昨日は早朝にアメリカの対中関税リストが公表されて、それが市場全体のリスク回避を誘った。ドル円は5月の戻した金である111.39をうかがっていたのだが、このリスク回避のおかげで110円台に沈んだ。
日本株なども大幅安をしているのだから、やむを得ないといったところだろう。問題はその押し目である。あまり深くはないのである。ドル円は110.80あたりまでしか下げなかった。これがいかにも底堅く見えて、欧州序盤にはまた買いを集めて堅調になった。
アメリカの経済指標はPPIくらいしかなかったが、この発表でドル円は再び111.30レベルまで上昇。111.39を超えられるかどうかに注目が集まった。ドル円がそのようなレジスタンスで足踏みをしている間に、ユーロドルの下げが目立ちはじめた。
しっかりとしていたかに見えた1.17台を滑り落ちてきたのだ。そうしたドル買いの圧力も加わって、ドル円は111.40をタッチ。それとともにドル円は買い戻しに見舞われ、ストップロスが順次、ダンになっていった。
私としてはテクニカルに忠実に111.33でショートに振って、111.40でロスカット。非常に教科書的ではあるが、実につまらないディールであった。上抜けしたときにド転ロングにしておけばよかった。なぜならばこの111.40をつけてしまうということは、ドル円が半年ぶりの高値圏に突入したと言うことだ。
それまで6ヶ月間の間のショートは、どこで作ったにしてもすべて負けているはずだからである。しかしなかなかドル円でロングにできなかったのは、朝のリスク回避を目にしてしまったからだろう。
その後は112円台乗せまで、ほとんど押し目のような押し目は作らなかった。米国株はニューヨーク時間ではそれほども動いていない。株価が下がったと言っても、それはアジア時間ですでにグローベックスセッションで下げてしまっているのである。
今夜はCPIが出る予定だが、市場の関心をそれほども集めていない。やはり米中の貿易戦争のほうが話題の的だし、政治的な側面を見れば、NATOの首脳会議の上が重要性が高いだろう。今日はアジア時間で株価が上昇しており、リスクテークがどこまで続くのかを見極める必要がある。
ドル円も前日の高値を超えてきてもいる。何も貿易問題から材料が出てこなければ素直にドル円の押し目買いスタンスでいいのだろうが、これだけはトランプ政権のやることなので、先行きはわからない。
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