昨日のアジア時間ではドル円が109円台の中盤まで下がってきていた。前日のトランプ大統領の「米朝会談は開かれないかも」といったコメントが、マーケットに不透明感を増しているのだ。それで市場全体がリスクオフに傾いている。クロス円も安いままだ。
ドル円の周りには下げを示唆するような材料で埋め尽くされている。私もドル円は完全にベアになった。どうせ戻りもほとんどないだろうから、最悪の場合は安くなってきてからの突っ込み売りでもいいだろう。とにかく109.50アラウンドでは何もせず、いわば売りのOCO状態で次の動きを待っていた。
相場が動いたのは、夜の10時半を過ぎたあたりからだ。トランプ大統領が6月の米朝会談をキャンセルしたというのだ。昨日まで韓国の大統領と面談して、ニコニコと南北融和を祝っていたかのようであるのに、24時間もたたないうちに会談の破棄だ。だったら米韓会談の前から会談中止の腹は決まっていたのだろう。韓国の大統領がコケにされたことになる。
ともかくもそれでマーケットはいっせいにリスク回避に動いた。私も売ろうとしたが、すでに安い。109.28でしか売れなかった。それでも売らないわけにはいかない。ドル円は108円台まで突っ込み、ユーロ円も127円台まで安値を見た。しかし後から振り返ってみると、実にゆっくりとした下げであった。
地政学的リスクの高まりとかを意識していないみたい。もう完全になめきっているのか、緊張感のない値動きだった。米国株の下げのピッチも遅かった。私としても108円台で下げ止まりだとは思わなかったが、米国株が切り返してきたので109.11で買い戻すこととなった。
昨年から続いてきたように、地政学的リスクの高まりで押したところは買い場だ、というパターンはまだ継続しているようである。もしくはそうだと信じたい人が多いようである。今日になってドル円は上がってきており、109.70近辺まで攻めている。そして株価も上昇。
米朝会談を行うぞということで上げてきたリスク分くらいはすべて吐き出してもよさそうなものなのに、結果としてはそのディップは実に浅いものだったとしか言いようがない。まあ半島情勢ではいつも押し目買いのほうがワークしていたということもあるのだろう。
今晩は言うまでもなく、米朝会談取りやめによる世界の反応を見るべき場となる。要人発言なので事前に予想して臨むのは困難だが、何か出てきたら一気に持っていかれるリスクが潜んでいることだけ念頭に置いておかないといけないだろう。
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