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メイ首相最後の賭け! 3月19~20日も山場、
21~22日も山場。混乱の英国から直送レポ!

2019年03月18日(月)東京時間 17:45

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 2016年6月の英国民投票で、EU(欧州連合)からの離脱(=ブレグジット)を決めた英国。当初予定されていた離脱日は、2019年3月29日(金)に迫っています。しかし…、いまだにメイ英首相とEUで合意に至った離脱協定案は、英議会で承認されていません。

 ひとまず、合意なき離脱は回避して、離脱期限を延長しようということは決まったようですが、果たして、そのとおりに事は進むのか? まだまだ、ひと悶着もふた悶着もありそうな様子です…。

 そこで、ザイFX!では、元為替ディーラーで英国在住の松崎美子さんに、英国の現状や今後、英議会で実施が想定されるイベント、英ポンド相場の見通しなどについて、急遽、解説いただきました(ザイFX!編集部)。


松崎美子さんプロフィール

 当初の予定では、英国は3月29日(金)にEUを離脱する予定であった。しかし、先週(3月11日~)実施された議会採決では、離脱期限の延長が承認された。ただし、これで一安心とは言えず、厳しい状況に変わりはない

 今回は、今年に(2019年)入り、何度も繰り返された本採決や採決を巡り、英国が置かれた現状について、現地の現状をお伝えしたいと思う。

【参考記事】
緊急特集:EU離脱・英国国民投票まとめ。まさかのEU離脱で世界に激震
日本のBrexit報道は正確ではない!? ソフト・ハード・合意なき離脱の違いとは?(2018年9月12日、松崎美子)
合意なき離脱ならポンドは10~20%下落も。2度目の国民投票は?“クーデター”の噂も!(2018年9月17日、松崎美子)

■ストラスブールの合意で議員がガッツポーズ

 英国議会で、たび重なる本採決や採決が繰り返されてきたのも、元はと言えば、英国が望むバックストップ(※)案と、EUが主張する内容にズレが生じているためである。

(※編集部注:「バックストップ」とは、英国がEUを離脱したあと、移行期間終了時までに、英国領の北アイルランドと隣国のアイルランド共和国との間に物理的な国境を設置しないですむような解決策が見つからなかった場合、その後も英国全体がEUの関税同盟に残り続けることを基本的には指す)

 この見解の違いを縮めるため、メイ首相は何度もEU本部に乗り込み、ユンケル欧州委員会委員長やトゥスクEU大統領と協議を重ねてきた。そして、3月11日(月)の夜、ストラスブールで行なわれたメイ首相とユンケル委員長との共同記者会見では、バックストップについて法的拘束力のある追加保証で合意と報告された。

メイ英首相の写真

メイ首相は英議会での採決を翌日に控えた3月11日(月)夜、バックストップについて法的拘束力のある追加保証を盛り込むことでEUと合意にこぎ着けたが… (C)Matt Cardy/Getty Images News

 これを受けて、そろそろ午前0時になろうしていた英国議会では、リディントン内閣府担当相がメイ首相の代役として、以下の報告を行なった。

「昨年(2018年)11月に、EUと合意した離脱案に修正案を加えた離脱最終案(WA[Withdrawal Agreement])では、バックストップを巡る見解でEU・英国双方の間でなかなか合意に至らなかった。しかし、先ほどバックストップ案に対し、法律的に保証された変更を獲得した。これを受けて、英政府は、2つの新しい書類を作成する。

 1つは、バックストップ案について、EUは英国に罠を仕掛けられないことを確認するための書類である。もし、EUがそのようなことをするつもりであれば、英国は独立機関にこの問題を持ち込むことができる。

 2つ目の書類は、EUと英国政府の共同声明である。そこでは、2020年12月までにバックストップ案に代わる代替案を作成し、(バックストップ案と) 入れ替えることを確認するものである」

 ここでの「バックストップ案を代替案と入れ替える」という部分は、1月29日(火)の議会採決で可決された、「保守党1922年委員会議長ブレィディ議員の修正案」(※)の条件を満たしている。この問題は、最大の懸念材料となっていただけに、この報告を耳にした議員たちが、ガッツポーズをした瞬間であった。

(※バックストップ案の代わりに、ハードボーダの必要がない代替案を設定する修正案)

■メイ首相を大敗させたコックス法務長官の「爆弾発言」

 一夜明けた3月12日(火)、前夜(11日)の共同記者会見で発表されたバックストップへの法的保証についての見解を、コックス法務長官が発表した。発言内容は、以下のとおりである。

「昨夜(3月11日)の合意により、ブレグジット(英国のEU離脱)案の内容は改善した。しかし、法的見解から言えば、英国を取り巻く基本的状況に変化はなく、バックストップから英国が抜けることを保証する法的保証は、見られない

 バックストップが実際に導入される可能性は、かなり低いと思われるが、バックストップから一方的に離脱できるという究極の法的保証は、かなり難しい」

コックス法務長官の写真

メイ首相とEUが合意した離脱修正案は、英国がバックストップから抜け出す合法的な手段を持ったことにはならないと判断したコックス英法務長官。この見解によって、3月12日の採決で、メイ首相が大敗することは確実となった (C)Barcroft Media

前夜の見解を180度ひっくり返す驚きの内容となり、英国全体が唖然とした空気に包み込まれた。これを受け、同日(3月12日)夜に実施される2度目の本採決で、またしてもメイ首相が大敗することが確実となったことは、言うまでもない。

■重要な2回の「本採決」の結果は?

