先週の金曜日は米国株が大きく下がった。ニューヨーククローズに至るまで株売り圧力は弱まわらなかったと見てよい。悪材料はいろいろあった。イタリアの予算案の訂正で満足げに見えたEU側にも依然として不満の声が聞かれたこと。これで為替相場ではユーロ安が進んだので、それがユーロ円を圧迫。リスク回避の先導となった。
また経済指標でセンチメント系が良くないものが並んだ。ドイツの景況指数はずっと欧州経済をリードしてきたのに、それが予想を大きく下回った。そうしているところにアメリカの景況指数も悪かったのである。
そこでさらに背中を押したのが、J&Jの検査手抜き問題である。ベビーパウダーにアスベストが混入されていたのを放置していたというのは、排ガス規制とかでリコールばかりしている自動車産業以上にショックの度合いが強い。
トランプ大統領が民主党の上下両院の責任者と、記者たちを交えての懇談が先週行われた。しかしそうした場でもトランプ節は変わっておらず、メキシコの壁でひと悶着あった。公衆の面前で平気で罵倒し合ったりしている姿は、来年からのねじれ議会をどのように運営していくのかの不安を与える。
市場の不安定要因であることは確かなのだが、考えてみればトランプ大統領らしい。彼が彼らしく振る舞わないと、彼を支持してきた層の期待に応えられないことになる。無茶苦茶でも、彼にとってはあれでよいのかもしれない。
そういうわけで今年もあと2週間。マーケットは悪い方の材料に敏感になりつつある。とはいうものの、為替相場の動きは相変わらず乏しいままだ。ドル円がとくにそうであり、リスク回避だといって、とても110円割れとかしそうな現実味に欠けている。
といっても今週はFOMCもあり、実際に12月利上げが終わったら、注目は来年の利上げの頻度に移る。明らかなのは議論の中心は利上げペースの鈍化の方でしかない。これはドル保有の魅力の減退を意味する。つまりドル相場の下落の端緒を与えるものなのだ。
だから今回の利上げが完全に織り込まれているとはいうものの、来年の動向を見極めるためにも、FOMC後の議長のスピーチなどにマーケットは匂いを嗅ぎにいくことになるのだろう。
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