先週の金曜日は、アメリカのGDPであった。GDP統計は経済のファンダメンタルズを計る上でも最重要のデータなのだが、世界的にリスク動向が不安定なので、マーケットはそれどころではない。
どこで株価が下げ止まるのか、そちらのほうに目が向いてしまっているのだ。アジア時間でも日本株は大きく値下がりし、日経先物は朝から500円近くも下げたのである。
GDPは予想を上回ってプラス3.5%となった。個人消費もプラス4.0%と、大きく伸びた。しかしドル高・株高といったリスクテークの展開で動いたのは、結果が出た後の、ほんのちょっとの時間だけだった。すぐに相場は反転し、ニューヨーク勢が本格参入してきてからは、株売り・ドル売りの流れが顕著になってきた。
米国株が前日の安値を下回ってきたので、ドル円もついに111円台のミドルを下押し。111.40あたりまで差し込んだ。しかしその後はリスクの巻き返しなどもあり、ドル円、ユーロ円も値を戻してニューヨーククローズとなった。
今週も株価をはじめとして、市場のリスクの不安定さは継続するだろう。そして米企業決算でもアップル、フェイスブックといった大どころも予定されている。良い利益を捻出しても、それが大きな利食い売りを誘うきっかけになりそうだというのは、先週のグーグルやアマゾンで経験済みだ。
それに備えてのリスク回避がアジア時間のうちから進むこともありうることを覚悟しないといけない週明けとなった。先週のGDPと同様に、週末の雇用統計は大きなインパクトをマーケットに与えにくいものとの考えられる。市場の関心が株価の動向に移ってしまっているのが最大の原因でもある。
そしてこの時期の雇用データの内容では織り込み済みとなっている12月利上げを左右するには材料不足だからだ。たとえ市場のコンセンサスと大きく外れることがあっても、それは「もっとデータを見てみたい」ということで無視されるに決まっているからだ。
今週から欧州は夏時間が終わり、来週になるとアメリカも冬時間に入る。そしていよいよ世界経済の同様の最大原因であるトランプ政権の行方をうらなうべく中間選挙の結果を待つ状態となる。
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