金曜日のアジア時間では新興国不安からリスク回避の動きが強まった。欧州序盤にかけても、ドル円やユーロ円が安い。アルゼンチンがIMFに対応を迫ったのに加えて、ブラジルもゼネストなどで国債が一気に値下がりしたからだ。
これまでも見られたように新興国で不安が起こると、資金の引き上げが起こって、それが回りまわって先進国の資本市場も打撃を受ける。それが連想されたものだろう。
しかしニューヨーク時間では南米のリスクは薄まって、市場全体のリスク許容度も回復した。ドル円は109円台台を割り込むことはなく、むしろ日中の高値圏でニューヨーククローズを迎えることとなった。
週末のG7サミットではコミュニケが出てこないのではないかとの観測もあったが、なんとか打ち出すことができた。自由貿易を守ると標榜はしているものの、アメリカの主張している内容も併記された。
しかしカナダ首相が会見で米批判ともとられかねないコメントを出したことで、トランプ大統領は反発。シンガポールに向かう飛行機の中からツイッターして、そんな共同宣言は認めないとつぶやいている。
今週はイベントが多い。火曜日の米朝会談、水曜日のFOMC、木曜日のECB理事会、そして金曜日は日銀の金利会合である。多そうに見えるが、実は市場の関心はECB理事会だけである。そのほかはイベントが重要でないというわけではないが、結果が見えているからである。
米朝会談はどうやら何も前向きな約束はできなさそうである。非核化の即時実行は無理にしても、工程表くらいは出てくるのかとの期待もあったが、それも出てこないようだ。今後も継続協議に附して「がんばりましょう」という声明に終わりそうだ。おかずとして朝鮮戦争の終結宣言くらいはするかもしれないが、それで半島の軍事情勢が動くものではない。
FOMCでは完全に0.25%の利上げが織り込まれており、それこそ利上げしないことがあったらビックリものだ。しかしこの短時日でそれを翻すだけの材料は出そうにもない。日銀が何もやらないのは周知のとおり。
ここ12年間にわかって何も金融政策をいじっていないのだから、ことさら今回で利上げに踏み切ることはありえない。ECBだけが出口戦略を含めて、何をやるか不透明なのである。
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