先週末の市場の注目は、アメリカのGDPに集まっていた。トランプ大統領がぽろッとプラス4.8%だと発言したこともあって、かなりの期待が高まっていた。もちろん法人税の大幅減税も加味してのことだ。
なかにはプラス5%もという噂すらあった。しかしそれがどの程度までGDP統計に反映されているのかは、結果を見てみないとわからない。市場予想も徐々に上方修正されるものが相次いで、一部には+5というものも出てくる始末。
言うまでもなく為替相場は発表に向けて様子見姿勢が強まった。ドル円は111円ちょうどを挟んでの、ユーロドルは1.16台の中盤である。ドルの金利は短期も長期も今年の最高水準のレベルに位置している。
果たしてGDPがこれらの相場をすべて正当化してくれるのかどうか。これはまた今後のFRBの金利コントロールにも影響を与えることにもつながる。私はとくににバイアスをかけて相場を見ることはやめて、実際に結果が出てから、そしてマーケットである程度、内容を消化してから出動しようと思っていた。
だから出る前にポジションは持たない。ドル金利が上昇してくれば、つまりGDPの結果がものすごく強いものであれば、ドル買いで攻めることになる。どこかで押し目を見いだしてドルロングにしないといけないだろう。ドル円は再び113円台とかを目指すことになるだろうし、ユーロドルは今年の最安値を下回ってくる可能性もある。
しかしGDPはプラス4.1%だった。期待が高かっただけに、ちょっと失望ものに写った。ドル相場の上昇は起こらず、ドル円もユーロドルも狭いレンジ内にとどまった。米国株はアマゾンの好決算もあって値持ちが良かったが、やがて下落に転じた。
フェイスブックの決算が失望もので20%の株価下落を演じた後だが、ビフォアマーケットに出たツイッターも決算で、その株価が20%の下落。値動きも極端だが、それまでの株価形成にも無理があったのだろう。
さて今週は経済イベントがいろいろある。まずは月末の日銀会合だ。緩和の継続をそろそろ緩めるのではないかとの観測も立っているが、安倍首相が総裁3選を確定的にした今となっては、金融政策のスタンスを変更することは容易ではないだろう。「出口戦略を議論した」とは口にも出せないという状況は同じなのではないだろうか。
アメリカがドル高や金利高に文句を言っているからと言って、日本サイドから進んでリップサービスをする勇気はないであろう。マーケットの観測にあらがって日銀が何もしなければ、ドル円は強く上昇していきそうだ。そもそもの出発点である113円台まで簡単に戻すかもしれない。
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