週末に北朝鮮が核実験の停止などを一方的に発表したことで、表面的には朝鮮半島の地政学的リスクは薄まるかに見えた。週明けのマーケットは行方を探るかのように大きなリスクテークで始まるのかなと思われたが、あまり相場は反応しなかった。
ドル円は10ポイントほど上がったくらいで、グローベックスでの米国株も少々のみ。だからそれほども大きな材料でないとみなされたわけだ。考えてみれば当たり前のことで、核武装を放棄するわけでもなく、在韓米軍がどうなるのかも決まっていないのだ。和平交渉もこれから始まるのであり、まだ結果がどうなるのかは不明のままだ。
それともう一つの理由としては、昨年からの相次いだミサイル発射の間も、大きなリスク回避にならなかったことが考えられる。地政学的リスクが増して瞬間的に相場の押したところは広い場だという強気で臨んだのである。
そして結果的にも株価は大崩れを免れている。よって地政学的リスクが薄まった時だけリスクテークしてもよいというのは、どだい無理があることがわかる。ドル円はアジア時間では107円台の後半で10ポイントほどしか動かなかった。
その後、欧州時間に入ってからようやく上がり始め、108円台に乗せてくると、ドル買い圧力がますます強まってきた。ユーロドルも下がっている。ドル買い安心感がもたらされ、ドル円はビッドが強くなってきた。ポンドドルも下がって、久しぶりに見る1.39台だ。
ニューヨーク市場になってもドルの腰は強くて、ドル円は108円台の後半まで上がってニューヨーククローズを見変えている。原因はドルの金利高だ。ドル金利は短期も長期も上昇してきており、これは先週末に見られた動きと同じだ。年4回の利上げをプライスに織り込んでくる過程だといってもよい。
金利上昇がマーケットの関心を集めているのは明らかだ。今晩も同じようにドル金利の動向に左右されるだろう。ここからドルの長期金利が3.0%に乗せてきても、それは大きな動きではない。
しかしフレッシュゾーンに突入したということを意識しての心理的な動きが出てきてもおかしくはない。ドル円は今年の高値である113.38と安値である104.64の半値戻りである109.01がターゲットとなっている。またそこは強力なレジスタンスでもある。
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