昨日はアメリカが休み。だからアジア時間からマーケットではやる気なしの、小動きが続いた。ドル円はずっと110円台のミドル。このレベルのまま、ずっと動かないのだろうなという思いが強い。そして結果的にも昨日は1日を通じて、ダイナミックな動きは見られなかった。私としても休み気分となっており、何もトレードに取り組む意欲に欠けるものがあった。
アメリカが休み中だというのに、ツイッターにはトランプ大統領のつぶやきは大量に入ってくる。本当に自分で書いているのか。よくこんなに時間があるものだなあ、休みの日くらい、書かなくてもいいのに(笑)。
アメリカファーストだというが、昨今の貿易摩擦では国内からの批判も相次いでいる。それもそうだろう。アメリカが主要な物品に関税をかければ、その分だけ今まで輸出していた国も対抗して関税をかける。
それがアメリカの輸出を抑えることになる。それを嫌気して、すでにGMやハーレーも生産を海外に移すことを決定している。それでは本来の目的であった国内の雇用は失われてしまう。かえって景気にとっては良くはないと考えられるが、それでも米国株は大きくスリップしないのが現実である。
マーケットとしてはトランプ大統領はちゃんと落としどころを考えていて、本気ではないと見ているのか。それともまだ十分にプライスに織り込んでいないだけなのか。
後者の場合だったら、今後のマーケットで起こることが恐ろしい。貿易というものは相手もあることなので、ルールは包括的に、できるだけ同じ条件で行うのがよいに決まっている。だから貿易ルールの統一を目指してGATTが創設された。通商は二国間で協議するよりも多国間で話し合った方がいいという理由で、GATTはWTOに組織替えされた。
こうしたマルチラテラルな話し合いのサークルはいくつも出てきて、TPPやユーロ圏、NAFTAといったものも同じようなものである。確かにトランプ大統領は二国間協議に重きを置いている。その方がアメリカの強みを相手によって使い分けられるからだ。
米韓FTAを見れば、それは明らかだろう。日本もアメリカと自由貿易協定を締結すべきだとは思うが、やはり二の足を踏んでしまうのは、相手ペースで不条理な条項を押しつけられる恐れがあるからである。
しかしバイラテラルからマルチラテラルへ。これは失敗してきた歴史を参考にした、人類の知恵である。万能でないにしても民主主義でしか政治マターが解決しないのと同様に、歴史から見た必然的な流れであると言ってもよい。
それを元に戻そうとする動きには、世界はなかなか順応せず、かなりな抵抗に逢うことが予想されるのである。この抵抗がマーケットをまだまだ揺さぶることになる。
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