 本採決の結果をお伝えする前に、ブレグジットを巡る議会採決には2種類あることを、知って頂きたい。


●Meaningful Vote(本採決)

正式な批准手続きに入るために実施する採決。つまり、政府が決定したブレグジット案の最終的な法的手続きに入るために、絶対に必要なものとなる。

 31年間、ロンドンに住む私でさえ、Meaningful Voteという単語を聞いた記憶がないので調べてみたところ、「ブレグジット法案 13カ条目」に明記された言い回しであった。今年(2019年)に入り、1月15日(火)と3月12日(火)に実施されている。

●普通の採決

Meaningful Voteと明記がない場合は、修正案の採決がメインとなる。これは、メイ首相がEUと合意したブレグジット案に対し、各議員が修正案を提出。その中から議長が選択したものに限り、議会で審議・採決を実施。

 ほとんどの場合、採決結果そのものに法的拘束力はない。今年(2019年)に入り、1月29日(火)、2月14日(木)、3月13日(水)、3月14日(木)に実施されている。


 では、これまで2回に渡り実施された、本採決の結果をご紹介しよう。

★1回目…1月15日(火) <最初のMeaningful Vote(以下、MV1)>

結果 賛成 202/反対 432 230票差でメイ首相大敗

MV1の投票配分

※英議会のデータを基に筆者作成

★2回目…3月12日(火) <2度目のMeaningful Vote(以下、MV2)>

結果 賛成 242/反対 391 149票差でメイ首相大敗

MV2の投票配分

※英議会のデータを基に筆者作成

■3月13日・14日の採決。英政府の基本方針は合意なき離脱!?

 3月13日(水)と14日(木)の2日間に渡り、メイ政府案に加え、議員たちが提出した修正案の採決も同時に行なわれた。ここでは、政府案の採決の結果をお伝えしよう。

        3月13日(水)…メイ政府案「合意なき離脱の是非」

英国政府は、3月29日(金)に合意なき離脱が起こることを承認しない。ただし、今後、英国とEUが合意案の批准に至らない限り、英国とEUの法律では、合意なき離脱がデフォルト案となる

            結果 賛成 321/反対 278 43票差で可決

ひとまず、3月29日(金)には合意なき離脱は起こらないことが決定的となったが、あくまでも政府の基本方針は、「合意なき離脱」ということだ。まだまだ安心してはいられない。

        3月14日(木)…メイ政府案「EU基本条約50条の延長」

英国政府は、3月20日(水)までにメイ首相のブレグジット案を承認すれば、EUに対して交渉期間の延長を要請する。この延長は1度限りであり、期間は2019年6月30日(日)までとする。延長目的は、離脱法案の準備や批准作業となる。

            結果 賛成 413/反対 202 211票差で可決

 もし、英国議会が3月20日(水)までにブレグジット案を承認できなければ、3月21日(木)からのEUサミット(首脳会談)で、期間延長に対するきちんとした目的を聞かれるだろう。当然であるが、6月30日(日)を越える期間の期間延長となれば、英国も5月の欧州議会選挙に参加する必要が出てくる。

 この採決の反対202票のうち、188票は保守党議員によるものだ。つまり、保守党議員314人の半数以上が、合意なき離脱でも構わないので、とにかく3月29日(金)に離脱したいという意思表示をしたのである。

 この政府案の内容で注意したいのは、「3月20日(水)までにメイ首相のブレグジット案を承認すれば」という、条件付きであること。これを受け、翌3月15日(金)には、さまざまな憶測が行き交った。

■3度目の本採決(MV3)を実施か? メイ首相に勝算は?

 1月15日(火)のMV1、3月12日(火)のMV2に続き、3度目の正直となるMeaningful Vote(以下、MV3)を、メイ首相が企てているという観測記事が多数出た。前述のように、「3月20日(水)までにブレグジット案を承認」という条件があるので、実施するのであれば、3月19日(火)か20日(水)しかない

 2度も大敗しているのに「またか?」と思ったのは、私だけではないだろう。しかし、メイ首相も勝算なしで、勝負に出るわけがない。

 3月13日(火)のMV2で、「英国政府は、3月29日(金)に合意なき離脱となることを承認しない」ことが可決された。これで焦ったのが、英保守党内のブレグジット強硬派で構成されたERG(ユーロピアン・リサーチ・グループ)である。

 彼らは、3月29日(金)の合意なき離脱を実現させるため、今までずっとがんばってきた。しかし、長期の交渉期間延長や、2度目の国民投票などというイベントリスクが台頭してきており、ヘタをすると、離脱そのものも危うくなってきている。

 そこで、離脱の方法ではなく、離脱そのものを優先すべきという意見に傾いており、MV3実施の際には、ERGはメイ首相の離脱案に賛成すると歩み寄りを見せてきた。そして、最近ずっと、ERGグループと足並みを揃えている、北アイルランドのDUP(民主統一党)も、同じ意見であることがわかった。

■MV3の鍵を握るのも、コックス法務長官

 ブレグジット派の弁護士出身である議員が、バックストップに対し、「条約法に関するウィーン条約」をベースとした法的保証の可能性を法務長官に打診。これを受け、コックス法務長官が動きだした。

 私には、法律的なことはわからないが、EU基本条約で決定された規則に従い、ブレグジット案が設定され、その一部であるバックストップから英連合王国全体が永久に出られないという事態となれば、北アイルランドだけでなく、英国全体が心理的、経済的などの理由で不安定な状況に放り出され、社会不安を招くリスクもある。

 ウィーン条約では、いかなる国家であれ、このような状況に置かれることを禁止しているらしい。この禁止の部分が、バックストップにうまくつなげられれば、英国にはバックストップから一方的に離脱する権利があるという解釈になるらしい。

 いずれにしても、コックス法務長官からの新たな見解は、3月18日(月)~19日(火)中に発表されるらしいので、英ポンドが一気に動意を見せるきっかけになることは、間違いなさそうだ。

次ページでは、国民投票再実施の可能性や、英ポンドの相場の見通しが!)

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