■年初に投機筋の仕掛けが成功した理由とは?
株のパフォーマンスが景気の先行指標として有効であれば、少なくとも2019年年内は安泰だと、市場が教えくれている。この場合はくよくよせず、市場のトレンドに乗ればよい。なにしろ、リスクオンの環境の中、トレンド・フォローはもっとも実行しやすい戦略で、また確実性が高いからだ。
リスクオンなら、米ドル/円は上値打診していくだろう。ここで肝心なのは、そのほかの要素はあくまでサブ的な存在で、大袈裟に取り上げる必要はないということだ。最近の例でいくと、米中貿易協議に関する懸念や、10連休となる今年(2019年)のゴールデンウィークの「空白」だ。
2019年年初の急落が、多くの市場参加者の心理に黒い影を落としたままであるため、今年(2019年)の10連休を狙って投機筋の仕掛け、すなわち激しい円高局面が再来するのでは…と疑心暗鬼、また戦々恐々とする個人投資家が多いと聞く。
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断定的な判断は誰もできないが、多少の円高があっても、年初のような激しい円高局面はもう来ないのではないかと思う。
このような判断は、実にシンプルなロジックに基づいている。要するに株だ。株を見ればわかる。
2019年年初の米ドルの急落は、連休の間に投機筋に狙われ、また仕掛けられた結果に違いはないが、株が10月高値から暴落し、さらに安値をつけるか、つけないか、と多くの市場関係者が息を呑んで手が出せないほど、リスクオフのムードにあったから、投機筋の仕掛けが成功できたわけだ。
本日(4月19日)以降に米国株が暴落しない限り、日本人が休むゴールデンウィークがあるからと言って、円が暴騰するだろうという発想自体、ロジック的に根拠が薄い。
■GW中は米国株が史上最高値更新、円高どころか円安に…
リスクオン・オフの度合いは、米国株次第というか、米国株を見ればわかるのであれば、少なくともテクニカルの視点において、これから米国株は暴落するよりも続伸する可能性が大きいから、日本人が休むゴールデンウィークの間は、むしろ米国株が史上最高値更新、といった局面が想定されやすいかと思う。
仮にこの場合、ゴールデンウィーク中は円高どころか、むしろ一段と円安の進行が見られる可能性が大きいだろう。
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さらに、相場は理外の理、猫も杓子も「日本人が休む間、円高になる」というトラウマを背負うなら、「日本人が休む間、円安」へ仕掛けた方が、投機筋にとってコストが安く、また、効果(リターン)が大きいから、リスクオンの環境のなか、試される可能性も大きいかと思う。
ちなみに、今週(4月15日~)に入ってから、米ドル/円の値動きは極めて限定的だ。動かないからこれから動く、といった思惑も当然のように醸成されるが、米ドル/円の内部構造に照らして考えると、動くなら上放れの可能性が高いから、テクニカル的な視点でも急激な円高は想定されにくいかとみる。
■嵐の前の静けさ。逆張りの新規ポジションが踏み上げの燃料
一般論として、上昇していく間に一時保ち合いが続き、また、その値幅が限定的だった場合は、多くの逆張りの新規ポジションを招きやすい傾向がある。
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その上、前述のように、市場の「トラウマ」があったり、「都市伝説的なジンクス」があったりする場合、逆張りの積み上げが一層促されるはずだ。
が、そういった逆張りが多ければ多いほど今後の「踏み上げ」の土台になりやすく、米ドル/円も一段と上昇しやすいかと推測される。
ゴールデンウィークまで、まだ1週間あるから、来週(4月26日)はテクニカルの視点から、もう1回検証したい。市況はいかに。
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