■クラッシュがあったからこそ、円高余地は限定的なはず
もちろん、米ドル/円は急落してきた以上、たちまちV字回復するとも想定されにくく、2016年と同様、再三に渡って底打ちのパターンを形成してから上昇に転じる公算が大きい。
換言すれば、いったん「クラッシュ」にあったから、早期回復のシナリオ自体も現実的ではなく、米ドル高のトレンドへ復帰するには時間がかかることを覚悟すべきであろう。
しかし、時間がかかるにしても、米ドル/円はこれから円高トレンドへシフトしていくといった目下の市場コンセンサスにはやはり同意できない。前述のように、「クラッシュ」があったからこそ、円高の限度はすでに測られ、これ以上の円高余地は限定されるはずだとみる。
相場の急落があると、内部構造の再点検も強いられるが、基本的な大局観は維持していきたい。同構造に関する説明は、昨日(1月10日)、配信したレポートをもって行ったので、下記の原文をご参照いただきたい。
(出所:FXブロードネット)
ドル/円に関するマクロ的な見通し、重要な判断基準として2011年安値(史上最安値)をどう位置付けるかを挙げられるが、我々は同安値をもってドル/円における戦後一貫した円高の流れが終焉、同安値から歴史的な円安時代に突入した、という視点を維持、2015年高値からの保ち合い、再規定されるのもメイン基調は不変と思う。
上のチャートで示しているように、2011年安値から2015年高値までの上昇をメイン変動と位置づけ、2015年高値から先週安値までの変動を大型保ち合いと規定、同保ち合いをもってスピード調整の役割を果たすが、これからメイン変動、即ち上昇方向へ復帰しようといった見通しは維持される。
もっとも、2011年安値について、10月安値75.54(或いは75.65)を史上最安値と記録する媒体が多い。同安値から2015年高値までの本数(月足)を数えると、44本だったから、上昇波における一つのリズムとして認識しておきたい。実際、2015年高値は同年6月にて付けられ、同高値から今月までの本数を数えると43本になっているから、先週のフラッシュ・クラッシュ、変動リズムにおけるクライマックス的な要素が強いと思われ、また同出現によって2015年高値を起点とした大型保ち合い自体も最終段階に入ったとみる。
要するに、相場は往々にして変動リズムをもってメイントレンドを形成していくから、2015年高値を起点とした大型保ち合い自体、2011年安値を起点とした上昇波に対する「スピード調整」と位置付けられるから、同じ周期において、この保ち合いはすでに完成したか、近々完成する公算が大きい。
いったん完成すると、元のトレンド(上昇)に復帰する公算は大きく、今年(2019年)は円高よりも、やはり、従来の想定どおり、円安の方向に振れていくのではないかと思うわけだ。
■米ドル/円の上値ターゲットゾーンは115~120円へ下方修正
ところで、「正当化できない値動き」の可能性が大きいものの、為替レート自体は偽りではなかったから、2019年年初の「クラッシュ」で米ドル/円の下値が昨年(2018年)年末よりだいぶ拡大した以上、仮に今年(2019年)は円安トレンドへ復帰、また、推進していくとしても、上値ターゲットの下方修正はやはり必要になってくる。
現視点では、従来の120~125円の上値ターゲットゾーンを115~120円へと修正せざるを得ないが、基本的なスタンスは変える必要はないと思う。
詳細はまた次回、市況はいかに。
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