■実現したNEMの補償。コインチェックが日本円で返金実施
2018年3月12日(月)、コインチェックから、1月に不正送金されたNEMの補償を同日中に行うこととサービスが停止されていた一部仮想通貨の出金・売却を再開する旨の告知が行われました。
不正に送金された仮想通貨NEMの保有者に対する補償についてhttps://t.co/2PcWgSOYvL
— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) 2018年3月12日
一部仮想通貨の出金、売却再開のお知らせhttps://t.co/jOx9vYIDEQ
— Coincheck(コインチェック) (@coincheckjp) 2018年3月12日
先日、当コーナーでもお伝えしたとおり、3月7日(木)に行われた記者会見で、来週中(3月12日の週)に、NEMの補償と停止中のサービスの再開について詳細な報告を行うとしていましたが、まさか、週初の月曜日にこんな発表が行われるとは…と、ちょっとびっくりでした。
【参考記事】
●金融庁がみなし業者含む7社に行政処分。コインチェックの月間取引高は約4兆円!?
●仮想通貨交換業者の行政処分と住所に関係あり!? マウントゴックスの呪いとは!?
■NEMではなく、日本円で返金。円換算レートは88.549円
まず、NEMの補償についてですが、以前からコインチェックから告知されていたとおり、日本円での返金となり、その際の円換算レートは88.549円が採用されました。
不正送金事件が起きた2018年1月26日(金)前後は、およそ100円~120円くらいで推移していましたので(一時的に70円台まで下落する場面もあった…)、それに比べると悪いレートなのかもしれませんが、3月13日(金)現在のNEMの価格は、1NEM=45円くらいですので、現在価格よりは、かなり良いレートで円換算されたことになります。
【参考記事】
●コインチェック事件は全額返金で一転解決!?消えた580億円分の仮想通貨NEMどうなる?
●なぜ、仮想通貨の盗難はあとを絶たない?仮想通貨はどうやって管理するのが安全か?
(出所:Zaif)
そのほか、冒頭で紹介した告知において、コインチェックから発表された具体的な補償内容は以下のとおり。
<仮想通貨NEMの補償に関する内容>
・ 補償日時 : 2018年3月12日中
・ 補償金額 : 88.549円 × 2018年1月26日23:59:59時点での保有数
・ 補償対象 : 日本時間2018年1月26日23:59:59時点でNEMを保有 していたユーザー
補償金は、対象ユーザーのコインチェックアカウントの残高に反映されたそうで、3月13日(火)現在、実際にコインチェックからの返金が反映されたとの発言もSNS上で散見されます。ちゃんと返金されているみたいです。
■普通に考えて課税されそう…。国税庁と相談中らしいけど
不正アクセスにより、5億2630万10NEMが外部へ送金されたという前代未聞のこの事件。
ユーザーへの補償金額は、ざっと466億円にものぼることが明らかになっていましたので、本当に返金できるのか…? と、記者自身、心のどこかで疑念が残っていたのですが、上述のとおり、コインチェックは無事にやってのけた様子。
NEMで保有していたものが、なぜ日本円で返ってくるのか? 疑問と言えば疑問ではありますが、まったくもって何も返ってこないという最悪の事態は回避されましたので、その点はひとまず、ほっとしました。
しかし、強制的とはいえ、円転されて戻ってきたワケですから、普通に考えると、利益が出ていれば課税されることになるのではないか? と思われます。
【参考記事】
●ビットコイン/仮想通貨の確定申告総まとめ。税金はいくら? 簡単に計算できるツールは?
この点について、コインチェックは、「現在、国税当局に相談を開始した段階にございます。取り扱いが分かり次第アナウンスを致します」との告知を行っていました。
もしかしたら、通常とは異なる措置が取られる可能性も現段階ではありそう……なのかも?
■仮想通貨の出金・売却再開。対象の仮想通貨はどれ?
続いて、一部仮想通貨の出金・売却再開について、簡単に確認しておきましょう。
コインチェックから告知された具体的な出金・売却再開の内容は、以下のとおりです。
<一部仮想通貨の出金・売却再開の内容>
・ 再開日時 : 2018年3月12日(順次)
・ 再開機能 : 一部仮想通貨の出金、売却(入金、購入は対象外)
・ 出金再開対象仮想通貨 : ETH、ETC、XRP、LTC、BCH、BTC
・ 売却再開対象仮想通貨 : ETH、ETC、XRP、LTC、BCH
(BTCは当初より停止していない)
※BTC=ビットコイン、ETH=イーサリアム、ETC=イーサリアムクラシック、XRP=リップル、LTC=ライトコイン、BCH=ビットコインキャッシュ
2018年1月のNEM不正送金を受けて、コインチェックでは、日本円の入出金(※)とBTCの売買を除く他のサービスのほとんどを事件の原因究明のためということで、一時的に停止してきました。
(※日本円の出金も当初停止していたが、2月13日(火)に再開された)
それが、3月12日(月)より、上述のとおり、一部の仮想通貨の出金(他のウォレットや取引所へ送付すること)と売却についてのみ再開。ただし、再開は、技術的な安全性などの確認が完了した機能から順次行っていくとのことですので、すべての機能が一気に使えるようになるワケではないのかもしれません。
最新の情報は、コインチェックのウェブサイトなどでご確認ください。
また、対象の仮想通貨においても、入金(他のウォレットや取引所からコインチェックへ送付すること)や購入はできません。再開されたのは、上述の対象仮想通貨の出金と売却のみですので、お間違いなく。
■コインチェックから出金する際の手数料は?
ちなみに、今回、出金可能となった仮想通貨をコインチェックから出金する、あるいはNEMの補償により返金された日本円をコインチェックから出金する際には、別途手数料がかかります。
ここで、確認しておきましょう。
<コインチェックからの仮想通貨送金手数料>
・ BTC : 0.001 BTC
・ ETH : 0.01 ETH
・ ETC : 0.01 ETC
・ XRP : 0.15 XRP
・ LTC : 0.001 LTC
・ BCH : 0.001 BCH
<コインチェックからの日本円出金手数料>
・ 日本円 : 400円
これを機に仮想通貨を他の取引所や自分のウォレットへ移そうと考えている人や日本円を出金しようと考えている人は、あらかじめコインチェックのウェブサイトなどで手数料を確認するようにしてください。
なお、コインチェックでは、まだすべてのサービスが再開したワケではありません。コインチェックは多くの仮想通貨を取り扱っていることが特徴ですが、今回、出金と売却を順次再開するとしたのはその主要なものだけ。たとえば、匿名通貨と呼ばれるXMR(モネロ)やDASH(ダッシュ)などの関連サービスは、依然、停止したままです。
今後、徐々にそうしたサービスの取り扱いについて、詳細が明らかになっていくのではないでしょうか。引き続き、コインチェックからの発表に注目しましょう。
(ザイFX!編集部・向井友代)
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