能性を兼ね備えていることが、おわかりいただけたかと思います。
でも、そんなビットコインって、どうやって手に入れるの? 外貨みたいに、街中や空港に両替所があるの? 惜しい! 街中や空港にはありませんが、インターネット上にあります! そうです、「実体」がないんですから、わざわざ店頭に行って入手する必要はないですよね。
ビットコインを入手できるところの代表例は、以下の2つです。
<ビットコインを入手できるところ>
(1)ビットコイン販売所
(2)ビットコイン取引所(交換所)
取扱い業者によって、呼び方もさまざまなので少々混乱しますが、もう少し具体的に説明しますと、(1)の販売所では、販売所自体が保有しているビットコインを顧客が購入します。これは、まさに外貨両替と同じですね! 店舗がリアルかネット上かの違いはありますが、販売所が提示しているレートで、顧客がビットコインを円(法定通貨)と交換するというしくみは、外貨両替といっしょです。顧客側から見ると、取引の相手は業者ということになります。
これに対して、(2)の取引所では、利用する顧客同士がそれぞれ、お互いの持っているビットコインと円(法定通貨)を交換します。株取引をされる方は、通常の株取引、つまり、取引所での株取引をイメージしていただけるとわかりやすいと思います。この場合、取引の相手は、自分と同じように取引を望んでいる顧客ということになりますね。
■株取引と違って、取引所は1つじゃない
株取引と違うところは、「各ビットコイン取扱い業者が、個々に取引所を運営している」というところ。
株取引の場合は、基本的には「東京証券取引所」などの取引所での取引を各証券会社を介して行います。いずれの証券会社で取引していても、その先にあるのは同じ取引所ですから、当然、株価はどの証券会社で取引していても同じ価格になります。
しかし、ビットコインの場合は、各業者が、それぞれ独自に取引所を運営しており、同じ業者に口座を持っているトレーダー同士が、その業者が運営する取引所で取引することになります。そのため、取引所によってビットコイン価格は異なります。
同じビットコインとはいえ、場合によっては取引所間で結構、価格が異なるようで…。この取引所ごとの価格差を利用して利ザヤを儲ける(※)というツワモノもいるとか…。
(※このように同一の価値を持つはずのものに異なる価格がついていることを利用して利益を得る方法を一般にアービトラージ(裁定取引)といいます)
■仮想通貨交換業者は金融庁への登録が必要!
さて、当コーナーでもすでにお伝えしているとおり、2017年4月の改正資金決済法(仮想通貨法)施行によって、こうした販売所や取引所を運営する仮想通貨交換業者は金融庁への登録が必須となりました。2017年12月現在、登録が完了している業者は計15社です。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(1) “記者会見合戦”が行われた歴史的瞬間
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(2) ビットフライヤーは仮想通貨出来高世界一!
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(3) 徹底比較! 資本金の多い会社はどこ?
ちなみに、ビットコインに投資する方法としては、当記事で紹介している販売所や取引所で現物の売買を行なう現物取引以外にも、レバレッジを効かせた証拠金取引が可能なFX、信用取引、先物取引もあれば、積立などもあります。ただ、すべての業者でどれでも取引できるというわけではなく、業者によって提供しているサービスが異なりますので注意が必要です。
詳しくは、以下の【参考コンテンツ】をご確認くださいね。
【参考コンテンツ】
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
●「ビットコイン・仮想通貨のFX」ができる取引所を比較。上昇も下落も収益チャンスに
■「販売所」と「取引所」では、ビットコインのレートが違う!
基本的なことを押さえたところで、話を戻しましょう。当記事では、ビットコインを入手する方法として、「販売所」と「取引所」があるとお伝えしました。ここまでで、それぞれ取引の相手方が異なるということはおわかりいただけたかと思いますが、他に何か違いはあるのでしょうか?
