(「伝説のディーラー・藤巻健史氏に聞く(1) 東京五輪前にハイパーインフレで円大暴落!?」からつづく)
3日連続30億円ずつの損失を出したことも
もう20年近く、藤巻健史氏は日本の悪化する財政状況や、日銀の非伝統的な金融政策がもたらす弊害に警鐘を鳴らしている。
現在は参議院議員として、国会などで政府の財政政策や日銀の金融政策に異議を唱えているが、かつては伝説のディーラーとして、最前線で金融市場に向かい合ってきた。そんな藤巻氏はどんなトレードをしていたのだろう? 現役トレーダー時代の話も聞いてみた。
「トレーダー時代には、それこそいろいろありました。ブラックマンデーやタテホ・ショック、資金運用部ショックなども経験しましたね。
でも、僕が一番ヤバイと思ったのは、1991年1月に始まった湾岸戦争のときかな。あのときは、1日30億円の損失を、3日続けて出してしまいましてね」
1日30億円の損失を3日続けて出した経験をサラリと語る藤巻氏
「僕の当時のトレード戦略は、年の最初に少し儲けを出して、それをタネ銭にして、そこからオプション取引でものすごく大きな利益を上げるって言うやり方だったんです。だけど、そのタネ銭を稼ぐ時期に、30億円の損失を3日続けて出しちゃったから、そのあとのトレードがやりにくくなって…。
そのとき、何が苦しかったかって言うと、毎日、本店に損益を報告しなければいけなかったんですけど、あまりにも数字が悪くて報告する気がないから、円形脱毛症になった写真を送りますので、それで判断してくださいって、ジョークを送ったんです。
そしたら、いつもは必ずジョークで返してくる上司が無言だったから、「あー、これ、俺クビかな」と思って。そのあと、この損は短期で取り返して、例年並みの利益を上げられましたけどね」
藤巻氏のシナリオがまだ現実のものになっていないのは、我々にとっては良いこと。できれば、これから先も起こらないことを祈りたいが、藤巻氏が近いうちにXデーが来ると言い続けているのは、こうした修羅場をいくつもくぐり抜けてきた経験も関係しているのかもしれない。
日銀が破綻しても日本は終わらない
「僕が日銀破綻っていうと、日本が終わると思う人も多いけれど、それは違います。確かにメチャクチャな状態にはなりますけれど、日本という国はなくなりません。財政は再建されるから国自体は大丈夫。第二次世界大戦後に軍国主義がなくなって、民主主義国家ができたのと同じです。
日本って、政治で何かを変えようと思っても、なかなか変わらない。明治維新も第二次世界大戦もそうで、外的な事件がないとダメなんです。みんながものすごく痛い思いをして、二度と異次元の量的緩和なんかやっちゃいけないよってことを学んで、普通の伝統的金融政策に戻っていくんです」
Xデーが到来しても、藤巻氏は将来の日本を悲観する必要はまったくないと指摘する。しかし、国民は大変な思いをするのを、覚悟しておかなければならないそうだ。
「財政は再建しますし、日本はなくなりません。しかし、しばらくの間、国民生活は悲惨になるでしょう。1997年に通貨危機に見舞われた韓国では、復興までに2年かかりました。日本は多分、4年ぐらいはショックを引きずるんじゃないかと思います」
日本がなくなることはないが、国民生活は4年ぐらい悲惨なものになると指摘する藤巻氏。その間を乗り切れるだけの準備をしておくべきというのがかねてからの主張だ
その間は国に助けてもらいたくても、国だって大変な時期なんですから、助けてくれるわけがありません。ですから、その苦しい4年間ぐらいの間は、自分の身は自分で守らなくてはいけない。その期間を乗り切れるだけの準備を、きちんとしておいたほうが良いというのが、僕の一番の主張なんです。
日銀破綻に備え、米ドルと仮想通貨を持つべき
Xデーが来たあとの苦しい4年間を乗り切るための準備。それこそが著書『日銀破綻』の副題でもある、「持つべきはドルと仮想通貨」というのだ。
「今はお金を儲ける時期ではなく、資産を守る時期です。日本円だけを持っていたら、Xデーが来たときに資産の価値はゼロになります。生きていくのも大変です。そういう意味で、自分の資産を守るために、保険の意味で米ドルと仮想通貨を持つべきだと思います」
しかし、法定通貨に関して言えば、米ドル以外にもいくらでもある。米国の財政赤字だって増えているし、現に、パウエルFRB議長も議会に性急な財政再建を求めている。トランプ政権になってからのバラマキ政策や、他国との摩擦だって問題になっている。それでも米ドルが良いのだろうか?
トランプ政権の大型減税も影響して、米国の財政赤字は拡大している。外貨なら米ドル以外にもたくさん存在するが、藤巻氏はなぜ、米ドルが良いと指摘するのだろうか (C)Chip Somodevilla/Getty Images
「米国の財政赤字が増えていると言っても、日本とは比べ物にならないくらい健全です。政府や中央銀行のバランスシートも、経済規模に対して段違いに低い。ヨーロッパと比べても、米国の方が健全。為替は相対論ですから、もし米国がダメだとしても、日本はダメダメダメですから、米ドル/円は上がりますよね。
それに、トランプ大統領は品がないとは思うけれど、経済界出身というだけあって、彼の経済政策は正解。外国企業を米国に引き寄せ、自国企業を国内に戻すなど、米国民に仕事を与えようとしているのは、米国にとって正しい政策だと思います。
米国以上に良い国は、他に見当たりません。政治・経済・軍備は世界一ですし、シェールガスのおかげで、原油生産量も世界一になりました。さらに、GAFA(※)が情報という大資源も押さえています。情報と石油を押さえていて、しかも基軸通貨なんですから、強いですよ」
(※編集部注:「GAFA」とは、米国の主要IT企業であるアルファベット(旧グーグル)、アップル、フェイスブック、アマゾンの4社を指す言葉。4社の頭文字をつないだ造語)
FXならポジションを長く保有できるようなスタンスで
著書『日銀破綻』で藤巻氏は、保険の意味で米ドルを保有するなら、米ドルの外貨預金か、短期の金融商品に投資する米ドル建てのMMF(マネー・マネージメント・ファンド)が良いと指摘している。では、FXで米ドル/円を買うのは、資産を守る方法としてどうなのだろうか?
「FXでも良いと思いますが、ポジションがロスカットされないように、あまりレバレッジをかけすぎないことが大事です。今は、資産をどうやって守るのかが重要ですから、短期トレードではなく、外貨を買うと言うような観点で、長くポジションを持てる方法をとるのが良いでしょう」
今は自分の資産をどう守るかが重要。FXならレバレッジをかけすぎずに、ポジションを長く保有できるような方法が良いと藤巻氏は指摘する
「それ以外だと、僕は米国の長期国債を対象にした金融商品は、買うべきではないと思っています。いずれ、FRBはバランスシートを再び縮小させていくでしょうから、FRBの長期国債の保有量が減ることで国債の価格が下落すれば、米ドル建て資産の元本が毀損する可能性がありますから、おすすめしません」
そして、藤巻氏が推奨するもう1つの避難先が…
(「伝説のディーラー・藤巻健史氏に聞く(3)日銀破綻に備え、仮想通貨口座は持っておけ!」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・堀之内智 撮影/和田佳久)
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