■ここから本格的な円高局面には戻れないだろう
次に、やはり最近、強気変動が続いている英ポンドから、相場の内部構造を再確認したい。
英国のEU(欧州連合)離脱問題がだいぶ長引き、また、いまだに決着がついていないが、英ポンドは対米ドル、対円、もちろん対ユーロでも反騰し続けている。
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一説では、多国籍企業の多くは、多数のヘッジ(英ポンド売り)をかけており、今年(2019年)に入ってからそのヘッジを解消(英ポンドの買戻し)、最近、その動きが一段と加速したということのようだ。
真相はともかく、「英国のEU離脱におけるハードランディングは、もうない」と言い切れる者はいない以上、相場が示す「理外の理」も大きな示唆を与えてくれているはずである。
それについては、1月25日(金)の本コラムで結論付けた「円高のクライマックスはもう過ぎた」という見方が最も有力視され、また、より強化されたのではないかと思う。
【参考記事】
●市場の想定に反したポンド高は何を示す?円高のクライマックスはもう過ぎたのか?(2019年1月25日、陳満咲杜)
つまるところ、相場のメイン構造について、まず円高のピークが過ぎていたことが証左された以上、中長期スパンにおける円安トレンドへの復帰や加速を覚悟しておきたい。
年初のフラッシュ・クラッシュから力強く回復してきた相場に照らして考えると、円安トレンドの途中における調整は避けられなくても、ここから本格的な円高局面には戻れないだろう。
■ユーロ/米ドルや豪ドル/米ドルは要注意!
反面、米ドル/円を含め、諸主要クロス円がこのまま一本調子に円安トレンドを加速していくとは想定しにくい。
そもそも最近の英ポンド/円をはじめ、主要クロス円の続伸は外貨高、すなわち米ドル全体の調整が長引いていることに起因した側面が大きく、米ドル全体はあくまで調整の段階にあり、調整後、ブル(上昇)トレンドへ復帰する可能性が高いと思われる以上、外貨高の継続も想定しにくい。
特にユーロや豪ドルに関しては要注意だ。ユーロに関しては、米ドルの対極として受け皿の役割を発揮する上、対英ポンドでの弱気変動が続き、切り返しの継続はハードルが高いと思われる。
豪ドルに関しては、2019年年内利下げ観測が消えない以上、対米ドルの弱気変動もしばらく続く見通しだ。
■英ポンドは読みにくいが、高値追いは避けたい
読みにくいのは英ポンドだ。前述のように、英ポンドの上昇が、仮に多国籍企業による買い戻しが主因であれば、すでに一服した可能性がある。
EU離脱問題の複雑性から考えると、材料次第でまた大きく波乱になる可能性もあるから、やはり、高値追いを避けたいところだ。市況はいかに。
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