先ほど、「取引所」ごとにビットコイン価格が異なる場合があるということをお伝えしましたが、実は「販売所」と「取引所」でもビットコインの価格が違うんです。
またまた外貨両替をイメージしていただくとわかりやすいと思いますが、たとえば、普段FXなどで為替レートになじみのある方は、空港などで円を米ドルに替えようとしたときに、びっくりしたことがありませんか? 「え!? 米ドルって、こんなに高かった…?」と。普段目にするFX会社のレートよりも、平気で2円くらい高かったりしますよね? その分、コストがかさむということです…。
ビットコインでも同じような現象が見られ、「販売所」で入手する方が「取引所」で入手するよりもレートが高くなっている、要はコスト高であることが一般的です。
「販売所」、「取引所」両方のサービスを提供しているbitFlyer(ビットフライヤー)を例に、比較してみたいと思います。下の画像は、同じ時刻のビットコイン「取引所」(左)と「販売所」(右)のデモ画面です。

「取引所」(左)の取引画面には、株取引と同様に「板(気配値)」が表示されています。この画像を取得した瞬間は、売り買いの価格が一番近いところでAskが194万690円、Bidが194万667円になっていますね。このとき、Askの194万690円というのはその瞬間、自分がすぐに買える価格、Bidの194万667円というのはその瞬間、自分がすぐに売れる価格を意味します。
一方、「販売所」(右)の取引画面には、シンプルに「購入価格」と「売却価格」のボタンがついていて、「買い」は200万5715円、「売り」は192万4068円となっています。
「取引所」の場合、価格の横に取引可能数量が提示されているので、正確にいえば、その価格で取引できるのは取引可能数量の範囲内なのですが、ここではわかりやすく説明するために、これを無視し、単純にビットコインを入手する価格として比較してみます。すると、「取引所」なら1BTCあたり約194万円、「販売所」だと約200万円となり、その差はなんと6万円になります。6万円ですよ、6万円…。
それならみんな「取引所」でビットコインを入手しようとするんじゃない? 「販売所」を使う人なんているの? と思ってしまいそうですよね。ただ、「販売所」には、「販売所」にしかない特徴があるケースもあります。たとえば、取引単位の違いです。
ビットフライヤーの例になりますが、「取引所」でのビットコインの取引単位は0.001BTC。1BTCが200万円だとすると、2000円単位で入手できるということですね。これに対して「販売所」の取引単位は0.00000001BTC(=1satoshi)です。「販売所」では、「取引所」よりも小さい単位での取引が可能なのです。
また、ビットフライヤーでは、現在、「取引所」での取引に対し、取引量に応じて0.01%~0.15%の取引手数料がかかります。「販売所」は無料です。
このほか、販売所は取引の相手方が業者であるということで、いつでも提示された価格で、基本的に希望する取引量の取引が可能ですが、「取引所」の場合は、板に掲載された価格と取引量でしか取引することができません。
ここまで説明しておいてなんですが、こうした「販売所」ならではの特徴があるとはいえ、現在のビットコイン価格(1BTC=200万円くらい)なら「取引所」でも最低2000円程度から入手できます。
普通に考えて、ビットコインを入手するならコスト的にお得な「取引所」で入手するのが賢明だといえそうですね。
【参考コンテンツ】
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
(「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(9)ビットコインの値動きの要因は何だろう?」へつづく)
(ザイFX!編集部・上岡由布子)
【目次】 【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門
■【第1回】 そもそも、ビットコインとは何なんですか?
■【第2回】 「電子マネー」と「仮想通貨」の違いとは?
■【第3回】 円などの「法定通貨」と「仮想通貨」の違い
■【第4回】 ブロックチェーンって結局、何なの!?
■【第5回】 マイニングとはいったい何をしているのか?
■【第6回】 マウントゴックス事件はどんな事件だった?
■【第7回】 ビットコインアドレスはなぜ匿名性が高い?
■【第8回】 ビットコインはどうやって手に入れるの?
■【第9回】 ビットコインの値動きの要因は何だろう?
■【第10回】 利益に税金はかかる? 詐欺や盗難に注意
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