■英離脱期限は10月末まで延期。英ポンドは…?
4月10日(水)の臨時EU(欧州連合)首脳会談(サミット)では、英国の離脱期限が10月末まで延期されることが決定しました。
【参考記事】
●6カ月間延長で、EU離脱日は10月31日に。2度目の国民投票実施はあり得るのか!?(4月15日、松崎美子)
4月12日(金)に合意なき離脱(※)となる可能性もありましたが、このリスクもしばらく、遠のいたことになります。
(※編集部注:「合意なき離脱」とは、2年間の交渉で合意に至らず、何の取り決めもないまま、英国がEUを離脱すること)
合意なき離脱が、しばらくないのであれば、英ポンドは上がってもいいと思いますが、メイ首相降ろしが燻っており、それが英ポンドの重しとなって、動意のない推移をしています。
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■市場に安心感。リスクを取りやすい環境へ
米中通商協議は、合意が近いとの報道もあって、市場には安心感が出てきています。
ここまで、ブレグジット(英国のEU離脱)問題や、米中通商協議のために、リスクを取りにくい状況が続いていましたが、ブレグジット問題は延期となり、米中通商協議も表面上は緩和されていることもあって、リスクが取りやすくなりました。
【参考記事】
●もし、合意なき離脱なら米ドル/円は買い場!? 今は円高になりにくいと考える理由とは?(4月9日、バカラ村)
●4月の米ドル/円はリスク選好で強い展開。ユーロは市場参加者の予想が逆指標に!?(4月2日、バカラ村)
米長期金利の上昇や株式市場の上昇から、米ドル/円やユーロ/円、豪ドル/円なども上昇することになりました。
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ユーロ/円はM&Aの買いで、豪ドル/円は中国の貿易統計で輸出が拡大し、中国景気を巡る懸念が後退したこともあって、上昇が大きくなっています。
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■日米通商交渉がスタート。為替条項はどうなる?
今週(4月15日~)は、15日(月)~16日(火)に、日米通商交渉が始まります。
ムニューシン米財務長官が、「為替も議題となり、為替条項を織り込む」と発言していることもあって、日本にとっては厳しい交渉となりそうです。
日米通商交渉では為替も議題になると発言したムニューシン米財務長官。日本にとっては厳しい交渉になりそうだが、為替条項については、交渉を有利に進めるためのカードとして使ってくるのではないかというのが、バカラ村さんの考え (C)Bloomberg/Getty Images
日本はTAG(物品貿易協定)という認識ですが、米国はFTA(自由貿易協定)と考えていることから、簡単には交渉がまとまらないと思います。
ただ、為替条項に関しては、過度な円高を狙ってくるというよりは、交渉を有利に進めるためのカードとして使ってくるのではないかと思います。
メインとなるのは農産品に関してだと思いますので、それを有利に進めるために、為替を持ち出してくるのではないかと思います。
今回は初会合ということもあって、すぐに為替相場に影響することはないと思いますが、日本の10連休前ということもあって、その前のポジション調整のきっかけにされる可能性は、十分にあるかと思います。
【参考記事】
●日米貿易交渉に為替条項!? 112円台回復の米ドル/円よりも、気になるのはユーロ?(4月15日、西原宏一&大橋ひろこ)
■10連休中に円高あれば絶好の買い場に!
米財務省の為替報告書も、今週(4月15日~)発表される予定です。
すでに、以前から大幅に円安だとされていることや監視対象国に指定されていることもあって、こちらは大きな動きにはつながらないと思います。
今週末(4月19日~)はイースター休暇となり、来週末(4月27日~)からは、日本の10連休が始まります。
10連休中は、流動性が薄くなり、5月は「セル・イン・メイ(Sell in May)」(※)の期間ということもあって、売り仕掛けしやすいタイミングですが、連休前にはポジション調整も出てくると思いますので、大きな円高にはならないと考えています。
(※編集部注:「セル・イン・メイ(Sell in May)」とは、元々は米国株に関する相場格言で「5月に株を売れ」という意味。5月に株が下がりやすい傾向があるためできた言葉。そこから少し意味が転じて、「5月にリスク資産が急落すること自体」を指して使われることがある)
【参考記事】
●ゴールデンウィークは円高になるって本当? 過去20年を徹底検証。10連休はどうなる…
●日経225先物が10日間取引停止へ! もし暴落したら…10連休に日経平均を取引するには?
●金融庁も注意喚起する非常事態!? 10連休に相場急変した時、クイック入金はできるのか?
それでも、連休中に海外勢が円高へ仕掛けてくるとは思いますが、連休明けに日経平均や米ドル/円が下がっていると、日本勢にとって良い買い場となるため、連休が明ける前には、海外勢も買い戻しているのではないかと思います。
そのため、連休中の下がったところが、米ドル/円などは買い場となるのではないかと考えています。
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■豪ドル/円に81円台半ばまでの上昇余地!
豪ドル/円は、米中の通商協議が合意に向かっており、中国の経済指標が良かったこともあって、4カ月近く続いた77円台半ば~79円台半ばのレンジを上抜けて、80.47円まで上昇しました。
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豪ドル/米ドルは、200日移動平均線に上値が抑えられ、今は3度目のトライとなっています。
(出所:Bloomberg)
なかなか動意づかない相場となっていますが、豪ドル/円は長い横ばいをブレイクしたこともあって、テクニカル的にはもみ合いの値幅の倍返しとなる、81円台半ばまでの上昇があるのではないかと思います。
(出所:Bloomberg)
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