昨日のドル円は112円台の中盤で欧州時間入りしたが、その後の動きは上下に一進一退であった。良い材料と悪い材料が海外市場で出たからだ。良い材料というのはアメリカの住宅関連の経済指標がまあ良かったことや、イタリアの予算案の修正がEU側と合意を見たことなどであった。
悪い要因としては原油価格の急落である。EIAがシェールオイルの増産が続くだろうと見解をだしたことと、ロシアの12月生産が過去最大にのぼるだろうという観測記事が出たことだ。これで原油価格は6~7%の急落を演じ、46ドル台までスリップした。原油価格はリスク性の代表みたいなものである。
それで堅調にスタートした米国株も急落に転じ、前日の安値をも下回ってきた。しかしニューヨーク時間の午後にはリスク回避の動きが出てきても、ドル売りのフローはそれほども出てこなかった。ドル円もユーロドルもそれほどもドル安に進むことはなかったのである。
今朝になって為替相場でもドル安へのトライが見られたが、ドル円は確かに前日の安値を下回ってきたものの、ほんの少しだけ。安値は112.20あたりまでで、深押しはなし。そしてそこから自律反発に向かっている。
やはり多くの参加者が突っ込み売りをしてきていないからだろう。私も112円台の前半を、しかもアジア時間でショートにしたくはないと思っている。
ともかくも今夜はFOMCである。利上げは確実視されているので、注目は来年以降の見方である。10月からの株価の軟調地合いによって、ドルの短期金利のマーケットではほとんど50ベーシス分の利上げ見込むが吹っ飛んでいる。
つまり同じペースであったならば来年は4回の利上げを見込んでいたところ、2回くらいまでに頻度が下がったというわけだ。後はこれが金利会合の声明文などにどのように表現されてくるかだ。トランプ大統領からの締め付けもあり、あまりにもハト派的な感触の強いものが出てきたら、そのときには少なからざるドル売りが出てくるだろう。
来年の見込みの話しをしているわけだから、このドル下落のプレッシャーは当分続くことになる。FOMCの直後にドル売りできなくても、明日の朝になってから足跡を確認してからドル売りしていっても十分間に合うだろう。
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