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合意なき離脱ならポンドは10~20%下落も。
2度目の国民投票は?“クーデター”の噂も!?

2018年09月17日(月)12:00公開 (2018年09月17日(月)12:00更新)
ザイFX!編集部

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■ボリス・ジョンソン氏が“クーデター”を画策!?

 次は、「メイ首相の進退問題」について取り上げてみます。

 これまで、メイ首相を辞任に追い込み、首相(保守党の党首)交代の“クーデター”を起こそうという話は、数え切れないほど耳にしました。そして、2018年9月に入り、離婚が成立したボリス・ジョンソン元外相が、かなり早い時期に首相交代のチャンスを狙っているという話が暴露されました。

 さすがに、9月30日(日)の保守党年次党大会には間に合わないでしょうが、来年(2019年)早々にも“クーデター”を起こすとの話もあるようです。

ボリス・ジョンソン氏

ロンドン市長も務めたことがあるボリス・ジョンソン元外相。英国ではとても人気がある政治家の1人。次期首相の座を虎視眈々と狙っているのか… (C)Justin Sullivan/Getty Images

■自分の首を絞めるかもしれないリーダーシップチャレンジ

リーダーシップチャレンジ(党首選)について簡単に説明しますと、保守党には1922年委員会(※)というものがあり、保守党議員の15%(48人)か、それ以上の議員が、「メイ首相への辞任要求」を求める書簡をこの委員会に提出すれば、「首相に対する不信任決議」が実行されます。

 全保守党議員のうち、半数以上が不信任票を入れれば首相は退任。もし、首相が勝ち抜いた場合、その後、1年間はリーダーシップチャレンジを実施することが禁止されています。そのため、タイミングを間違うと、次期首相を狙う人物は自分で自分の首を絞めることにもなりかねません。

 リーダーシップチャレンジは、投票開始から結果が出るまでに7日~10日間はかかります。

(※執筆者注:「1922年委員会」とは、保守党の中で、もっとも重要な組織の1つ。保守党は長い間、現職議員の組織を持っていなかった。ところが、1922年の選挙で初当選した議員の間から、幹部議員以外の議員(バックベンチャーと呼ばれる)の組織をつくることが要望されて実現の運びとなった。この組織は、党首を束縛する権限は持っていないが、議員の意見や動向を党首に伝えるという重要な機能を十分に果していると言われている。現在でも毎週1回、招集される)

■人気者のボリス・ジョンソン氏は首相として適役か?

 日本人として、なかなか理解に苦しむことは、どんなに悪いウワサが出ても、ジョンソン氏は、それなりに人気のある政治家であるという事実です。それだけカリスマ性が高いということでしょう。

 最近、離婚劇が発覚した日に、たまたま車で政治トークショーを聞いていたところ、リスナーの多くが、プライベートな問題と首相の器とはまったく別物であるから、離婚はマイナスにならないという考えを持っていました。

 試しに調べてみると、戦後の英国首相で独身であったのは、1970年に首相になったヒース氏のみで、それ以外、すべての首相は結婚していました。

 国民は、ジョンソン氏のプライベートな問題をあまり気にしていないということですが、保守党内部では、同氏が党首となれば保守党を離党すると宣言する議員が出てきており、やはり、一筋縄ではいかないようですね。

■次期保守党党首は誰だ? 賭け屋のオッズを見てみると…

 英国最大手の賭け屋(ブックメーカー)、William Hill(ウィリアムヒル)によると、次期保守党党首のオッズは、以下のとおり。

<次期保守党党首のオッズ>

・ ジョンソン元外務相: 7/2(22%)
・ ジャビッド内務相: 11/2(15%)
・ リーモグ議員: 7/1(12.5%)

(出所:William Hill)

 また、メイ首相が首相を辞める時期のオッズは、以下のとおりです。

<メイ首相が首相を辞める時期のオッズ>

・ 2018年: 5/2(28.5%)
・ 2019年: 5/4(44%)
・ 2020年: 14/1(6%)
・ 2021年: 14/1(6%)
・ 2022年かそれ以降: 2/1(33%)

(出所:William Hill)

■「アイルランド国境問題」とは何なのか?

 次に、「アイルランド国境問題」に触れておきましょう。

 本来であれば、2017年10月に開催されるEUサミットで合意する予定であったアイルランド国境問題。しかし、現在に至るまで、まったく解決の兆しは見えていません

 南北アイルランドの国境は500キロに渡り、そこを行き交う車の数は、1カ月に180万台。そして、400の道路が国境をまたいで通っています。

アイルランドと北アイルランドの地図
アイルランドと北アイルランドの地図

(地図データ:Google)

 アイルランドには32の州があり、そのうち26州が1922年に英国領から独立し、アイルランド共和国となりました。残りの北部6州は北アイルランドとして、英国領に残ることを選択したのです。

アイルランド分裂の裏には、ナショナリストとユニオニストによる争いがあることは、日本でも知られていると思いますが、ナショナリストとは、カトリック教徒であり、アイルランド統一を支持

 それに対し、ユニオニストは、スコットランドやイングランドから移住してきたプロテスタント教徒が多く、英国連合王国に留まることを希望しています。

 1960年代後半から、これらの2大勢力が紛争を起こし、1998年になってようやく和平交渉が結ばれました。その時以来、南北アイルランド間の物理的な国境がなくなり、自由に行き来できるようになったのです。

 しかし、英国のEU離脱(Brexit)決定以降、「物理的な国境がないこと」が問題となってきました。

 理由は、英国が欧州単一市場(シングル・マーケット)で保証されている4つの自由を放棄し、関税同盟からも抜ける「ハードBrexit」を選択する方向に向かっているからです。

■最悪の場合、ベルファスト合意に赤信号点灯か

 万が一、本格的な「国境」が設立され、パスポートチェックなどが実施された場合、南北アイルランドが1つの国になることを支持するナショナリストのシン・フェイン党の動きに警戒しなければなりません。

 最悪の場合は、ベルファスト合意の継続に赤信号が灯る(プロテスタントとカトリック間のテロ行為を引き起こす)ことにもなりかねません。

 私がここに書くまでもなく、英国連合王国(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)のうち、「きちんとした陸の国境」が存在するのは、アイルランド共和国と北アイルランドの間だけです。

 それもあり、Brexitが決定して以来、アイルランド共和国は北アイルランドとの統合に前向きな姿勢を示してきました。

 最近になって、北アイルランドも住民投票実施を支持する動きが出てきたようですが、メイ首相はEUとの離脱交渉に専念したいため、両国の国民投票の即刻実施には反対姿勢を崩していません。

 この問題は、技術的(テクニカル)な解決方法ではなく、英国・南北アイルランド・EUすべてが政治的に解決する以外、方法はないと私は考えています。

 EU側も、絶対に両国間に国境を設置することには反対しているため、2018年11月の臨時サミットまでに、何らかの解決策が出てくることが期待されます

次ページでは、Brexitに伴う「EU側の問題」や今後の英ポンドの相場動向について解説!)

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