金曜日はアジア時間で米朝首脳会談が5月までに行われると伝わり、市場は大きくリスクテークに傾いた。ドル円は106円台の前半から106円台の後半まで上がってきたのだが、日本株のほうは上昇に勢いがなくなってくるとドル円も上サイドが重たくなってきた。
北朝鮮と対話はするが、それが核問題に結果を出せるかどうかは不透明のままだからである。政治的なパフォーマンスに使われているだけだろうというのは、すぐにわかることではあるが。
夜にはアメリカの雇用統計だった。就業者数は事前予想を上回って大きく伸びた一方で、平均時給の伸びは予想を下回った。前回の雇用統計で賃金の伸びがインフレ懸念をもたらして株価の急落を招いたことを考え合わせれば、今回の結果に市場が安心感を得たのは言うまでもない。米国株は大きく上昇し、ニューヨーククローズまでほとんど押し目は作らなかった。
その一方でドル円の上昇は限定的なものにとどまった。107円台に瞬間的につけたものの、すでに上がっていたからだとはいえ、雇用統計後に上がった分は30ポイントもないくらい。リスクテークになるというよりも、利上げのペースが速まらないというほうに力点が置かれたようだ。
しかし平均時給が下がったことを好感するのは、考えてみればおかしなことだ。日米ともに金融当局は物価目標をプラス2.0%に置いており、そのためには賃金上昇が欠かせないというスタンスを取っている。
それに合わせて政府も賃金を上げるための政策を進めている。それなのにマーケットは賃金が上がっていないことを喜んでリスクテークに励むというのは、依然として低金利下で成り立つ「適温相場」がもっと続いてくれという期待がなせる業なのだろう。
週末に日本の財務省が決済済みの公文書を書き換えたことを認める方針となったと報じられた。週明けのマーケットはどのような反応になるかと興味津々で見守ったのだが、目立った動きは為替相場には見られなかった。
10時半過ぎに自民党の幹部が政府から連絡があったことを認めると、ようやく市場はリスク回避に。それでも日本株の下げも小さくて、またドル円も50ポイントも下がらない。
本来ならば内閣が吹っ飛んでしまってもおかしくはないような深刻な状況だ。私としてはドル円かユーロ円をショート目で見ている。ちなみに本日からアメリカは夏時間でトレードされる。
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