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田向宏行
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バカラ村の「FX専業トレーダーの相場観」

米ドル/円暴落は「上海ショック」と似ている!?
円高リスク緩和。目先は110円台へ反発か

2019年01月08日(火)13:21公開 (2019年01月08日(火)13:21更新)
バカラ村

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 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

■米ドル/円とクロス円がフラッシュクラッシュ!

 年明けから、為替市場では米ドル/円とクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)がフラッシュクラッシュ(瞬間暴落)となりました。

 昨年(2018年)末から円高となっていましたが、1月3日(木)に円が急騰しました。

世界の通貨VS円 4時間足
世界の通貨VS円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足

 アップルの業績予想の下方修正が材料とされており、リスク回避での円高であれば、スイスフランも高くなっているべきだと思うのですが、スイスフランはあまり動かず、円だけが急騰した動きとなりました。

【参考記事】
フラッシュ・クラッシュで米ドル/円が暴落! 株の下落を伴えば、100円割れの可能性も!?(1月7日、西原宏一&大橋ひろこ)

米ドル/スイスフラン 4時間足
米ドル/スイスフラン 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/スイスフラン 4時間足

■日本勢が休みのときを狙われた!?

 これは、IMM(国際通貨先物市場)における投機筋のポジションも円売りに偏っており、米ドル/円やクロス円などの下にストップロスの売りがあったため、日本勢が休日となった流動性の薄いときに、狙われたものと考えられます。

 また、その動きにAI(人工知能)も反応して円高が加速し、米ドル/円は104円台まで急落

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(出所:Bloomberg)

 これで、米ドル/円やクロス円は、非常に下ヒゲの長い足となりました。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

■株価はいったん底入れへ。リスク選好で米ドル/円も反発

 1月4日(金)には、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長と、歴代FRB議長の対談がありました。

 昨年(2018年)12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)から、パウエル議長は市場との対話が上手くいっていませんでしたが、ここでは「バランスシートの縮小も含めて、政策変更を迅速かつ柔軟に対応していく」ことを示唆し、ハト派な内容となって、株式市場も反発しています。

NYダウ 日足
NYダウ 日足

(出所:Bloomberg)

 これで、株式市場もいったん、底をつけたと考えています。

 為替市場にとっては米ドル安の内容となるため、ユーロ/米ドルなどは、レンジ上限まで上昇してきています。

ユーロ/米ドル 日足
ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

米ドル/円も米ドル安になっていいのですが、1月3日(木)の急落からの反発やリスク選好もあって円売りになっているため、108円台で推移しています。

米ドル/円 4時間足
米ドル/円 4時間足

(出所:Bloomberg)

■米ドル/円は下降トレンドがいったん終了か

 CFTC(全米先物取引委員会)が発表するIMMポジションは、米政府機関の閉鎖で更新されていませんが、投機筋の偏っていた円売りは、急激な円高でかなり減っているのではないかと思います。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)2018年12月18日時点
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)2018年12月18日時点

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 そのため、米/ドル円やクロス円での円高リスクは、緩和されているものと思います。

 テクニカル的には、下降トレンド中に大きな陰線や下ヒゲの長い足が出た場合、下降トレンドは、いったん終了となることが多いです。

今回の米ドル/円もこのパターンで、下降トレンドが、いったん止まったのではないかと考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

 ここからは、落ち着きどころを探る展開になるのではないかと考えています。

 市場が荒れていることもあって、ボラティリティは高い状態ですから、戻りを待って売らなければ、下で捕まることになりそうです。

■上海ショックと同じ動きなら110円台へ反発

 過去の例であれば、2015年8月の、上海ショックのときのような動きになるのではないかと考えています。

 上海ショックのときは、米ドル/円は125円台から116円台まで約9円下がり、61.8%付近である121円台まで戻して、2カ月ほど横ばいが続きました。

米ドル/円 日足(2015年8月~10月)
米ドル/円 日足(2015年8月~10月)

(出所:Bloomberg)

 今回は、113円台から104円台まで約9円下がり、そこから約61%であれば、110円台まで戻ることになります。その後も、同じように横ばいが続くのではないかと思います。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

■今週は107円台半ば~109円台半ばのレンジを想定

 今週(1月7日~)に関しては、米ドル/円は107円台半ばがサポート水準となり、上は109円台半ば辺りのレンジになるのではないかと考えています。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

長期的にはまだ、米ドル/円は安値を更新すると思いますが、短期的には方向感無く、推移するのではないかと考えています。

【参考記事】
米ドル/円は12月~1月から3年連続で下落! 2019年の上限は115円、下限は100円か(2018年12月25日、バカラ村)
ファーウェイ事件に米利上げ打止め観測も。ドル/円は12月半ば以降下げやすく買い辛い(2018年12月11日、バカラ村)

 それでは、本年もよろしくお願いいたします。

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